原題:VICE
製作:2018年 アメリカ
監督:アダム・マッケイ
脚本:アダム・マッケイ
音楽:ニコラス・ブリテル
出演:クリスチャン・ベール、エイミー・アダムス、スティーヴ・カレル、サム・ロックウェル
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1960年代半ば、酒癖の悪い電気工ディック・
チェイニーは、恋人のリンに激怒され、彼女
を失望させないことを誓う。その後、下院
議員のドナルド・ラムズフェルドのもとで
働きながら政治のイロハを学んだチェイニーは
権力の中に自分の居場所を見いだす。

そして頭角を現し大統領首席補佐官、国防
長官になったチェイニーは、ジョージ・W・
ブッシュ政権で副大統領に就任する。
(シネマトゥデイ より)
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「アメリカ史上最強で最凶の副大統領」と
呼ばれたリチャード・“ディック”・チェイニー。

若い頃はうだつの上がらず、
名門イェール大学を早々と中退するものの
恋人(後の妻)に叱咤されて、
インターンで州知事のスタッフに。

政界の場に自分の居場所を見つけたチェイニーは
ドナルド(ドン)・ラムズフェルドの下で鍛えられ

78年からフォード大統領の首席補佐官を務め
政権交代となったの期に下院議員へ、
そして父ブッシュ政権時には国防長官となりました。

その後、大手石油企業ハリバートン社のCEOに就任。

政界の第一線から退いたかと思いきや
2001年からの息子ブッシュ政権発足とともに
副大統領となり、影の大統領として
政権内に強い権力を持つようになりました。

と、経歴を見るだけでは、
優秀だったんだなあと思いがちですが

アメリカ同時多発テロ事件での
強権発動ぶりだったり
ハリバートン社との結びつきや
弁護士誤射事件などなどなど
「最凶」と呼ばれるのも納得な人物だったりします。

ただ、(映画を見る限りでは)家族に対しては
誠実な人だったようで、妻リンの助言に耳を傾け
次女が同性愛者だと分かっても、
理解を示す良い父親だったようです。

ちなみに飲酒運転で捕まったことがあり
息子ブッシュとともに逮捕歴のある
正・副大統領となりました。
弁護士を撃ったときも、酩酊状態だったという噂も。

そんなチェイニーを演じたのが
クリスチャン・ベール。
役柄に合わせて体型を変えるのはお手の物、とばかり
今回も20キロの増量!

さらに特殊メイクと、演技力で
チェイニーに成りすましたのはさすがといったところ。

また息子ブッシュ役のサム・ロックウェルも
とぼけた感じがよく似てます(笑

ラムズフェルド、コリン・パウエル、
コンドリーザ・ライスの再現度も高いですね~

なお、原題のVICEは
Vice President(副大統領)からだけではなく
名詞としての単独の意味である
「悪」「悪習」「悪徳」も含まれているんだとか。

この内容で132分は少々間延びした感はあったものの
監督・脚本を務めたアダム・マッケイの
巧みな構成術とブラック・ユーモア溢れる内容は
一見の価値ありだと思います。


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