納谷六朗先生 | 吉田聖子の心つづり夢つづり

納谷六朗先生

所属が決まって、

デビューしたての新人の時。


マウス企画のお仕事で

初めて納谷さんと

ラジオで共演させて頂きました。




養成所時代に、

納谷さんが私のことを

推してくれていたんだと、


一緒に組ませて下さった経緯を

あとからききました。




所属してからの目標は、

納谷さんや谷さん、

森田さん、

恩師の方々とレギュラーで一緒の

現場に立つことでした。




今年の初めに、

吹き替えのレギュラー作品で

親子の役が出来ることが決まって…


それから数月後に、

現場でお会いした時、

聖子、元気か?

仕事は順調か??

と声をかけてくれて、

心配して下さって。


私を覚えていて下さっていた事と、

ようやく、卒業してからの

目標が叶うんだと涙がでるほど、

嬉しかったです。





9月の終わり頃、

なぜか突然…

クレヨンしんちゃんの

映画がみたくなり、

昔の劇場映画の作品を

連日、いくつかみていました。



自分が小さい時から観ていて、

納谷さんの演じる、

怖いけど温かくて優しい

園長先生が大好きだったこと、

印象に残っていた

キャラクターを思い出していました。


中でも、

吹雪丸とトッペマという

キャラクターが大好きだったので、


先月、納谷さんにお願いしました。


劇場版の昔の台本がもし

残っていたら、

自分が演じてみたい役があるので、

いくつか貸して頂けないかと。 



そしたらわざわざ、

台本を探して下さって、

奇跡的に、

最近のが二冊残ってたけど、要る?と、

聞いて下さいました。


私は是非、下さいとお願いしました。



『お役に立てたなら…

組長、否、

園長としても嬉しい限り。

持ってって要らないは、

受け付けないからネッ

お役に立てたなら何より

使ってやって下さいまし。

ではまた、

来週面倒かけに参上します✋』


ナヤロクロウ



と、可愛らしい沢山の絵文字付きで

メールを返して下さいました。





シーズン最終話の日。


しんちゃんの劇場版の

話をしていて、

実はくしゃみしただけの回も

あったんだよ~、

毎年、なにかしらで

出してくれてね~と、

楽しそうに笑って語っていて。


一足早い誕生日のプレゼントを


なんだ、

そんな気遣わなくていいのに~、

ありがとう…

じゃあ、お疲れ様!と、

恥ずかしそうに照れながら、

受け取って下さった姿を

今でも覚えています。


次のシーズンで、

また現場でお会いできることを

心から楽しみにしておりました。


思えばそれが、


納谷さんとお話しした、

最後の日でした。


何年か前に、納谷さんが

自分の教えた生徒が、

主役をやる作品に

自分が出れるのが

一番嬉しいとおっしゃっていました。



私はそれを目標に、

デビューしてから、

仕事を頑張ってきたつもりです。


納谷さんが生きている間に、

叶えたかった。



いつか、

こういう日が来てしまうことは

覚悟しておりましたが、

こんなに突然に来てしまうなんて

本当に残念で悔しくて

仕方ありません。



けれど、

養成所の2年間と、

現場で、

一緒にお芝居ができた時間は、

私の一生の宝物です。


形に残る作品の中で、

恩師である納谷さんと

一緒に親子役で共演できたことは、

役者人生の私の誇りです。


神様が巡り逢わせて下さったのだと

信じたいです。


納谷さんが遺して下さった、

数え切れない大切なものを

これからも、

大事に受け継いでいけたらと

思います。




台本のお礼が

まだできておりませんが、

私が一人前になることで、

どうか、お返しさせて下さいね。


時間がかかるかもしれませんが、

主役を張って、

マウスの看板を背負える

役者になれるように

これからも、

精進して参りたいと思います。


どうか、見守っていて下さい。



長い間、お仕事お疲れ様でした。




心よりご冥福をお祈り致します。




吉田聖子