みなさん、こんばんは^^



お元気に過ごされていましたか?



今日の宮城も快晴でした。
ここのところ、
暑かったり、寒かったりと
気温の差が激しい毎日が続いています。



関東は梅雨入りしたんですよね。
宮城ももうすぐでしょうか。
そんな肌寒さを感じます。



4月25日に記事をあげて以来、
久しぶりの更新となりました。
こんなに書いていなかったんだと
びっくりしました。



久しぶりにログインしたら、
アメブロの機能がずいぶん変わっていて
戸惑ってしまいました…(・・;)



さて、もう6月になりましたが、
5月の出来事を振り返りますと…



ゴールデンウィークに
どっぷり歴女の娘にせがまれて、
家族みんなでお城めぐりに行きました。。



今回の目的地は、
長野県と山梨県でした。



娘が「真田丸」にハマっていて、
「真田幸村のお城に行きたい!」と
いきなり言い出し、



来年の今頃は大学受験の
オープンキャンパスめぐりで
行けるかどうか分からないとなり、



急遽、4月末にホテルを予約して
2泊3日のスケジュールで
長野と山梨を目指しました。



お城のほうは、上田城、小諸城、
松代城、松本城、甲府城…
5つのお城に行きました。



1ヶ月過ぎてしまって
記憶も曖昧になってしまったので
覚え書き程度に書きますね。



上田城は「真田丸」効果で
大変な人出でした。
大河ドラマ館は1時間半ほど並んで
ようやく中に入ることが出来ました。
真田幸村人気を実感しました。



最初行く予定になかったんですが、
上田城から近いことが分かり、
急遽向かったのが小諸城。



私的には、今回の城めぐりで
一番気に入ったのがこの小諸城です。
苔むした大小様々な石垣に
歴史のロマンを感じたといいますか。



城自体はもうないのですが、
天守閣跡まで行った時、
失われた城壁が見えるような気がしました。
私にとってのパワースポットでした。



そして、
黒と白のコントラストが美しい、
国宝松本城。



行った時間が夕方だったので、
天守閣に入るのは断念。
すっごく混んでいました!




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あの時間であの観光客の数。
昼間はどれだけいたんでしょう??
とてもじゃないですが、
行列見ただけで、
天守閣に行ける気がしなかったです…。



お城以外はというと、
娘のリクエストで上杉謙信と
武田信玄ゆかりの地めぐりをしました。



川中島の合戦で有名な
八幡原史跡公園。
上杉謙信が出陣前に祈祷したという
小菅神社。
武田信玄が祀られている武田神社。
そして武田信玄のお墓。



八幡原史跡公園にある、
上杉謙信と武田信玄の一騎打ちの
銅像を見たい見たいと娘が騒ぐので
行ってみました。



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その公園内に神社があるのですが、
娘はそこで二人のお守りを買いました。
並べて机に置いて眺めては、
「謙信様、信玄様」と言ってます…(^▽^;)



小菅神社は山の上にあるのですが、
境内に行くまで徒歩で1時間かかり、
うっそうとした山の中の参道を
ひたすら登らなくてはいけません。



体力のない私は途中で挫折し、
娘と夫が無事登りきりましたが、
途中で遠目だったらしいのですが、
クマを目撃したそうです。



怖かったって…(((゜д゜;)))



そして武田神社。
宝物殿の中に上杉軍の「毘」の軍旗と
武田軍の「風林火山」の軍旗が
展示されています。



テレビの合戦シーンで見ていると
大して大きくないように感じますが、
実物はものすごく大きくて
びっくりしてしまいました!!



「毘」の軍旗は、
上杉軍が本陣で使用していたものを
武田軍が持ち帰ったらしいのですが、
色あせてもうボロボロで。



撮影禁止で写真はないのです。
すごく残念です。



ああ、なんてリアルなんだろうと。
この旗は上杉武田の歴戦を
戦場で実際に見ていたんだ、と
そんなふうに思うと感慨深くて。



そして武田信玄のお墓。
住宅地の中にひっそりとあって
戦国の大々名として有名な人なのに
その質素さと規模の小ささが意外でした。



意外でしたけども…
お墓は甲府の町並みを
見下ろすような場所にあるんです。



自分が作り、守り続けた町の中に
静かに眠り続けることが出来るって
すごく幸せなことだろうなと思いました。



写真は甲府城から見た富士山。
とても綺麗でした^^




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さて、余談になるのですが、
「真田丸」の主人公、真田幸村のお墓が
宮城県内にもあるんです。



真田幸村のお墓は、
宮城県南部の白石市にある
田村家の墓所の一角にあります。



その昔、白石は伊達政宗の軍師、
片倉小十郎の領地でした。



大坂夏の陣の時、
真田幸村は西軍、伊達政宗は東軍でした。



いきさつは諸説あるようですが、
真田幸村が敗戦を悟った時、
次男・大八をはじめとする4人の子供達を
伊達家の陣にいる片倉の元に
密かに向かわせたのだそうです。



4人の子供達は
伊達家によって保護されたのですが、



徳川幕府になってから、
真田の子を匿っているのではないかと
伊達家に疑いがかけられ、
詰問されてしまいます。



伊達家は幕府に真田の子は死んだと
虚偽の報告をし、
大八を「片倉」に改姓させ、
子供達を匿い続けました。



大八の子孫は幕末になって
ようやく姓を「真田」に戻し、
仙台真田家として今も続いているそうです。



それでなぜ真田幸村のお墓が
白石にあるのか?ということですが、



片倉家に保護された
4人の子供のうちの一人が片倉家に嫁ぎ、
伊達政宗の正室の従兄弟・田村氏に
もう一人の別の娘が嫁ぎました。



田村家は福島の大名でしたが、
一人娘を伊達政宗に嫁がせたために
跡取りがいなくなってしまい
改易されてしまいました。



実家を失った伊達政宗の正室は、
片倉家の領地内に田村家のお墓を
建てました。



田村家墓所の中に幸村のお墓があります。
これは幸村のお墓のそばにある碑です。




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片倉家に幸村の娘が嫁いでいる縁で
田村家に嫁いだ幸村の娘が
父・幸村の墓を田村家の墓所内に
建てたそうです。



ただ、幸村の墓と明らかにすると
逆賊と言われていた当時は
はばかりがあったために、
墓石には名前を彫られていないのです。



大坂夏の陣で敵方である伊達に
幸村が自分の子供達を託すほどの
強い信頼を寄せるまでには
どんなエピソードがあったのでしょうね。



「真田丸」では
そこまで描くのでしょうか?



…そういうわけで、
お城めぐりは地元の白石城で
無事終了となりました^^










さて、今日も妄想小説です。
「 青い空を見上げて 21」の続きです。



久しぶりの続きです。3月以来です。
今日は萌えの表現があります。
そして、友人も登場します。



時系列おかしくない?と
思われる部分もあるかもしれませんが
フィクションということで
寛大に見ていただければと思います。



顔面管理に自信がない方、
背後注意、
前後左右確認OKですか?



これは全てフィクションです。
広い心で読み流してくださいね。



BL小説ですので、
苦手な方はここでページを
変えてくださいね。



続き物になります。
続きはまた、後日に^^












青い空を見上げて 22















以前から、まことしやかに
流れ続けている噂がある。



「二人はデキている」



その噂を最初に聞いたのは
いつ頃のことだっただろう。



ファンのネットでの書き込みを読んで
そんな噂があることを知った。



ありえないと思った。



3年ほど前だったか、
たまたま立ち寄ったカフェで
隣り合わせた客同士の会話を偶然聞いて
噂が立ち消えていなかったことを
俺は知った。



えっ…と、
思わず声を発した俺のほうを見て、
噂をしていたその二人は
しまったという顔をした。



しらばっくれようとしたが
俺が噂の内容を知らないと知るや、
目をまるくして言った。



「ホンベクさん、
ご存知じゃないんですか?」



いかにも意外だという感じで
二人で顔を見合わせていた。




「信じられない。
親友のあなたがご存知ないなんて」



噂の内容を二人から聞いて、
何をバカなことを…と、
俺は一笑に付したが、
ふとある出来事を思い出した。



実は以前、
こんなことがあった。



夏のある暑い日。



ユノ達が活動の拠点を日本に移して
数年後のことだったと思う。



当時日本では、彼らの存在は
認識すらされていなかった。



そんなある日、俺は
日本にある彼らの宿舎をたずねた。
そこは下町の一角にある、
古いアパートだった。



ユノには何も知らせずに、
突然向かったので、
俺を見た時のユノの顔を想像しては
思わず一人で笑みをこぼした。



びっくりした顔と、
うれしそうに笑う顔。



片言の日本語を駆使して
通りすがりの人に道を聞きながら、
俺は住所が書かれたメモを片手に
ユノ達が住んでいるというアパートを探した。



たくさんの家が密集して軒を連ね、
隣りあった家同士の間隔はひどく狭い。
人が一人ようやく通れるくらいの
幅しかない場所も多かった。



駅からだいぶ歩き、
そろそろ着くのではないかと
辺りを見回していたその時だった。



すぐそばの路地裏のほうから、
小さな声が漏れ聞こえてきて
俺は思わず足を止めた。



「…っ」



最初は空耳かと思った。



その後うめき声のようなものが
数度続けざまに聞こえた。



具合の悪い人でもいるのかと、
狭い路地の中を進んで行くと
真っ先に目に飛び込んで来たのは
黒いTシャツを着た男の背中だった。



光があまり差さない暗がりの中、
黒いTシャツの背中に書かれた
金色のアルファベットだけが
やけにはっきり浮かび上がって見えた。



久しぶりに見たとはいえ、
その肩幅や二の腕の筋肉のつき方を見て
すぐにそれがユノだと分かった。



ユノ、と声をかけようとした時、
ユノの肩に乗った細い指先が目に入って
俺は思わず言葉を飲み込んだ。



…こんなところで。



ひそやかに漏れてくる声に
何をしているのかなど
聞くまでもなかった。



とんでもないところに
居合わせてしまった。



バツが悪くなって、
すぐに踵を返そうとしたが、
再び漏れ聞こえた切ない声音に
俺はつい足を止め
振り向きざまに顔を向けた。



それは、
相手がどんな女かという
純粋な好奇心からだった。



いつの間に彼女が出来たんだろう。



相手は日本人だろうか?



ユノが日本に行ってからも
俺達はマメに連絡を取り合っていた。



日本語が分からなくて、
苦労している。
人とのコミニケーションが
うまく取れない。
日本人の本音と建前の区別がつかない。



どんな些細な出来事であっても
何でも俺に話していたはずだが、
その会話の中で、
彼女が出来た話は聞いたことがなかった。



肩越しに横向きの小さな顎と
細く長い首筋が見えた。
女にしては筋張った長い指が、
遠慮がちにユノの肩にかかっていた。



しかし、長い睫毛が伏せられ、
鼻筋が通ったその横顔を見た瞬間、
俺はこめかみを鈍器で殴られたような
激しいショックを受けた。



それは、
女ではなく男だった。



しかも、
俺がよく知っている男だった。



きつくまぶたを閉じ、薄く唇を開き、
声を耐えるように眉根を寄せている。



下のほうでユノの手が動く度、
抑えきれなくなるのか
小さなうめき声が漏れる。



なんなんだろう、これは。
二人はなぜこんなことを
しているんだろう。



俺の脳裏にあるその「男」は、
どこまでも無垢で、
あどけない表情をした幼い少年だった…
はずだった。



向かい合って抱き合って、
ユノに身体を支えられながら、
すがるように
相手はユノの肩に手を回している。



目元を染めたその横顔は、
泣いているように歪んでいた。



汚れる…と小さくつぶやいて、
ユノの身体を押した相手に
大丈夫だ、と冷静な声で語りかける
ユノのささやき声が聞こえた。



言いながらユノが
ジーンズの後ろポケットを探って
ハンカチを取り出した。
それを何に使うのかは一目瞭然だった。



一旦離れかけた相手の身体を
自分のほうに半ば強引に引き寄せ、
繰り返しユノが何かを言い聞かせると、



はい…とまるで幼子のように
あどけなくその男はうなずいた。



がくがくと震える肩。
荒く乱れていく吐息。



こめかみを流れる玉のような汗と
こもったような粘着質の音。



すみません…と切羽詰まった声で
何度か謝りながら男は顔を伏せ、
自分の額をユノの肩にすり寄せた。



その目尻から一筋の涙が伝う。



「気にしなくていいよ」



ユノは空いたほうの手で
男の頭を優しく撫でてやってから
手の動きをいっそう早くした。



やがて、合わせたように
男はたて続けに甘くかすれた
小さな声を上げ始めた。



頭の中が煮えたぎった鍋のように
ぐらぐらしてくる。



目の前で起こっている光景が
とても現実とは思えなかった。



あっ…という悲鳴とともに
男が顔を仰のかせると、
ユノが男の頭を肩口で抱きとめた。



その時、男のまぶたが一瞬だけ
うっすらと持ち上がり、
こちらを見たような気がしたが、
すぐさまそれは力なく閉じられた。



肩で大きく息をしながら、
ユノヒョン、すみません…と
詫びる男の背中を軽く叩きながら、
ユノが相手の名前を呼んだ。



「チャンミナ」



それを聞いた瞬間、
俺の頭の中で何かが音を立てて
ショートした。



弾かれたように、
俺はくるりと身体を翻して、
その場から逃げ出した。



来るんじゃなかった。
あんなものを見たくなかった。



照り返す道をうつむいて歩く
俺の鼓膜の中に何度も何度も
「チャンミナ」と呼びかけた
ユノの声が反響した。



もし相手が女であったなら
これほどまでの衝撃は
受けなかっただろうと思う。



男だったからショックだった。



いや、それだけではなく、
相手が自分の知っている男だったから
なおさらショックが大きかった。



いつから二人は
そういう関係になったんだろうか。



あんな光景を見てしまった後、
どんな顔をしてユノに会えばいいのか
自分でも分からなくなった。



宿舎に行くことも出来ず、
かといってどこにも行くあてもなく
俺はリュックを背負ったまま
街の中をさまよい続けた。



このまま国に帰ろうか。



今夜は駅舎で野宿をしようか。
雨さえしのげれば、
寒くはないから大丈夫だろう。



人の迷惑にならない場所を探して、
雨風をしのいで…朝になったら
空港に行ってチケットを取り直して
早い便で帰国しよう。



コンビニの店先に座り込んだまま
腕組みをしてそこまで考えた時、
俺の目の前で黒いスニーカーを履いた
誰かの足が立ち止まった。



俺は、はっとして顔を上げた。



「ホンベク兄さん…良かった」



あの路地を離れてから
3時間近くが過ぎていた。



目の前のユノは
息を切らして、持久走の後のように
頬を赤く上気させていた。



「ユノ…どうして…?」



「兄さん、来るなら来るで
一言言ってから来てくださいよ。

おばさんから、ちゃんと着いたかって
いきなり電話が来てびっくりして。

とっくに着いてるはずだなんて
まくしたてられても何がなんだか。

まさかこっちに来てなんて
思わなかったから。

事故にでもあったらどうしようって
心配で…でも、良かった、会えて」



早口で一気に言った後、
くしゃりとユノの顔が歪んだ。
俺はとっさにユノに向かって手を伸ばした。



「どこをどう探せばいいか分からなくて。
兄さん、このへんの地理なんか
分からないはずだし。

心当たりなんて全然ないし。
一体どこ行ったんだろうって。

…まさかもう帰ったんじゃないかとか。
色々考えてとにかく滅茶苦茶探して」



ユノの黒目勝ちの大きな瞳。
その黒い瞳を囲む白い部分が
充血して赤くなっていた。



俺の母親が電話してきた後、
心配して必死になって
探しまわっていたに違いない。



ユノがしゃがみ込んで、
俺の目線に合わせて話続けた。



「ホンベク兄さん…あのね、
嫌かもしれないけど、
今日はオレ達の宿舎に泊まってくれない?

狭くてくつろげないかもしれないけど、
こんな所にいたら風邪ひいちゃうし、
行くとこだってないだろう?

もし…オレのことが嫌なら、
オレはよそに泊めてもらうアテがあるし」



発せられた言葉に、
俺は思わず目を見開いた。



ユノのことが嫌?
どうしてそんなことを言うんだろう。



ユノは頭を下げた。



「兄さん、この通り。お願いします。
オレを嫌いになったかもしれないけど、
オレのことは無視しててもいいから
お願いだから、
今日はオレ達の宿舎に泊まってよ。
このまま帰すわけにはいかない」



言葉に呆けて、
俺はぽかんと口を開け
間抜けた顔になっているのが
自分でもよく分かった。



俺がユノを嫌いになる?



俺は首をかしげた。



「どうして、
俺がおまえを嫌いになるの。
なんでそんなこと言うんだ?」



俺の言葉にユノの顔が
泣き笑いみたいに歪んだ。



「…良かった。口きいてくれた」



目尻に涙を浮かべたその笑顔に
胸がチクリと痛んだ。



「今晩は宿舎に泊まってくれる?」



潤んだ不安そうな目で聞かれて、
俺は口をつぐんだままうなずいた。



ユノが、ホッと安堵の息を漏らす。



「…良かった。
あんなとこ見られたから、
もう兄さんに嫌われたと思った」



そう言ってユノはうろたえたように
視線をさまよわせながら言った。



「見たんでしょう?」



「……」



「チャンミナが…
見られたかも、って」



うつむいたユノの耳たぶとうなじまでが
まるで刷毛で刷いたように
一気にピンク色に染まった。
つられて俺のほうまで赤くなった。



急に仰のいた喉元や、
吐息や声を生々しく思い出した。



俺はしばらく黙っていたが、
やがて、「兄さん」と変に冷めた口調で
ユノが俺を呼んだ。



視線をそらして、
どことも言えない場所を見つめながら
他人事のようにユノが話しはじめた。



「言い訳にしかならないけど、
信じてもらえないかもしれないけど、
オレとチャンミナはそういう関係じゃないんだ。
それだけは誤解しないで欲しいんだ」



俺はその言葉に当惑して
口を開いた。



「誤解するなって言われても…。
まさかあんなところを見たら…」



「やっぱり見てたんだね」



ユノの口から深いため息が漏れた。
そして下を向いたまま、
ぽつぽつと話しはじめた。



「来てもらえれば分かるけど、
宿舎って言っても…

自分のスペースなんか全然ない。
でも今はまだそれでも仕方ないと思ってる。

オレ達はそれなりに上手くやってるけど、
あいつはガキだし…マンネだから、
オレ達にいつも気を使って…色々と。

あいつは大丈夫だって言うけど
無理してる、我慢してるよなって。

だけどあいつの性格じゃ
自分からは言い出せない。

オレのほうから言ったんだ。
無理するなって。手伝うって。

…ただの生理現象だから、
感情なんてないんだ。

もちろん深い意味もない。
理解してもらえないと思うけど」



感情がない?
果たしてそうだろうか?



しどろもどろになりながらも、
俺の誤解を解こうと
ユノが懸命にさらに言葉をつむぐ。



「俺達はその…
断じて兄さんが想像しているような
そういう関係じゃない。
それだけは信じてください」



言いたいことは分かる。
でも理解出来ない。
理解出来ないけど。



「よく分からないけど、
…あれは必要なことだったのか」



俺の言葉にユノは一瞬息を飲み、
やがてうなずいた。



でもどうして
それがおまえなわけ?



あのグループのリーダーとして
義務感だけでやったのか。



生来、優しく生真面目な男だ。
嫌がる相手に無理強いしたり
自分の欲望のはけ口に
後輩を使うような卑劣なやつではない。



男ばかりの共同生活。
何かと不自由もあるんだろう。
ましてチャンミンは一番年少だから
口に出来ない苦労もあるだろう。



そんな後輩に対して、
ユノが心を砕くのは当然のことで。



だからと言って、
どうしてあんなことを…
そう思う気持ちが堂々巡りする。



でも、弟同然のユノを
困らせ悩ませるのは本意ではない。



想像もつかないような
不自由なこともあるんだと
俺は自分に言い聞かせた。



俺の言葉一つ。
受け止め方次第だ。



俺一人の胸に留めて
流してしまえば解決する話だ。



何よりも
ユノとの関係を壊したくない。



しばらくの間、逡巡した挙句、
俺は物分りの良い兄を演じるために
表情を緩ませた。



「…分かった。分かったよ。
もうあの事は忘れる。
見なかったことにする。
おまえもチャンミンも忘れてくれ」



オレはユノの肩に手を回して
引き寄せて笑いかけながら言った。



「行こう。おまえ達の宿舎に。
今晩は世話になるよ。よろしくな」



その日、俺はユノ達の宿舎に泊まった。
チャンミンをのぞいた他のメンバーは
全員顔をそろえていたが、



チャンミンだけは、
知り合いの所に泊まると言って出かけたきり
俺が帰国の途に着くまで
一度も姿を現すことはなかった。



なぜいないのかは
あえて聞かなかった。



以来、俺もユノも、
一度もその出来事には触れたことはない。



それは、
ユノにもチャンミンにも
つきあいの長さ、深さはともかくとして、
その後それぞれに彼女が出来たから
思い出すこともなかったからだ。



噂を知るまで、
俺はすっかりあの夏の出来事を
忘れていた。



そしてその噂を耳にした後、
ユノの口からそれらしい話が出てきたことは
一度もなかった。



口さがない連中が好き勝手に流した
単なる噂だと俺はずっと聞き流してきた。










そして月日が流れ、
ある日、噂の当事者の一人である
チャンミンが、珍しく俺を呼び出して、
とある相談を持ちかけてきた。



その噂を打ち消すために
俺に協力して欲しいというものだった。



噂の原因というのが
長く続けている二人の同居にあると
考えていたチャンミンは、



ユノが「国民の義務」を控えていると
いうこともあって、



同居を解消したいと考えていること。
自分が出て行ったら、
代わりに俺にユノと同居して欲しいということ。
ユノを一人にせず、
出来る限りそばにいて欲しいということ。



細々とした注文を列挙した後、
俺が唖然としながらも善処すると答えると、
安心したように笑みをこぼした。



そして珍しく俺に向かって
深く頭を下げてから、
なんとも言えない表情を浮かべた。



「あいつは納得しないよな。
大丈夫なのか、本当に」



俺は男に向かって聞いた。
やつは静かにうなずいて、
これが一番最善の方法だと断言した。



ユノのため、ユノのためを
何度も口にするチャンミンに向かって
俺はたずねた。



「噂は本当なのか」



一瞬にして即答された。



「違います」



即座にそう言い放った
チャンミンの気迫に
俺は思わずたじろいだ。
そんな俺を見て、
チャンミンは、ほろ苦く笑った。



「火のない所にも煙は立つ。
そういう所に僕達はいるんです」



そしてその一ヶ月後、
チャンミンはマンションから
出て行った。



出入り禁止にしたわけじゃない。
来るなと言った覚えもない。



でも、出て行ってから、
一度もチャンミンは
このマンションに来たことはなかった。



本気で噂を打ち消そうとしているんだと
俺はそう思っていた。



…それなのに。










数日前。
ユノと俺はソウル市内にある
とある病院を訪れた。



「うわ、可愛い!」



腕の中に収まった赤くて小さくて
柔らかな生きものを抱いた瞬間、
ユノは嬉しそうに歓声をあげた。



陽射しが暖かく部屋中を照らしている。
真昼の明るい光の中で
数日前にこの世に生命を受けた
小さな赤ん坊が穏やかに息をしていた。



優しく頭を撫でるユノの手を眺めて、
俺はあらためて赤ん坊の小ささに驚く。



ゆりかごのように身体を揺らしながら、
赤ん坊をあやすユノが、
その隣りに立つ赤ん坊の母親に笑いかけた。



「鼻と口元がお父さん、
目はお母さんにそっくりだ。
すごくまつ毛が長いね」



「私の目に似てるってことは
あなたの目に似てるってことね」



赤ん坊の母親である、
ユノの従姉が嬉しそうに微笑む。



「姉さんに似てこの子は絶対美人になる」



ユノが赤ん坊をのぞきこんで
声を弾ませながらそう言うと、
従姉は少し照れくさそうに笑った。



視線を落とした先、
腕の中の赤ん坊は健やかに寝息をたて、
時々口を動かして目を閉じていた。



ユノの従姉は結婚して
ソウル市内に住んでいた。



赤ん坊が生まれたと聞いて、
すぐにでもお祝いに行きたいという
ユノにつきそって俺は病院に来た。



ユノの従姉は美しく優しい人で、
他人である俺の面会も快く受けてくれたが
やはり女性の部屋ということで、
居心地が悪く少し俺は距離を置いて見ていた。



赤ん坊を腕に抱いたまま、
ユノがこちらを振り返って言った。



「兄さんも抱いてみなよ」



「いや、俺は無理。やめておくよ」



「大丈夫だよ」



従姉がほがらかに笑う。



「ぜひ抱いてやってちょうだい。
たくさんの人に抱かれると
幸せに育つっていうし」



ユノから赤ん坊を託されて、
俺は戸惑いながらも赤ん坊を受け取ると、
落とさないように慎重に腕に抱いた。



隣りから慣れたように支えるユノに
俺は「お父さん、慣れてるな」と
ひやかして笑いかけた。



「子供は大好きだからね」



俺の身内にも子供は多いが、
こういった経験はあまりないから
どうも慣れないし
我ながら危なっかしい。



すぐに赤ん坊を差し出す仕草を見せると
ユノは苦笑しながら赤ん坊を
丁寧に受け取り、
慣れた仕草で腕の中に抱き直した。



「次はユノの番よ。
いい年なんだから早く結婚しなさい」



ユノが、くすくすと笑った。



「すごくプレッシャー。
それをあんまり言わないでよ」



「あなたのことだから、
言わなきゃいつまでたっても
結婚しないでしょう?」



「大丈夫。言われなくても、
時期が来たらちゃんとするから」



ユノが明るく笑い声をたてて、
従姉の胸に赤ん坊を丁寧に返す。



「神様のご加護を」



同じ目線までかがんで、
深い眠りについている赤ん坊の頬を
優しく撫でてやりながら、
ユノは優しく語りかける。



こいつは
本当に子供が好きなんだな。



いつかこいつも父親になる日が来る。
きっといい父親になるだろう。



赤ん坊を見つめる優しい横顔を見て、
俺はその時そう思った。



だからこそ、
あんな噂は絶対嘘だと思った。



二人がそういう関係だなどと。



こんなに子供が好きなのに、
子供を望めない不毛な関係を
ユノが自ら進んで結ぶなんて
俺には到底考えられなかった。



…それなのに。











ユノはここ最近、
よく外泊をするようになった。



本人から聞いたわけではないが、
行き先は分かっていた。



チャンミンのマンションだ。



俺がマンションに来て以来、
不思議とプライベートで
ユノとチャンミンが
行き来することは全くなかった。



マンションに来る口実にと
荷物は全部そのままになっているのに
取りに戻ることもなかった。



それなのに、ある日を境に
ユノが足繁くチャンミンのマンションに
通い始め、朝帰りすることも珍しくなくなった。



チャンミンの送迎を
ユノ自らがしているらしい。
そんな噂まで流れるようになった。



二人は仕事仲間だし、
行動を共にするのは当然のことだ。



夜を徹して
仕事の話をしていただけだ。



当初はそう思っていたが、
ある日ユノの身体に痣を見つけて、
さすがの俺も疑念を抱くようになった。



夏の日に見たあの出来事と、
赤ん坊を抱いて微笑むユノの姿が
何度も頭の中で繰り返し再生された。



何度目かの外泊が続いて、
久しぶりに顔を合わせたその夜、
俺は思い切ってユノにたずねた。



「ユノ、聞きたいことがある」



「いいよ、何?」



夕飯を取った後、
自室に引き揚げようとしたユノに
そう声をかけると、



ユノはいつものように
俺に明るい笑顔を向けてきた。



多分、違う。



ユノの態度は全然以前と変わらない。
よくある下世話なただの噂だろう。



ユノは噂の内容を聞いたら、
きっと目を丸くして
そんな噂があるのかと笑い飛ばすだろう。



あの痣だって、野外撮影の時に
虫にでも刺されたんだろう。
だから隠そうともしないのだ。



確認のために俺はたずねた。



ユノの笑顔を見て、
俺はそう確信した。だが。



「おまえとあの…チャンミンはその、」



さすがにその先を言いよどんだ
俺の顔を数秒間無言でじっと見た後、
ユノは真顔でうなずいた。



「そうだよ」



えっ…と俺は耳を疑った。



「兄さんが思っている通りだよ」



信じられない言葉を聞いたと
俺が固まっていると
ユノはなおも重々しくうなずいた。



「おまえ、」



「聞きたいことはそれだけ?
だったらオレはもう寝るよ。おやすみ」



今聞いた言葉を信じられなかった。



いや、ユノは、
はっきり内容を言ったわけではない。
おそらく、俺の質問の意味を
別のことと勘違いしたのだろう。



だからあっさり肯定したのだ。



待てよ…と俺は
背中を向けたユノを引き止めた。



「俺はまだ最後まで言ってないよ」



かすかに眉をあげたユノに向けて
俺は言葉をつないだ。
質問をし直そうとしたのだが、
その前にユノが先に言葉を発した。



「聞かなくても分かるよ」



もう一度、
かすかに視線をそらして
ユノはうなずいた。



「言ってないのに、
どうして分かる?」



分かっている?
本当に分かっているんだろうか。
勘違しているのではないのか。



「兄さんだけじゃない。
リュさんからも同じことを聞かれた」



「おい、それって…」



リュの名前を出されても
俺はまだ信じられなかった。
勘違いしているという希望を
捨てきれない。



しかしユノは、
俺の疑念を断ち切るように
さらにはっきりと肯定した。



「オレとチャンミナは
そういう関係だよ」



「そういう関係って…」



俺はユノに向かって言い募った。



「おまえは勘違いしているんだ。
兄弟愛と…恋情は違う」































…つづく





































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今週がみなさんにとって
素敵な一週間になりますように。

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