みなさん、こんばんは^^



お元気に過ごされていましたか?



今日の宮城もよく晴れていました。
今日は一日家の中で過ごしていたので
外の気温はわかりませんが、



エアコンを切って過ごせるほどでしたので
暖かな一日だったのではないかと思います。



今日、この記事を書くにあたって、
前回記事を書いた日を確認しましたら、
一ヶ月近く空いてしまっていました。



仕事の繁忙期と、
風邪をひいてしまったのと、
ちょっとしたケガをしてしまい、



パソコンからしばらく遠ざかっていました。
今はすっかり身体は良くなりました^^



この時期…3月、4月は、
どの方にとっても変化の多い月で、
忙しく過ごされている方が
多いことと思いますが、



気温の変化が激しく、
体調を崩しやすい時期ですので、
みなさんもどうかお身体に気をつけて
お過ごしくださいね。



4月からは、
ようやく時間が出来そうです。
ご無沙汰していたみなさんのブログに
また遊びに行こうと思っています^^




…さて、久しぶりに書いているので、
今日の記事は長いです(;^_^A



私は、一昨日から三連休でしたので、
実家のお墓参りに行って来ました。



実家のお墓は海沿いにあり、
津波によって一度流失しましたが、
翌年元の場所に再建されました。



地区が居住禁止区域になったため、
荒涼とした土地の中に、
墓地だけがぽつんとあるのですが、



周囲が公園として整備され、
震災遺構も保存されていることもあり、
立ち寄ってくださる方も多いので、



ここで眠っている人達も少しは、
寂しさがまぎれるのではないかと
公園内を散歩されている方々を見て思いました。






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保存されている震災遺構。ここに同じ地区の方のお家がありました。
津波で流されて土台だけが残りました。私の実家もこんな感じでした。






公園が出来てからだいぶ経つのですが、
初めて近くにある避難丘に登って、
海を眺めてみました。



実は、震災直後に自宅跡から
海を眺めて以来、
防潮堤が建設されたこともあって
海を見ることが出来なくなりました。



避難丘に登れば海が見えるのは
分かってはいたのですが、
防潮堤の先にある海を
どうしても見る気になれませんでした。



悲しいとか辛いとかではなくて、
自分が幼い頃に見ていた海とは
なんだか違うような気がして。



階段を上まで登って、
強い海風をまともに受けながら、
スマホを海に向けて写真を撮りました。







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へたくそな写真ですみません。避難丘から見た海。ここにはかつて防風林があったので、
こんなふうに海を見ることは出来ませんでした。手前が防潮堤、奥に見えるのが海です。








防風林がきれいさっぱりなくなって
防潮堤の向こうにかすかに見えた海は
やっぱり見知らぬ海だと思いました。



お墓参りに行きますと、
散り散りになったかつての
ご近所の方にお会いすることも多くて、
よくお声をかけていただくのですが、



その度に、
その方の記憶の中にいる私は
かなり幼いはずなのに、
よく覚えていてくださるとびっくりします。



お墓参りに行くと、
親戚のお墓や幼なじみの家のお墓、
ご近所の方のお墓にもお参りするのですが、



その途中、とある家の戒名碑に
真新しく掘られたお名前を見つけました。
お元気なうちに一度お会いしたいと
思っていた方のお名前でした。



その方は、ご近所のおばあちゃんで
小さい頃、うちの家人が留守の時に
私がよく預けられたお家の方でした。



自営業のお家でしたので、
広大な敷地の中に大きなお庭があって
大きな蔵があって、大きな池があって、
その上には橋がかかっていました。



橋の上にしゃがんで、
池の中にたくさん泳いでいる錦鯉を見ながら、
私はそのお家のおばあちゃんと
よく一緒に過ごしたものでした。



そのおばあちゃんは、
震災当時は一人暮らしをされていたのですが
消防団の救出によって助かることが出来ました。



震災から一週間後、
私が避難所が行った時、
私の姿を見つけたおばあちゃんが、



「若い人がたくさん死んで、
こんな年寄りが助かってしまった」と
私にすがって泣きました。



実の祖母をだいぶ前に亡くした私にとって
そのおばあちゃんは祖母同様の方だったので、
よく無事でいてくれたね、としか
かける言葉が見つかりませんでした。



そのおばあちゃんが、
のちにやはり被災された
息子さん夫婦に引き取られ、



あの混乱していた時ですから、
避難所や仮設を点々としているという話を
風の便りに聞きました。



お元気なうちに会いに行きたいと思いつつ、
どこにお住まいなのか分からなくて、
気がついたら遠い所に行ってしまわれてた。
もっと早く真剣に探せば良かったと
お線香をあげながら悔やみました。



これからは、このような形で
懐かしい方々の消息を知ることが
増えていくのかもしれません。



なんだか湿っぽい話ばかりで
すみません。



よく聞かれるのですが、
「海を見るのは辛いでしょう?」
「海を憎いと思うでしょう?」
って。



津波を直接見たわけでは
ないせいでしょうか、
不思議とそういう気持ちは
私の中にはないのです。



私が今も鮮明に覚えている海は、
震災直後に
土台だけが残された実家跡から見た
大きな大きな海。



白波がいくつも音をたてて、
浜辺に繰り返し打ち寄せていました。



『人間なんてちっぽけなもんだよ』



そんなふうに言っているように
私には見えました。



あの青くて綺麗な海が、
今も私の記憶にある全てです。






ちょっと寂しい話題になってしまったので、
ここで会社での私の「癒し」をご紹介↓^^






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前回の記事に書きましたが、
「ハイキュー!!」の及川さんのクリアファイルです。
味気ない書類をここにしまいながら、
疲れた心を癒しています。



この及川さん、最初は大っ嫌いで
見るたびにムカついていたのに、
気がついたらどのキャラよりも好きになってました。



でも今週のアニメではこの及川さんが、
ちょっと寂しい展開になるんです。
ほんと辛い。今から見るのがほんと辛いよ(´□`。)



…で、もう一つの会社での
私の癒しがこちら↓^^






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安定の東方神起マウスパッド。
時々意味もなくおかしな?場所にマウスを置いて
一人でニヤニヤしています^^
どこにどう置いているかはご想像にお任せします。







さて、今日も妄想小説です。
「 青い空を見上げて 20」の続きです。



今日は萌えの表現があります。
久しぶりに書いたので飛ばされないか
ちょっとばかり心配してます。
セーフだといいんですが(;^_^A



次回はしばらくぶりに、
あのお友達が登場します。



顔面管理に自信がない方、
背後注意、
前後左右確認OKですか?



これは全てフィクションです。
広い心で読み流してくださいね。



BL小説ですので、
苦手な方はここでページを
変えてくださいね。



続き物になります。
続きはまた、後日に^^












青い空を見上げて 21















「意外だな」



身体を預けていたチャンミナの頭を
優しく撫でてやりながら
オレは部屋の中を見回した。



「何がですか?」



「何もなくて」



この部屋に入ったのは
今日が初めてだ。



チャンミナのことだから、
壁中本棚に埋め尽くされ、
所狭しと分厚い本が
並んでいるものとばかり思っていた。



予想に反して部屋の中は
白い壁が妙に目立って
まるで生活臭が感じらない。



一応といったふうに置かれている
少しの家具や、
家電をのぞけば、少しの雑誌や
本が数冊ある程度だった。



そんな室内をぐるりと見渡して、
他の人間が存在を感じないことを
確信するとオレはこっそり
安堵の息を吐いた。



オレの胸に顔を預けていた
チャンミナが、
吐き捨てるように答える。



「どうせここは寝るだけですから」



どこか面白くないと言いたげな口調に
オレは小さく苦笑した。



「おまえって割と小物とか、
インテリアにこだわるタイプなのに、
壁に絵の一つも掛けていないなんてさ」



「何もなくても特に困らないですから」



生活するために必要な、
最低限の物しか室内には見当たらない。
まるでホテルの一室みたいだ。



二人で住んでいた頃、
オレ達は必要に迫られて、
何度も何度も引っ越しを
繰り返したものだった。



殆どは事務所にあてがわれた部屋で、
その度に、チャンミナは
文句を言ったものだった。



壁紙がセンスない、
間取りが気に入らない、
照明の位置が気に入らない、
キッチンの色が良くない、など。



自分がプライベートで過ごす空間は、
出来る限り居心地を良くしたい。
そうすることが、
仕事に対するモチベーションを
上げていく上での最低必須条件だ、と。



それなのに、
この部屋には何ひとつとして
こいつらしい、
こだわりが感じられなかった。



「急に決めた部屋ですし、
特に思い入れも何もないし。
どうこうしたいって気持ちにも
ならなくて」



「…そうか」



あまりにも殺風景な部屋だ。



オレのマンションに
荷物をほとんど置いていき、
身体一つで越してきたようなものだ。



あえて荷物を置いて行かせたのは、
マンションに来る口実を作ったつもり
だったのに、予想に反して
こいつは一度も帰って来たことがない。



こんなに何もない部屋で、
困らないはずがない。



おそらく気持ちが上向かないんだろう。



荷物を置いて行けなどと、
今考えてみれば、
酷なことを言ったかもしれないと
胸がちり…と痛んだ。



「ヒョン、僕が言っている意味、
あなた分かってますか?」



「何、意味って」



「だから、どうして僕が
この部屋のことをどうでもいいと
思ってしまうのか」



オレがいないからだろう?
それ以外思いつかないけれど。



「さあ…どうして?」



オレがそう言うと、
とぼけちゃって…と
チャンミナは呆れたようにつぶやき
ソファの上にオレを押しつけた。



その指先が、
オレの顔の両脇について、
首筋に顔を近づけてくる。



オレはチャンミナの胸を
両手で押しのけようとした。



「くすぐったいよ」



まだ話の途中なのに…と
身体をひねってチャンミナの
後頭部をつかんだ時だった。



「そんなことよりも、」



最後まで言わないうちに
チャンミナが、
顔を傾けて唇を合わせてきた。



オレの唇をこじ開けて、
なかば強引に探ってくる。



時折小さく息を漏らしながら、
徐々に口づけを深くする。



されるがままになりながら、
オレは慈しむように
チャンミナの髪を指先で
繰り返し梳いた。



口づけの合間に水音がして、
チャンミナが
唾液を嚥下する音が聞こえる。



自分からは求めようとしないオレに
焦れたように、
口づけを深くしてくる。



…おまえと交わすキスは
やっぱり気持ちがいい。



ぞわっと背筋に震えが走る。
オレは目を閉じたまま、
チャンミナの動きを追っていた。



薄くまぶたを開いた時、
懸命に唇を合わせていた瞳と
至近距離で視線がぶつかった。



オレの瞳を
まっすぐにのぞき込みながら
チャンミナはゆっくりと唇を離した。



離れた唇に物淋しさを感じて
オレは思わず唇を舐めた。



ソファに背中を預け、
余韻に胸を喘がせながら、
オレはチャンミナを見上げた。



「もう、おしまい?」



オレがからかうように言っても、
チャンミナは表情を変えない。
ただ、視線を強くして、
「ヒョン」とつぶやいた。



「するんですか、
それともしないんですか」



オレが応じないこないことに
苛立っているのか、
チャンミナの口調はきつい。



「したいの?」



平然と言ったオレの真上に
チャンミナがかがみ込んで、
怪訝そうにたずねてくる。



「ヒョンは、
したくないんですか」



別々に住むようになってから
オレ達は一度も二人きりで
会わないようにしていた。



その間、他の誰かと間に合わせに
関係を持ったことはもちろんないし、
おそらくチャンミナもそうだろう。



だからちょっと触れただけでも
簡単に熱がこもる。



ついさっきだって、
必死に自分を抑えたばかりだ。



本当ならすぐに応えるところだけど
オレがこうして出向いて来るまで
こいつが何の行動も起こさなかったことを
考えるとちょっとした意趣返しをしたくなった。



オレは黙ってじっと、
チャンミナを見上げた。



チャンミナが焦れたように
軽く舌打ちをすると
片手でオレの胸をゆっくりと撫で、
残ったほうの手で触れた。



どんどん息を上げていく。



その様子を見上げて
オレは唾を飲み込んだ。



息を荒くしたチャンミナの顔や
首筋が赤く染まる。
声が漏れる。



わずかに開いた口の中から
細かく震える舌がのぞいて見えて、
その目は射るようにオレを見据えている。



「一人でしてたの?」



「知りませんよ、そんなこと」



唇を舐め、絞り出すような声で
チャンミナが言う。



「とにかく今すぐやりたい」



これまで聞いたこともないような
切実な響きの声音に息を飲む。
普段取り澄ました顔しか見せない、
この男の口からこんな言葉を聞くと
じわりと反応した。




「じゃあ、どれくらい
オレを欲しい?」



わざとそう問いかけると、
聞かれたチャンミナは、
不意を突かれたように
視線をさまよわせた。



我ながら稚拙な言葉だと呆れながら、
困っているような表情を見て、
なんとかして答えを言わせようと
いたずら心がわき上がる。



どんなわずかな言葉でも構わないから
この男の心と身体の中に
自分がいるとこいつの言葉で
確信したかった。



そう思ってしまうほどに、
離れて暮らしたこれまでの時間は
オレの心に大きな空洞を作っている。



「ダメなんですか」



「ダメ?何が?」



問いの意味を知りながらも
意地悪く声をひそめて再び問う。



「だから…」



ぐっと身体を仰け反らせて、
チャンミナは悔しそうに顔を振った。
その間も優しく胸を撫でてくる。



時々うめき声を上げそうになって、
チャンミナに気づかれないように
そっと眉をしかめた。



まるで首でも締められたように
うまく息が出来なくなる。



こんな感覚は久しぶりだ。



切羽詰まったような
チャンミナを見て唾を飲み込む。



「さっきは自分のほうから
僕を煽ったくせに、
今度は焦らすんですか」



チャンミナの熱が、
かすかに触れた。



肩をすくめてうつむいた
チャンミナが手を止めた。



「一人で涼しい顔して」



恥ずかしそうなその声に、
小さく笑いを漏らしつつ、
オレは自分の手を伸ばした。



オレの胸の上に置かれた
チャンミナの手の甲を
なだめるようにそっと撫でる。



「それじゃ答えになってないよ。
どのくらいオレが欲しいの?」



「ほんと意地悪ですね」



手の甲をするりと撫でただけで、
じわりとチャンミナの瞳が潤んだ。
固く握りしめられたその拳を
オレは上からそっと包み込んだ。



「分かっているくせに」



空いた片手でぐしゃぐしゃに
髪をかき乱してから
チャンミナは急にぺたりと
オレの上に倒れ込んだ。



「あなただって僕が欲しいくせに
わざとそんな意地悪を言う。
どうしてそんなこと言うんですか」



「まずオレの質問に答えて。
どのくらいって聞いてるのに、
それじゃ答えになっていない」



顔を隠されると少し心配になって
小さな顔を両手で包んで上げさせる。
オレの言葉を無視して、
なおもチャンミナは続けた。



「ここに来て、話をして、
用件が済んだらはいさよならって
帰るつもりだったんですか」



オレは小さくしのび笑った。



「そうかもしれないよ。
それじゃ不満なの?」



チャンミナが驚いたように
目を見開き、
少し黙り込んでから低い声で
問いかけてくる。



「外にいる連中が気になりますか?
ここでやってるって
連中に思われたくないから?
だからやりたくないとか?」



「やりたくないなんて
一言も言ってない」



オレは眉をひそめる。



「そんなことを気にするなら、
最初からここには来ていない」



チャンミナの部屋にオレが来た、
それだけでも、外にいる人間達は
あることないことを、
吹聴するというのに。



分かってますけど…と
首を振ったチャンミナが、
オレの胸に顔をすり寄せた。



どこもかしこも密着して
ますます煽られてしまう。



オレのほうも熱がこもっている。
多分それは分かられている。



もし…とチャンミナが、
小さな声で口火を切る。



「もし、僕が女だったら、
あなたは堂々とこの部屋から
朝帰りが出来たでしょうね」



「女だったら、だって?」



勢いをつけて身体を起こし、
ぐるりと反転させると、
チャンミナの身体をソファに
押しつけた。



「もし、なんて仮定はやめろ」



思い切り突き飛ばそうとすれば
そう出来るほどの強さで。



「オレ達が出来てるって
噂を消したいとかなんとか言って
オレに相談もなく、
勝手にマンションを出て行ったのは
おまえのほうだろう?」



「そうしなければ、
あなたが困ると思ったから」



「オレのため、オレのためって
それを口実にいつもおまえは逃げている」



「ヒョンだって
それは同じじゃないんですか」



どんなに圧力をかけられても、
離れることなんて絶対出来ないと
お互いに分かっているのに。



ギリギリのところで、
次の一歩が踏み出せなくて、
オレ達はいつも迷っている。



覚悟が足りない。



オレは、
大きく息を吸い込んだ。



「おまえはここで暮らすようになって、
残されたオレの気持ちを考えてくれた?

オレは何度もおまえにメールしたのに、
おまえは返事をくれなかったし、
自分からは一度も連絡してこなかった。

オレは我慢して待っていた。
おまえからの連絡を。

オレはずっと寂しかった。
おまえはそうじゃなかったの?」



睨みつけながらそう言うと、
チャンミナはぐっと奥歯を噛みしめた。
少しの間黙り込むと、
じっとオレを見上げてため息をつく。



「…僕はヒョンみたいに
優しくはないから…
自然に人を思いやったり、

それを言葉にしたり、態度に表したり
そういうのは…苦手です。

何か気の効いたことを返さなきゃって
考えてるうちに、
どんどん時間が過ぎてしまう」



小さな声でそうつぶやいて
チャンミナは目を逸らした。



そうだったね…と、
オレはうなずく。



ストレートに感情を言葉にすることや、
表現することが苦手で、
いつも周りに遠慮している。
遠慮しすぎてそれが裏目に出てしまう。



本音と建前の使い分けも出来ないし、
駆け引きなんてもってのほかだ。



だからといって、
気遣いが出来ないわけじゃない。



気遣っていると思われたくないから、
相手が気づかないうちにさりげなく
先回りして川に橋をかけておき、



無事にその人が渡りきるのを
陰からそっと見守って、
黙って立ち去るような男だ。



オレはむしろそんなふうに、
こっそり動くのは苦手だから、
自分にはないチャンミナの
そういう部分にも惹かれているんだ。



チャンミナの肩から手を離して、
力強く抱き起こす。
チャンミナは顔をそらしたままで
大人しくオレの腕の中におさまった。



「メールの返事なんて、
『読んだ』の一言だけでもいい。
オレのために打ってくれたって
思えるのが幸せなんだから」



チャンミナが息をのむ。



「…だけどすぐに返事をしたら、
僕が寂しがっているんじゃないかって
かえってヒョンは心配するんじゃないですか?
そんな心配かけるのは嫌だったから」



「好きだからだよ」



投げやりな口調でつぶやく。



「好きだから心配する」



チャンミナがどう思うか
分からないけれど、



少なくとも、
こんなに心配して
何かと構いたくなるのは
チャンミナに対してだけだ。



愛されていると確認したくなったり、
澄ました顔を歪ませて、
いじめたくなるくらいに
オレの心は持っていかれている。



求める姿を目にするだけで、
鼓動が大きく乱れてしまうくらい
簡単に煽られる。



「オレにこんなに心配かけるのは、
おまえぐらいだよ」



「僕、そんなに心配かけてますか?」



「かけてるよ。
オレが勝手に心配してるだけだけど」



「僕はヒョンに
心配かけないようにしてるつもりです」



「おまえが自覚してないだけ。
離れているせいで前よりも
いつも心配で心配でたまらない」



変なやつに
誘われたりしないかとか
触られたりしてないかとか。



オレが知らないところで
辛い思いをして、
一人で泣いてやしないだろうかとか。



チャンミナから連絡がこない間、
もしかして、オレのことを
好きじゃなくなったんじゃないか、
こんなのは不毛な関係だと
冷静に考えて目が覚めたんじゃないかとか。



オレのほうはこんなに
チャンミナのことばかり考えているのに。
オレが思うほどチャンミナのほうは
真剣な気持ちではなかったんだろうかとか。



ずっとオレは、
ネガティブなことばかり考えていた。



自嘲じみた笑みを浮かべつつも、
そんな本音を押し隠して
オレは続けた。



「どうでもいいやつの心配なんか
さすがのオレでもしない。
だけどおまえは別格なんだよ」



笑いながら髪を乱暴にかき回す。



「心配する相手がいるって
すごく幸せなことだと思ってる。
心配してくれる人がいるってことも。
心配するのは決して負担なんかじゃない。
おまえの存在がオレの心を強くするんだ」



だから安心して心配させて、と
ぎゅっと固い身体を抱きしめると、
チャンミナがため息をつきながら、
「分かりました」と殊勝に答える。



…などと言いつつ、
相変わらず心配させまいと
あれこれ気を遣うんだろうと苦笑する。



あ、と小さく声をあげてから、
チャンミナは駄々っ子みたいに
拗ねた口調で続けた。



「さっきヒョンは優しいって
言ったけど、やっぱりヒョンは
意地悪だと思います」



「どうして?」



「僕が欲しいって言っているのに
無視してるじゃないですか。
何度も焦らすし。僕がこんなに…」



「こんなに…どうしたの?」



「もういい加減にしてくださいよ」



口を尖らせて言われたから、
背中をあやすようにぽんぽんと撫でて、
「チャンミナ、可愛い」と
耳元でささやく。



返事がない代わりに、
軽く肩に歯を立てられる。
痛みはなくて、じわりと心地よい。



「ちゃんと今夜もオレを全部あげるよ」



わざと甘い声でそう言うと、
オレの顔をまじまじと見つめて
チャンミナは頬を染めてうつむき、
気まずそうに口元を歪めた。



「今日はするほうがいい?
それともされるほう?」



オレはその唇を軽く舐めて、
ゆっくりと押し倒した。



「だけど、
もう一度誘って欲しいな。
さっきみたいに」



きょとんとしたチャンミナの顔を見て、
くすりと笑う。



「出来ない?もう一回見たいな、
えっちなチャンミナ」



言いながら実は喉が引きつっている。
さっきのチャンミナを思い出し、
劣情が募っている。



ほとんど余裕なんかないのに
こいつから欲しがらせたい。



こんなに長い間、
ほったらかしにされたんだから。



赤らんだまぶたを
困ったようにぱちぱちと瞬かせて、
甘えるように頬を寄せてきた
チャンミナに小さく笑みをこぼす。



「今夜は帰らないつもりで来た。
…どう?これで安心した?」



掠れて出た自分の声が、
抱きついてきた唇に飲み込まれる。



チャンミナが、
「ヒョン」とオレを呼んだ。



「やっぱりヒョンは意地悪です」



「そう、オレは意地悪だよ。
分かっているだろう、とっくに」



おまえもだけど…と言いながら、
尖らせた唇を音を立てて
吸った。



「チャンミナ。
おまえのことが好きだからさ」



はい、と返事が聞こえるのを待って、
オレは吐息混じりの声で言った。



「オレがメールしたら、
短くていいから返事をくれよ。
電話もして、たまには好きって
言って欲しい」



「やたらと注文が多いですね」



「まだある」



オレはそこで大げさに
咳払いをしてみせた。



「あとね、チャンミナからも
もうちょっとメールをくれると嬉しい」



そう口にした顔を見られたくなくて、
髪を手荒にかきあげながら、
チャンミナから顔をそらす。



するといきなり顎をつかまれて、
ぐいと顔を戻された。



「そういうことは、
ちゃんと僕を見て言ってください」



短く息を吐き出したオレは、
「メールで言ってもいい?」と
つぶやいてから、
チャンミナの唇にキスを落とした。






その後、久しぶりに肌を合わせた。
びく…と背中が引きつったことに
内心ひやりとした。



けれど慎重に進めると
思ったよりもはるかに呆気なく
たどり着いた。



かすかに声が漏れた。
そっと引いてまた進めると、
まとわりつく熱さに
めまいがするような気がした。



想像していたよりも
はるかに柔らかかったので、
どんなふうにしていたのかを
追い立てて白状させた。



優しく探りながら、
閉じられた目元にそっと唇を寄せた。



息を飲みながら、
背中をじっと見つめた。



うっすらと開いたまぶたの下は、
もう潤んでしまっていて、
涙の膜が張っていた。



何かを逃すかのように、
繰り返される呼吸が
動きに合わせて時々止まった。



思ったよりもはるかに早く
柔らかくほぐれていくことに
じわりと喜びを感じる。
自分はちゃんと求められていると思って。



「顔、見ないで」



本当に嫌だったら、
有無を言わさず顔を隠すはずだから
遠慮なくオレにまっすぐ向けられた、
黒い瞳を見つめた。



見られたいくせに…という言葉は
さすがに怒られそうなので、
心の中だけにする。



「だから、見ないで…って、」



見るなと言うのに視線は外さない。
ぶわっと滲んだ涙が、目尻からこぼれる。
チャンミナの中にある、
たがが外れたのが分かった。



久しぶりで辛いだろうから、
楽なほうにしようかと言うと、
顔が見えないのは嫌だと言い張った。



傷つけないようにすると
言ったものの、
約束を守れたかどうかは定かではない。



こめかみの血管が
切れてしまいそうだった。
触れた部分が驚くほど熱かった。



求められるがままに沈めた。
オレが息を詰めるのに応えるように
ほとんど吐息のような声が漏れた。









目を覚まして、
手探りでカーテンを探すと、
それは空を切るばかりだった。



なんだか身体が苦しいと思ったら、
がっちりとチャンミナに
抱きしめられていた。



そしてそこでようやく、
チャンミナの部屋に泊まったのだと
思い出した。



あの後、二度求め、
そして一時間ぐらいして目を覚ますと
チャンミナはもう一度と言って、
結局眠りについたのは
明け方4時過ぎだった気がする。



枕元の時計を見ると、
もう時刻は朝というより昼に近かった。
仕事は確か2時過ぎからだったから
もう少し寝ても大丈夫かもしれない。



汗ばんだ身体が不快で、
シャワーだけでも浴びようかと
オレはそっとチャンミナの腕を外して
ベッドから抜け出そうとした。



そばに姿見があることに気づいて、
映った自分の背中を見てみると、



肩甲骨より少し下のほうに
赤い数本のひっかき傷が走っているのを
見つけてオレは思わず苦笑した。



今日のスケジュールに頭をめぐらせ、
撮影の予定は確かなかったと息を吐く。



昨夜は勢いにまかせて
ベッドになだれ込んでしまったから
寝室の中もろくに見もしなかったが、
広めの部屋の中にあるものといえば、



自分達が寝ている少し大きめのベッドと
大きめのテレビとパソコンが置かれた
机くらいだった。



身体を起こし、
腕を抜いても目を覚まさない
チャンミナの顔をのぞき込む。



昨夜身体を見て、
もともと痩せていたのに
さらに線が細くなった気がして
胸が痛んだ。



これからはもっと
辛い思いをさせてしまうかもしれない。



二人とも無傷ではいられないことも、
よく分かっているし、
自分はともかくとしても、
チャンミナを傷つけるのは正直怖い。



怖くても傷つけても、
もう前に進むしかない。



「オレが守るから」



オレはクセのある乱れた髪に触れ、
額や頬や鼻に軽く何度かキスをした。



そして、チャンミナが
深い眠りについているのを確認してから
耳の付け根の下のほうに唇を寄せ、



本人では気がつけない場所に、
鬱血した小さな跡をつけた。









「あ、ユノだ!!」



マンションのエントランスから
出た途端、甲高い叫び声がして、
辺り中に女の子達の歓声が響き渡る。



隣りを歩いていたチャンミナの
足がふと止まり顔が伏せられた。
サングラスをかけているせいで
その表情は全く見えない。



軽くその腕を引いて、
車に向かって歩くよう促しながら、
悲鳴のような声を上げている女の子達の
顔をゆっくり見渡した。



昨夜と同じような顔ぶれが
そのままそこにいることに気づき、
一昼夜近くここで張り込んでいたのか、と
心の中で嘆息する。



「二人きりだったの?」



「二人きりで何してたの?」



口々に彼女達から
容赦ない問いやら意味もなさないような
懇願やらが投げかけられる。



「泊まったりするのはやめて!」



誰かの口からそう言われた時、
顔を伏せたままのチャンミナの手を
反射的につかんだ。



チャンミナがとっさに
手を抜こうとしたので、
逃がさないように強く握り込む。



弾かれたように
チャンミナがオレを見た。



「いい加減、
野暮なことは聞くなよ」



オレはわざと大きな声を張り上げて
そう言ってから、
繋いだ手を気持ち掲げて、
彼女達に見せつけた。



「もう子供じゃないんだから
言わなくても見れば分かるだろう」



挑むように薄く笑いながら、
わざと想像力をかきたてるような
言い方をした途端、



その場にいた女の子達が
雷を落とされたように無言になった。



チャンミナが困惑したように
オレの顔を見つめた。



それに構わず、
オレはチャンミナの手を引いて、
足早に歩いて車の助手席のドアを開け、
チャンミナを押し込むように乗せる。



運転席に座って、
無言でシートベルトを締めたオレの
横顔にチャンミナの視線を感じる。



「いいんですか。
あれじゃますます変な噂が立ちますよ」



茶化すようにオレは笑った。



「いいんじゃないの?
もう見られちゃったんだし、
事実だし。ダメだった?」



隠そうとするから
さらに事実を歪曲されるんだ。



オレ達二人は、
身体繋げて愛し合っている仲ですよ、って
世界中に流してくれて構わない。



今までは、
周りに知られまい、気づかれまいと
ずっと隠してきた。



でも今は、一緒にいるところを
見せびらかしてやりたい。



「恥ずかしかったけど、」



チャンミナは小さく息を吐いて、
まっすぐ前を向いて言った。



「ちょっとだけ、嬉しかったです」



「そっか」



嬉しかった、と
情事の色をたっぷり残した横顔を
ちらりと横目で見たオレは、
ふっと笑みを漏らしてエンジンをかけた。































…つづく





































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ふらっと立ち寄ってくださった方、
最後まで読んでくださって、
ありがとうございました。

今週がみなさんにとって
素敵な一週間になりますように。

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