7世紀アイルランドの修道女フィデルマを主人公としたケルト・ミステリシリーズの第5作で、邦訳紹介第1作目です。
この作品の舞台は南アイルランドです。古代のアイルランドは森林に覆われていたそうで、今のような風景になったのは、産業革命の時代にイギリスによって大伐採が行われたからだそうです。
古代アイルランドでは、女性は多くの面で男性とほぼ同等の地位や権利を認められており、フィデルマは国王の妹であり、最高の学問を修めた法廷弁護士でもあります。
この作品は、緑豊かなアラグリンの谷を支配する氏族の族長エベルが殺された事件を、族長の妻クラナットの要請で都から派遣されてきたフィデルマが挑みます。
このシリーズは、古代アイルランドのキリスト教が、現在よりずっと自由な雰囲気だったことなど、古代アイルランドの社会風俗を知ることのできるシリーズでもあります。
実は、私はこの作品が出版されたとき、アイルランドというなじみの薄い国を舞台にした歴史ミステリで、修道女が主役ということで敬遠し、読みませんでしたが、邦訳3作目の短編集「修道女フィディルマの叡智」を読み、“食わず嫌い”ならぬ“読まず嫌い”だったことが判明し、フィディルマの魅力に取り付かれてしまいました。(http://ameblo.jp/hiikun-book/day-20090906.html )
私と同じような方も結構いるようで、「修道女フィディルマの叡智」が出版されて以降、既刊の2作も売れているそうです。
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