老舗糸問屋・嶋屋元当主の徳兵衛は、還暦を機に隠居暮らしを始めました。
風雅な余生を送るはずが、巣鴨の隠居家は孫の千代太が連れてきた子供たちで大にぎわいで、子どもたちとその親の面倒にまで首を突っ込むうち、新たに組紐商いも始めることとなります。
商いに夢中の徳兵衛は、自分の家族に芽吹いた悶着の種に気が付いていません。
やがて訪れた親子と夫婦の危機に、嶋屋一家はどう向き合うのでしょうか?
笑いあり涙ありの人情時代小説『隠居すごろく』(https://ameblo.jp/hiikun-book/entry-12731557542.html)、待望の続編です。
〔目次〕
一 めでたしの先
二 三つの縁談
三 商売気質
四 櫛の行方
五 のっぺらぼう
六 隠居おてだま
この作品も心温まる人情時代小説です。
前作『隠居すごろく』では、千代太など子どもたちが中心でしたが、この作品では、隠居したにもかかわらず忙しさを増した徳兵衛など大人たちが中心に描かれます。
隠居所に出入りする大人たちの恋模様と、それが引き起こす面倒事が描かれます。
その面倒ごとの解決に、重要な役割を務めるのが徳兵衛の妻で、徳兵衛の隠居後も嶋屋の奥向きを支え、徳兵衛が隠居所に開いた手習所・豆堂の師匠も務めるお登勢です。
また、徳兵衛の隠居所が子どもたちでいっぱいになるきっかけとなった勘七となつにも大きな転機が訪れます。
前作で、徳兵衛は商売の面白さに目覚めたこともあり、この作品では商売の工夫を凝らす時の徳兵衛は本当に楽しそうです。
この作品では、そんな徳兵衛が生きていく上での、家族との人間関係の重要性に気づかされることになります。
ただ、このラストシーンは個人的にはすっきりしないところもあるので、続編に期待しています。
表紙のイラストは、イラストレーターの伊野孝行さんです。
徳兵衛と千代太たち子どもたちがおてだまを背景にが描かれています。
伊野孝行さんのウェブサイトはこちらです。→http://www.inocchi.net/
[2026年1月14日読了]





