ひいくんの読書日記

ひいくんの読書日記

ひいくんが、毎日の通勤電車の中で読んでいる本を紹介します。
通勤時間は30分ほどなので、軽い読物がほとんどです。

老舗糸問屋・嶋屋元当主の徳兵衛は、還暦を機に隠居暮らしを始めました。

風雅な余生を送るはずが、巣鴨の隠居家は孫の千代太が連れてきた子供たちで大にぎわいで、子どもたちとその親の面倒にまで首を突っ込むうち、新たに組紐商いも始めることとなります。
商いに夢中の徳兵衛は、自分の家族に芽吹いた悶着の種に気が付いていません。
やがて訪れた親子と夫婦の危機に、嶋屋一家はどう向き合うのでしょうか?
笑いあり涙ありの人情時代小説隠居すごろく』(https://ameblo.jp/hiikun-book/entry-12731557542.html)、待望の続編です。

〔目次〕
一 めでたしの先
二 三つの縁談
三 商売気質
四 櫛の行方
五 のっぺらぼう
六 隠居おてだま


この作品も心温まる人情時代小説です。
前作『隠居すごろく』では、千代太など子どもたちが中心でしたが、この作品では、隠居したにもかかわらず忙しさを増した徳兵衛など大人たちが中心に描かれます。
隠居所に出入りする大人たちの恋模様と、それが引き起こす面倒事が描かれます。
その面倒ごとの解決に、重要な役割を務めるのが徳兵衛の妻で、徳兵衛の隠居後も嶋屋の奥向きを支え、徳兵衛が隠居所に開いた手習所・豆堂の師匠も務めるお登勢です。

また、徳兵衛の隠居所が子どもたちでいっぱいになるきっかけとなった勘七なつにも大きな転機が訪れます。

前作で、徳兵衛は商売の面白さに目覚めたこともあり、この作品では商売の工夫を凝らす時の徳兵衛は本当に楽しそうです。
この作品では、そんな徳兵衛が生きていく上での、家族との人間関係の重要性に気づかされることになります。
ただ、このラストシーンは個人的にはすっきりしないところもあるので、続編に期待しています。

 


表紙のイラストは、イラストレーターの伊野孝行さんです。
徳兵衛千代太たち子どもたちがおてだまを背景にが描かれています。
伊野孝行さんのウェブサイトはこちらです。→http://www.inocchi.net/

[2026年1月14日読了]

スウェーデン南部の田舎町で、不動産ブローカーテレビタレントの女性が死亡します。
開発に反対する地元住民懐柔のために購入した彫刻の上に転落したのでした。
事故かはたまた殺人か、事件を担当するのは、病気療養のために滞在していたストックホルムエリート捜査官と地元警察署の駆け出し女性刑事
馬は合わないが意見は合ってしまう二人が容疑者だらけの事件に挑むミステリです。

物語の舞台は、スウェーデンの南部スコーネ地方の風光明媚な海沿いの町のエステリエンです。
その海岸沿いの土地を購入し、不動産開発を目論んでいた不動産ブローカーテレビタレントジェシー・アンダーソンという女性が死亡します。
開発に反対する地元住民を懐柔するために購入した大きな彫刻の上に階段から転落したのでした。
転落事故なのか、はたまた誰かに突き落とされた殺人なのか、小さな町に波紋が広がります。

ストックホルムの国家殺人班の敏腕捜査官ピエテル・ヴィンストンは、原因不明の失神発作の療養のため、
元妻のクリスティーナ・レーヴェンイェルムが現在の夫のポッペと、ピエテルとの間の娘であるアマンダと住むエステリンにやって来ます。
エステリンを管轄するシムリスハムン署には、まだ刑事になったばかりのトーヴェ・エスピングしか捜査官がいないことから、
署長LGことラーシェ=イェーラン・オロフソンは、ピエテルに捜査への協力を依頼します。

こうしてお洒落な都会のエリート刑事ピエテルと、やる気はあるものの経験のほとんどない田舎の警察の駆け出し女性刑事トーヴェがコンビを組んで、この事件の解決に挑むことになります。

まったくそりが合わないのに、事件についての意見はなぜか合うピエテルトーヴェのやり取りは、掛け合い漫才のようで面白かったです。
ただ、この2人が章ごとに語り手を交代しながら進む展開は、章ごとにボケ役とツッコミ役を交代しながら進んでいくようで、
私には少しくどく感じました。
翻訳の久山葉子さんによる「訳者あとがきによるとアンデシュ・デ・ラ・モッツ元警官ミステリ作家で、スウェーデンでは著名なベストセラー作家で、共著者のモンス・ニルソンはスウェーデンではテレビで活躍している有名なコメディアンとのことです。
それでコメディ色が濃厚なのかと納得しました。

探偵役は警察官ですが、小さなコミュニティを舞台としており、ミステリとしてはコージー系だと思います。
謎解きとしてはそれほど複雑ではありませんが、容疑者が多いので十分楽しめました。
また、ピエテルトーヴェの男女バディものでもあります。


訳者あとがき」によると、ピエテルトーヴェの2人がコンビを組む第2作の刊行も決まっているようで、楽しみです。

 

 

表紙のイラストは、イラストレーター遠田郁夫さんです。
海岸沿いの事件現場にいるピエテルトーヴェの2人が描かれています。
遠田郁夫さんの公式ウェブサイトはこちらです。
http://190ikuo.jimdo.com/
遠田さんは、以前はペンネーム190で活動されていました。
私には貧乏お嬢さまのシリーズが記憶に残っています。
第15作『貧乏お嬢さまの困った招待状
https://ameblo.jp/hiikun-book/entry-12785903718.html

 [2026年1月12日読了]

大正8(1919)年、東京本郷区駒込団子坂に、平井太郎は、敏男の二人の弟とともに‟三人書房”という古書店を開きます。
店には同年に亡くなった女優の松井須磨子の遺書らしい手紙をはじめ、奇妙なが次々と持ち込まれます。
同時代を生きた、宮沢賢治宮武外骨高村光太郎たちとの交流と不可解な事件の顛末を、若き日の平井太郎(=江戸川乱歩)を通して描く、滋味深い連作推理小説です。

4編の短編が収録された短編集です。
三人書房
北の詩人からの手紙
謎の娘師
秘仏堂幻影
光太郎の〈首〉

それぞれその時代の著名人が登場し、その人物にかかわる平井太郎(=江戸川乱歩)が解き明かします。
最初の短編「三人書房」には松井須磨子の遺書らしい手紙が登場し、この店に身を寄せていた平井太郎(=江戸川乱歩)鳥羽造船所時代の友人の井上勝喜が語り手を務めます。
この短編で、作者は第18回ミステリーズ!新人賞(2021年)を受賞しています。
 

残りの4編はその続編で、「北の詩人からの手紙」には宮沢賢治が登場し、語り手は平井太郎(=江戸川乱歩)の弟の、「謎の娘師」には宮武外骨が登場し、語り手は平井太郎(=江戸川乱歩)のもう一人の弟の敏夫、「秘仏堂幻影」には横山大観が登場し、大観も複数の語り手の一人に、最後の「光太郎の〈首〉」には高村光太郎が登場し、光太郎自身が語り手を務めています。

平井太郎(=江戸川乱歩)が解き明かすは、どちらかというと日常の謎に近いので、江戸川乱歩の作品のような深刻なではありません。
それぞれのや登場人物の行動が、江戸川乱歩の後の作品に影響を与えているという作者の仕掛けも絶妙です。

謎解きとしては「秘仏堂幻影」が一番江戸川乱歩らしいと思います。
私は大正時代の雰囲気が濃厚な「謎の娘師」が一番楽しめました。

 


表紙のイラストは、イラストレーターの西山竜平さんです。
タイトルになっている古書店‟
三人書房”が描かれています。
西山竜平さんのウェブサイトはこちらです。
https://ryoheinishiyama.com/top

 [2026年1月4日読了]

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いろいろと考えて感想を書こうとすると、なかなかブログが再開できないので、読んだ本の記録として、簡単な感想を記す形でブログを再開することにしました。ご了承いただきたく思います。
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今年1年で読んだ本は目標の120冊(毎月10冊)には大きく届かない71冊でした。
その上、1冊もこのブログに感想を掲載できませんでした。

今の職場も3年目となり、仕事の内容にもやりがいを感じており、相変わらず仕事中心の生活が続いています。
そのためというと単なる言い訳になってしまいますが、今年もブログを再開できないまま、大晦日を迎えることになってしまいました。

このような状態のブログにもかかわらず、今年も多くの皆さんに訪れていただきました。
本当にありがとうございました。

読書量は減ったものの、通勤電車での文庫での読書は続けています。
最近も文庫化される海外ミステリは私の好みと微妙に異なっていますが、今年読んだ海外ミステリは39冊で全体の過半数を超えました。

その中で一番印象に残ったのは『私立探偵マニー・ムーン』(リチャード・デミング)です。
戦地帰りのタフガイ、私立探偵マニー・ムーンが主人公の作品を日本独自にまとめたもので、1948年から1951年に発表された7編の中編が収録されています。

ファレスのナイフ
悪魔を選んだ男
ラスト・ショット
死人にポケットはいらない
大物は若くして死す
午後五時の死装束
支払いなくば死あるのみ

ダークヒーローが主人公の正統派ハードボイルド小説と紹介されていましたが、読んだ私の印象は本格謎解き小説でした。
確かにマニー・ムーンは事件解決のためには、法律を気にしなかったり、暴力をふるったりするところがありますが、この程度の暴力や法から逸脱はシャーロック・ホームズでも見られることで、ダークヒーローというほどではないと思います。
最後に関係者を集めて真相を明らかにするシーンは、エルキュール・ポワロエラリー・クイーンを彷彿とさせます。

70年以上前に書かれた作品とは思えず、楽しく読むことができました。

 

 

 

表紙のイラストはイラストレーターの柳智之さんです。
義足のマニー・ムーンが描かれています。
〔2025年7月17日読了〕
 
ミステリ以外で一番印象に残ったのは『猫弁と奇跡の子』(大山淳子)です。
猫弁シリーズの第2シーズンの第5作で完結編です。
婚約から3年かかったやっと入籍したものの、まだ結婚式を挙げられていない百瀬太郎大福亜子の二人はまたまた厄介な事件に巻き込まれます。
感動的なラストシーンが深く記憶に残ります。
作者にはぜひ第3シリーズを書いてほしいと思っています。

物語の本筋とは直接関係ないのですが、この作品の中でのある登場人物の発言が強く印象に残りました。
日本の伝統として、人に迷惑をかけるな、礼儀正しくあれ、というのはすばらしい。日本人の美徳だと思います。けど、他人に厳しすぎるのは礼儀に適っていない気がするんです。品がないと思うんです。ひとさまのほころびには目をつぶってあげる。それが最高の礼儀じゃないかと、そんな風に思ったんですよね。
最近の特にSNSなどインターネット上での議論の風潮について、自分も同じように感じていたからだと思います。

 

 

表紙のイラストは猫弁シリーズの表紙をずっと描いているカスヤナガトさんです。
読み終えてから見るとまた素敵な気分になれます。
文庫版についていくるカスヤナガトさんのイラストのステンドグラス風しおりも良かったです!
〔2025年12月10日読了〕

今年も世界各地では戦争が続いています。
また、海外でも国内でもたくさんの選挙が行われ、我が国も含め多くの国で政権の枠組みが変化しました。
来年はどんな年になるのでしょうか。
平和な世界になることを願っています。

今年も昨日、NHKの『ドキュメント72時間』のスペシャルを見て、松崎ナオさんの歌を聴きました。

とても19年前の曲とは思えません。
最後の‟とても儚ないものだから 大切にして 一瞬しかない”の歌詞が心に残ります。

 


来年も皆さんのブログに刺激を受けながら、いろいろな本を読み、ブログの再開をめざしたいと思っています。

今年1年で読んだ本は目標の120冊(毎月10冊)には大きく届かない80冊でした。
その上、1冊もこのブログに感想を掲載できませんでした。

今の職場も2年目となり、仕事の内容にもやりがいを感じています。
しかしながら、コロナ明けで増えた仕事の量は、増えた状態で安定化したため、相変わらず仕事中心の生活が続いています。
また、職場には仕事に積極的な人が多いため、新しいことに挑戦する機会も多く、それはそれで面白いのですが、業務量は増えるため、さらに忙しくなってしまっています。
…と言い訳を書いてきましたが、結局、今年もブログを再開できないまま、大晦日を迎えることになってしまいました。

このような状態のブログにもかかわらず、今年も多くの皆さんに訪れていただきました。
本当にありがとうございました。

読書量は減ったものの、通勤電車での文庫での読書は続けています。
ただ、最近文庫化される海外ミステリと私の好みとに微妙なずれを感じるようになり、今年読んだ海外ミステリは33冊にとどまってしまいました。
現在は『地下室の殺人』(アントニイ・バークリー)を読んでいます。

 

 

今年は大きな災害から始まり、世界各地では戦争が続きました。
また、海外でも国内でもたくさんの選挙が行われ、我が国も含め多くの国で政権の枠組みが変化しました。
ちなみに私の住んでいる名古屋市でも新しい市長が誕生しました。

来年はどんな年になるのでしょうか。
昭和100年、終戦から80年となる来年こそは、戦争が一日も早く終わることを祈っています。

 

 

今日はこの歌を聴きながら、戦争の犠牲になっている子どもたちに思いを馳せています。

 

来年も皆さんのブログに刺激を受けながら、いろいろな本を読み、何とかブログを再開しようと思っています。