「ピピピピピ、ピピピピピ...」

 目覚ましが鳴る。また朝だ…。布団の中で電今日乗る電車の時刻を調べる。まだ大丈夫、あと5分。そう自分に言い聞かせて眠りにつく。そしてまた目覚ましの音が鳴った。

「はあ…。」


 恵子はふらふらと歩きながらシャワー室に向かい、ものの10分でシャワーを浴びる。 大学に入学して2年も経つのに、朝のこの時間が一日のうちで一番億劫であることはずっと変わらない。

 「今日の授業は、老年看護学と、社会福祉論…」

 レジュメを用意しようと今日の授業を確認しているうちに、恵子の眼には涙が溢れだした。









 恵子は大学3年である。実家は新幹線で5時間程行ったところにあり、大学に通うために一人暮らしをしている。

 大学では看護学を専攻している。なぜ看護師になりたかったのか、そうよく聞かれるのだが、正直恵子自身今だに分からない。大学受験の時、看護学科を選んだのは他でもなく母の勧めである。

 高校生の時、母との日常のやり取りの中で恵子はよく言っていた。

「私、海が好きだから、海とか水とかを学ぶところに行こうかな。」

母は言った。

「就職先ないよ。やめときな。」


そんな繰り返しだった。そんな繰り返しでここへ来た。そして今、自分に毎朝自分に問いかける。就職先はある、だけど、いま、幸せなのだろうか。