
渋谷駅JR改札から
井の頭線へと向かう途中
人波をすり抜けようと
傘と鞄を片手で持ってずんずん歩く
もうすぐエスカレーター
の手前で手がすべり、鞄を落とした
「おぅ!」
思わず声が出てしまった
自分の反応に驚き
照れ隠しに周りを見たら
周りの反応に驚かされた
鞄の周り半径1メートルに
ぽっかりと空白が出来ていた
まるで危険物か何かのように、
見てはいけない何かのように、
関わってはいけない物のように、
よける
避ける
ヨケル
落とした僕より恥ずかしそうに、
皆一致団結し、離れて、眼を逸らし、歩き去る
執行猶予をもらった罪人の僕はその異物を拾い上げ歩き始める
人の波はまた
空白など無かったかのように整然と混沌を繰り返す・・・