少し前のことだが、心に残っていることなので記事に残そうと思う。


俺は使っている財布に小銭入れがついていないので、

小銭入れを別に持ち歩いている。

ポケットに入れるのも面倒なので

カラビナでバッグに引っ掛けていることが多いのだが、

小銭入れのチャックがどうも開いていたらしく

自分でも無意識のうちに小銭を落としていた。

落としたことさえ気づかなかった。


さて、なぜ知ったかと言うと、

その小銭を届けてくれた人がいたからだ。

落として歩いた距離は、

おそらく20メートルくらいなのだが

落としたと思われるあたりから、何となく

「すいません」

と呼んでいるような声がしていた。


自分のこととは全く思っていなかったんだけど、

真横に来て

「すいません!小銭落とされましたよ!!」

と言われた。

スーツを着た営業マンのような風貌の男性だった。

小銭入れを見たら、開いていた。

恥ずかしかったし、死にたくなった。

渡された金額は55円。

50円硬貨と5円硬貨1枚ずつ。

こんくらいなら、無視しててもよかったんじゃないか?

とさえ思った。

だが、同時に55円という、それだけの金額であんなに慌てて

めんどくさい距離を走ってくれたかと思うと

心がすごく温かくなった。


そして何より死にたいのは、恥ずかしくて

「あっ、ありがとうござぃます…

動揺して声が小さくなってしまったこと

突然のことすぎて、心が対処できてなかったらしい。

だが、それを言い終わる前に

届けてくれた人は、走ってどこかに行ってしまった。

もしかしたら、急ぎの用事の途中だったのかもしれない。


まだまだ人は捨てたもんじゃないな、と思った。

本当に、その男性は真っ直ぐに

俺のためだけに、走ってくれたのだ。

しかも、お礼のしようもない。

それなら、こっちにも考えがある。


俺も誰かのために走れるようになろう。

それが巡り巡って、さっきの男性に届くことを祈る。

前に書いた朝のコンビニ理論だ。

これを、俺がもっと体現していかねばなるまい。

これで小さくとも人の心が豊かになればいい。


そんなことをもう一度実感させてくれて、ありがとう。

俺は、もう一歩先に進めそうだ。