明け方のような、夕暮れのような、

不可思議な日が差す、実家の居間で

こたつに潜り込み眠っていた。

潜り込んでいたのは、俺だけじゃなく

気がつけば母親の存在も感じた。


「孤独」を感じるのは怖かった。

母を呼ぶと、母は優しく返してくれた。


1人じゃない、その気持ちが心を安堵に導いたり

俺は不安を隠そうと、いろんな話をした。

母は笑って聞いていてくれた。

そんな気がした。


弟の気配も感じたから、弟も近くにいたのだろう。

仲の良い家族だ。


知りもしない話を、知ったように話した。

世界情勢も、知りもしないのに声高らかに話した。

「そう言えば、この話知ってる?」

そう続ける俺の口は、俺の意思ではないように感じた。

「〇〇で入水自殺があったんだって!」

そう言った俺に、母親は大声で怒鳴った。

そんな話をしちゃダメ!

久しぶりに全力で怒られた気がした、と同時に

こたつの中で何かに左肩を掴まれた。


真横では弟が寝ている。

大声で、助けを求めようとするが声にならない。

身体も動かない。

「ヒューッ…ヒュ…ーッ」

掠れるような声しか出ない。

それでも隣にいる弟が目を覚ましてくれたら、

助かる気がしていた。


俺は、助けの声をひり出すために、渾身の力を込める。



気がつくと、俺は自室のベッドの上で同じ行動をとっていた。

何者かに左肩は押し付けられたまま

「ヒューッ…ヒ…ュ…ーッ」

としか出ない、声にもならない声で

現実と夢のまどろみを彷徨っていた。


小さな吐息のような声を全力で挙げ

解放された。

しかし、左肩には痛みは残ったままだった。


目の前に、気配を感じる。

怖かった。

目を開けて、目を合わせてしまうのが怖かった。




少し経って、俺は目を開けた。

人間の心理とはおかしいもので、

確認しなければ、落ち着けなかった。


そこには何もいなかった。

左肩に残る、痛みと不安を残して

俺はまた、まどろみの中に溶けていった。