去年の今日。

私は 息子の亡骸を見つけた……

夕暮れの部屋は、鍵が閉まっていた


前回、いきなり尋ねた時も鍵が閉まっていた

窓から出入りしていたらしい

その時も、チェーンが閉められていたから

「まさか!……」

と、警察と、長女を呼び、お騒ぎになったけど その時に窓から出入りしているのが発覚した


あとから息子に尋ねたら 鍵無くして窓から出入りしてた…

ということだった


それからしばらく なんの音沙汰もなく 連絡しても返事が来ない


長女とも、今度来た時は一緒に部屋を片付けようと話し合うことにしていた


案の定、息子は しばらくして 「仕事で小樽に1ヶ月行かされてた」と話した


それはそうと、ちゃんと連絡してねって言ってたのに


1週間くらい我が家に滞在していたけど、次男のゴタゴタ、末っ子の反抗期もあり 私も精神的に疲れ果てていた

部屋を片付けに行こう!と提案したけど、無視された


よほど見せたくなかったんだろうな


前回の出来事の時 すごく部屋が汚かった


部屋の様子は 心の表れと 昔親から言われていた私にとって 息子の部屋を片付けてやれば少しは落ち着いた生活ができるのでは?と考えた


たまたま、夕方に 私のカットを予約していた

いつもなら、近くのマックで 末っ子が待って家にテイクアウトで持ち帰るのが恒例だったけど

その日は 何故か、息子のアパートの方にハンドルを曲がらせた

虫の知らせだったのか…


夕方なのに なぜだろうと考えながら、またいないんだろうな…なんて考えながら 到着した


窓から上がり込んで 汚い臭い(今思うと、暑さからの死臭も混じってたんだ)部屋を少し片付けておいてあげよう と、考え ビニール袋を取りにキッチンに向かった私の目に飛び込んできたのは……


真っ黒になった 足だった…

でもその時は 「たあくん!」「こんなとこで寝るなよ!」と一言声かけしたかな…


私は 叫びながら、警察に電話した

住所、あなたは誰ですか?

どこにいますか?


答えられない…何が起こっているのか

それを考えるのに精一杯だった


とにかく近くの交番にいるので 早く誰か来て!!


もうすでに 私の中で 私は死を選ぶことを考えていた

人生最悪の失態だ…


あがき、泣きわめき、過呼吸になり、舌を噛み切ろうとする私の口には 消防車の握りこぶしが入れられた


電話の配線で首をも締めようとした


旦那さんと一緒に 長女が来てくれた


長女は既に泣いてしまっている


婿さんも 私をかばうのに精一杯尽くしてくれた


警察は、「まだ本人と確定していないので、警察でお預かりして、また連絡します」との事だった


足がガクガクして運転できなかった


怖かった


たとえ息子だろうが、他人だろうが、亡くなっている人の姿を見つけるのは 辛い

昨年の夏は異常に暑かった

娘いわく

ベッドの枕元には 冷えピタと風邪薬があったらしい…

病院には行かないと決めてる息子だからコンビニで買い物したみたい

(コロナがすごくやばかった時だから遠慮したのかな)

なぜ我が家で寝込まなかったのな…


変なとこで甘えて 変なとこで我慢する タチの悪い性格!

でもそれがたあくんなんだよね



全てお金。

電気代、ガス代、止められていたようだった


自転車操業で 生活していたのか?
父親にも、娘にも…
私にも、お金を借りていた

『貸したお金はかえってこない、あげるつもりでいなきゃダメだよ』
と昔から教えられていたから、息子の生活が楽になるなら…と、50万渡した

もうないからね…
一言つけ加えた

何にそんなにお金が必要だったのか、今では、不明

命さえあれば やり直しは絶対できるはずなのに!
なぜいなくなったの…

きつい時はキツいって連絡しなきゃ…

我が家に最期に顔を合わせて話したり、食事して
帰り際に 「あ、新しい携帯ゲットしたよ!!」

使うことも無く、息子は死んでしまった…


死んじゃった!

姿も変わり果てていたので 警察から、見ない方がいいですね…
と言われた

最後に顔も見れないのか

直葬の時、私は息子の横に座り、アトピーでかゆかろう背中をなでてあげた

コバエが棺桶の周りを飛び交っていた

匂いもする
棺桶に私はもたれかかり泣いた

でも平気だった

親だもん

なでなでしてあげたかった


キツかったねって

今は、もう天に昇って 安らかに過ごしてるかな
ゆっくり休んでるかな

生きてるものの方が 苦しい 

PTSDになった

感情がぐちゃぐちゃ
夕暮れになると胸が締め付けられる
涙が出てきて 叫びたくなる

同居の末っ子は、あんまり感情を表に出さない子だし
変にわりきっているからかまってもくれない

一人で泣いて
一人で叫んで
一言の慰めもない
末っ子とは これから先 進路もあるし
お母さん、ふるさとに帰るよ…って

「一緒に行く?」

「いやだ」

そうだよね。
まだ教えておきたいことたくさんあるけど
今の末っ子には 聞く耳がないから、無理だ

一人がいい
誰にも 何にも 気を使わずに 
真っ黒の星の下に生まれた私は、
1人で死んでいくよ

もう会えないかな、
ここに住む子供たちが、会いに来てくれるのを楽しみに生きていくよ

そのうち天に昇っていくよ、魂だけね
亡骸は、パラパラと海に巻いてもらう

たあくんに会いたいから(あちらであえるのかな?)
生きれる間は生きるよ

理性さえ切れなかったらね……


2022.7.19.  人生で1番苦しかった日。