五月の黄金週間も過ぎた、この時期。
今だからこそできる、いや、やらねばならない。
六か月もの間、寒い冬の夜の中で、春の柔らかな陽射しの中で、あの日の怨みを何度も何度も噛みしめて。
この時が来るのを待ちわびていたんだ。
殺戮の女王を殺す。
その願いを果たすために、傍らの剣ならぬペットボトルを手に取って、わたしは立ち上がるのだ。
や、あのね?
急に中二病に罹患したのではなくて、ですね?
初夏を迎えたこの時期には、スズメバチが巣作りを始めるんです。
毎年死者を出すあの危険度SSRのハチ、その女王バチを駆除する時期がやって来ました、と。
そういう話です。
五月は夏野菜の植え付けと女王殺しよね / SONY NEX-5 + MD ROKKOR 45mmF2
スズメバチの巣は立派ですが、その寿命は一年限り。
たくさんいたハチたちも冬の到来とともに死滅します。
ただ、女王バチ一匹だけが土の中で越冬し、初夏になると新たな巣を作るのです。
そして働きバチたちを次々と生み落として、秋にはあの巨大な巣となります。
つまり。
スズメバチを効率的に駆除するためには、まだ働きバチを生んでいない、女王バチだけが飛ぶ今の時期を逃してはいけないのです。
思い出すのは去年のあの事件。
そう、うっかりしていたら家の勝手口の近く、二階の窓の真正面に巣を作られた一件。
駆除業者を呼んでほしいと主張する妻と、でもお金もかかるしなあと煮え切らないわたしとで、意見が食い違って。
その結果、妻がぷんすか怒ってしまったのです。
結局、業者に駆除を依頼するということで和解して、見積もりもとったのですけれど。
その話を聞きつけたのが、すぐそばの実家の父。
そんなのお金がかかるじゃないか!と、カエルの親はしょせんカエルなことを言い出しました。
そして、スズメバチも我々も寝静まった夜更けになると、こっそり物干しざおを手にやって来ては。
木の上の巣に一撃を加えては闇の中をひょいひょい逃げていくというゲリラ戦を三日三晩繰り返した結果。
ついに巣は崩壊して落下、壊滅することに成功しました。
や、突かれて穴を開けられた巣で、スズメバチ、めちゃくちゃ怒ってましたからね。
ぶんぶん飛び回るので、しばらく勝手口は使用できませんでした。
勝利はしたものの、誰にもおすすめ出来ない駆除方法です。
すやすや眠っていたところを叩き起こされ、夜な夜なちょっとずつ巣を削られていく。
そりゃスズメバチも激怒します。
もう、父というか、あれは妖怪ハチツツキです。
あれは大変な出来事でした / SONY NEX-5 + AUTO ROKKOR 100mmF3.5
それで、去年の怒りもそのままに、今年は飛び立ったばかりの女王を捕殺することにしたのです。
なかよし新婚夫婦だった我々に不和をもたらすとは、もう許さねえぞ、女王バチコノヤロウ。
ホームセンターなんかに行くと専用のトラップが売っていますけれど。
でも、女王バチ捕殺トラップは自作することも出来ます。
参考にしたのはこちらのページ。
あくまで参考にしただけで、溶液の割合とか、けっこうアバウトです。
けっ、ハチ風情に、そんな気を使いますかってんだ!
まずは容器の用意と溶液から / 以下、MD ROKKOR 45mmF2
用意したのはペットボトルと料理酒、みりん、砂糖。
500ml の容器に、酒100ml、みりん35ml、砂糖25g をそれぞれ投入します。
大きいボトルにはだいたいその三倍量ですね。
要は発酵が大事らしいので、なんとなく発酵の役に立ちそうなハチミツとレーズンも入れてみました。
容器については、1.8L の大きいやつが二本しかなかったため、500ml も五本使ってみました。
落ちたハチが這い登ってくるので大きい方がよいという話もあるのですが、どうなんでしょう?
同じ理由で、でこぼこの少ない炭酸飲料のボトルがいいそうです。
"H" の形に切り込みを入れます
雨が混ざるを防ぐため切り込みの上側を外側に、ハチが入りやすいよう下側を内側に折り曲げます。
風が通るようにすると匂いが拡散するかなって思ったため、穴は二つ開けました。
べとべとする溶液がこぼれるといやなので、吊り下げる予定の木の近くで作業です。
脚立に登り、ビニール紐で吊り下げます
日に当たると発酵に良くないらしいので、北側に吊り下げました
近所のおじさんによると。
スズメバチを減らすとアシナガバチが増える、とのこと。
スズメバチは好んでミツバチを襲うのは知っていましたが、アシナガバチも襲うのかもしれません。
生態系の絶妙なバランスってやつですね。
うーん。
植木屋さんなんかはむしろカジュアルに攻撃してくるアシナガバチの方を嫌うという話も聞いたことがありますが。
けれど、今回の女王殺し計画は、夫婦の危機をもたらしたことへの私怨によるものだし。
それでオッケーです!
とはいえ、トラップの作成、設置はわたしも初めての試み。
さて、思惑通り機能してくれるものかどうか、結果が楽しみなのです。
うまくいけば < 女王バチのハチミツシロップ漬け / レーズンの香りを添えて > が出来上がるわけですか。
なるほどね。。。
や、食べませんけれどもね、たぶん!
なお、今回のタイトルのネタ元は Queen のこれです。
五月の爽やかな風にしっくりくるメロディーかと思います。
『ジョジョの奇妙な冒険』のあれの話かと思ったかたは、すいません。