ハイジャン男のクラスの学生さんたち、昨日の調理実習で、ちらし寿司を作ったらしい。いつもの写真提供者は、Sさんだ。写真有難う。
ちらし寿司の中には、鯖の切り身が入っているようだ。割とシンプルなちらし寿司のようだ。
皆さん、この前の生物有機化学で説明したが、エイコサペンタエン酸は、この鯖の青身に多く含まれている。エイコサはギリシア数詞で20だろ。ペンタは5だろ。エンはアルケンのエンで二重結合のことだ。酸は、カルボン酸のことだ。だから、エイコサペンタエン酸は、炭素が20個、二重結合を五つ持つ不飽和脂肪酸のことだ。
実は、このエイコサペンタエン酸は、動脈硬化を防ぐ働きがある。この訳は、難しいかもしれないが、エイコサペンタエン酸から出来るトロンボキサンと呼ばれる生理活性物質が関係している。
エスキモーには、動脈硬化が少なく、むしろ、出血が止まらないのが、何故かという疑問から、この問題が解き明かされていった。
牛や豚の肉には、エイコサペンタエン酸ではなく、アラキドン酸が多く含まれている。アラキドン酸は、エイコサテトラエン酸の慣用名だ。アラキドン酸から出来るトロンボキサンA2には、強い血小板凝集作用があり、動脈硬化の引き金となる。
ところが、エイコサペンタエン酸から出来るトロンボキサンA3には、その作用がないことが分かったのだ。
エスキモーは、アザラシの肉を食べているが、そのアザラシは、北洋の鯖や鰯を食べている。エイコサペンタエン酸が、生物濃縮のようにして、エスキモーに集まってきて、エスキモーには、動脈硬化の作用のないエイコサペンタエン酸だらけとなるという訳だ。
それに対して、欧米人は、牛や豚の肉ばかり食べて、アラキドン酸を多く持つために、動脈硬化になりやすいという理屈だ。
日本人は、元々、魚を食べて生きてきた民族だ。
このような鯖料理をもっと沢山食べて、動脈硬化を予防しよう。
学生のちらし寿司の具が何か?でこの話題になってしまった。このレシピーだが、創立者の直伝らしい。創立者は、この理屈は知らなかっただろうが、安価に出来る料理にこそ、健康を掴めるものが含まれているものだ。
それで、思い出したのは、池田元首相の歴史に残る大失言。
「貧乏人は麦を食え!」
そちらの方が、よっぽど健康だぞ。この理屈は、学生さんたちへの宿題だな。
「慎ましく生きて健やか麦の秋」
ハイジャン男