2月4日、立春の日。ハイジャン男は、日曜出勤したので、代休である。熊本の三泊四日は疲労困憊であった。今日はゆっくり英気を養いたいものだ。

ところで、熊本にいる間に暇があれば、旧制第五高等学校、いわゆる五高の寮歌についてもっと知りたいなと考えていた。ネットで検索してみると、寮歌の巻頭言からルビ付きで書かれたページを発見した。引用させて戴く。

(巻頭言)

仰(あお)げば星斗爛煥(せいとらんかん)として

永遠(えいえん)の真理(しんり)を囁(ささや)く

頭(こうべ)を巡らせば蘇山(そざん)遠々(えんえん)として

我等若人の情熱をそそる

天地(てんち)の恵み豊かなる肥後の一角(いっかく)

立山(りつざん)の麓(ふもと)白川(はくせん)が畔(ほとり)

これぞ我等五高健児(けんじ)の地なり

いざや舞わんかな狂わんかな歌わんかな

我等が剛毅木訥(ごうきぼくとつ)の調べを

武夫原(ぶふげん)頭(とう)に草萌えて

一(あいん) 二(つばい) 三(どらい)



「武夫原頭に」(旧制五高寮歌)

恵利武作詞・東京音楽学校作曲


1、武夫原頭(ぶふげんとう)に草萌えて

花の香(か)甘く夢に入(い)り

竜田(たつだ)の山に秋逝(ゆ)いて

雁(かり)が音(ね)遠き月影に

高く聳(そび)ゆる三寮(さんりょう)の

歴史やうつる十余年


2、夫(そ)れ西海(さいかい)の一聖地(いっせいち)

濁世(だくせ)の波を永遠(とわ)に堰(せ)き

健児が胸に青春の

意気や溢るる五高魂(ごこうこん)

その剛健の質(しつ)なりて

玲瓏(れいろう)照らす人の道


3、時潮(じちょう)の巡りたゆみなく

移りてここに十年の

思いや狂う胡北(こほく)の地

断雲(だんうん)乱れ飛ぶ所

斬魔(ざんま)の剣(つるぎ)音(おと)冴えて

スラブの末路今ぞ見る


4、時(とき)艱(かん)にして義(ぎ)を思い

塵世(じんせ)に節(せつ)を偲(しの)ぶかな

ああ新興(しんこう)の気(き)を負いて

浮華(ふうか)の巷(ちまた)にわれ立てば

思いは馳(は)する木訥(ぼくとつ)の

流風(りゅうふう)薫る銀杏城(いちょうじょう)


5、さらば我が友叫ばずや

時と人とを諭(さと)すべく

見よ龍南(りゅうなん)に一道(いちどう)の

正気(せいき)ありてぞ日の本の

青年の名に力あり

二十世紀に光あり


作詞の恵利武氏は、福岡県出身で、修猷館中学から、五高文科に入学、東大法学部在学中に後輩のために、本歌を寄贈した。早逝されたと聞く。

しかし、いい歌である。日本が日露戦争に勝利し、戦勝ムードに沸き立っていた頃に出来た。4番の歌詞の「スラブの末路今ぞ見る」などはその歴史的背景を感じさせる。5番の歌詞も素晴らしい。明治という時代を生きた青年たちへの先輩からのエールだ。日本独特の武士道精神が伺える。エリート青年は、自分だけのために生きるのではなく、万人のために働くのだという気持ちが伝わってくる。

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写真は、父が1995年に開かれた旧制高校寮歌祭に参加した時の記念品と五高の帽子の模造品だ。父が87歳の時だ。

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「立春の青年の名に力あり」

ハイジャン男