明治維新時に東北諸藩が結成した「奥羽越列藩(おううえつれっぱん)同盟」藩のお城紹介を行っています。

 

「薩摩藩」「長州藩」を中心とした明治新政府が、幕末に「京」や「江戸」で受けた取締りの報復もあって、「会津藩」と「庄内藩」を“朝敵”にしました。新政府に“朝敵”の赦免嘆願するべく東北諸藩が一丸となって結成されたのがこの「同盟」でしたが、それを拒否されたことから「同盟」が軍事化していきました。

 

今回は、「黒川陣屋」(新潟県胎内市黒川)と「三日市陣屋」(新潟県新発田市三日市)をお届けします。

 

胎内市黒川付近の城郭建築(廃業レストラン) 

 

何故一緒に記載するのかというと、当陣屋の両領主(藩主)は、五代将軍「徳川綱吉」の下で側用人を務めた「柳沢吉保(よしやす)」の長男「吉里」が、「甲府城」から「大和郡山城」へ移封された1724年に、「柳沢吉保」の四男「経隆」が「黒川」の地を、また、五男「時睦」が「三日市」の地を中心に、いずれも1万石の所領を分与したからです。

 

どちらの「柳沢家」も、幕末、明治維新まで領主として統治しましたが、両家ともに財政面で厳しい運営を求められていたので、宗(本)家「大和郡山藩」(奈良県)からの支援をかなり受けていたようです。

 

「黒川藩」の戊辰戦争への対応は、周辺諸藩の要請もあったので「同盟」に参加して、藩士を「越後口」に派遣をしましたが、消極的な動きしかしませんでした。

 

黒川陣屋」(新潟県胎内市黒川)は、周囲を杉木立で囲んだ敷地内に「居館」を中心に「厩」「馬場」「矢場」「稽古場」「蔵」「稲荷神社」等が置かれ、土塁で横矢を設けた「大手門」を南東に置き、北西には「裏門」が置かれていたようです

 

「黒川陣屋」の現在は、「黒川小学校」の敷地になっていますが、周辺には殆ど遺構らしきものを見つけることができません。

 

黒川陣屋跡に建つ黒川小学校

陣屋跡の黒川小学校校庭

 

ちょっと脇道にそれますが、「黒川陣屋」から少し山に入った所に、日本最古の油田である「黒川油田」跡が存在していて、その遺構である「油壺」や「異人井戸」を見ることができます。

 

そこは、明治6年にイギリス技師の「シンクルトン」が石油採油法を指導したことから、その名前が冠せられた「シンクルトン記念館」があります。その前には「石油掘削櫓」が残ります。

 

「シンクルトン記念館」前に建つ「石油掘削櫓」

油壷(黒い石油が滲み出ている)

英人シンクルトンの指導(明治6年)により竪穴式の井戸で採取

 

日本書紀には、天智天皇の時代である668年に、「燃ゆる土、燃ゆる水を献ずる」との記述があり、それ以来毎年、ここから大和朝廷に献上していたそうです。その後、江戸時代には「村上城」主の「堀家」からの寄進もあったようで、近隣の「黒川陣屋」の「柳沢家」からではないようでした。現在も、天智天皇が祀られている「近江神社」(滋賀県)へ毎年7月7日にに献上されています。

 

石油は、くろい水=臭い水=くそうず と言われていて、地名の「黒川」も「くそうず」から命名されたものらしいです。

 

「黒川のくそうず」の碑

 

天然ガスが湧き出ている

 

 

続いて「三日市陣屋」(新潟県新発田市三日市)の成り立ちはすでに前述した通りですが、戊辰戦争時には、宗藩の「大和郡山藩」が鳥羽伏見の戦い後に新政府に恭順したので、宗藩に準じて恭順をしました。しかし、藩主が江戸へ帰京すると、既に江戸藩邸では「同盟」に参加していて藩内でも意見が分かれていたようです。しかしすぐに、新政府軍に降伏をしています。

 

手書きの「陣屋図」が残されていて、敷地跡に建つ「七葉中学校」校門前に、「史跡 陣屋跡」の案内板が掲出されていますが詳細については判らず、堀と石垣で囲われたスクエアな敷地であったようです。

 

正面には「陣屋門」を構え、その南側には「八幡宮」を建てて、藩主の「柳沢家」も併せて祀っていました。  

 

三日市藩の解説お簡単な手書きの陣屋図

 

陣屋跡(七葉中学校校門)

陣屋跡(七葉中学校校庭)

 

現在、国道7号線を越えた場所には「八幡宮」が残っていて、その屋根には「柳沢家家紋」の「花菱」が飾られています。そして「八幡宮」裏に大きな石碑が立っていますが、それは最後の藩主「柳沢徳忠」の書「真趣賞心」の文字が刻まれています。

 

七葉中学校から国道7号線越えの八幡宮

陣屋内にあった八幡宮

陣屋内にあった八幡宮の屋根に付く柳沢家家紋(花菱)

八幡宮裏の石碑(最後の藩主徳忠の書「真趣賞心」の文字)

藩士の墓が多く立つ常勝寺山門(中学校の西側) 

 

次回の「ブログ」では、「新発田城」をお届けいたします。前述の「三日市陣屋」のすぐ南側に「新発田城」下が拡がっていました。

 

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