今回は「金石城」(長崎県対馬市)の「中編」で、城下を散策します。

 

まず目立つのが、城下あちらこちらに立っている「防火壁」です。昔、大火事があってそれ以降、防火の為に壁が立てられたとか。壁と言っても、色とりどりの石が平積みされた壁が連なっていますので、防波堤のようにも見えたりします。

 

宗家(10万石)の菩提寺 万松院山門 (桃山形式)

火切石(防火壁) 

火切石(防火壁) 

防火壁の刻名石(築造年月日が刻印-赤字の部分) 

 

城下である「桟原今屋敷」を抜ける「厳原本川」沿いの壁面には、大きな石のタイルで「藩主の万松院参詣図」が描かれています。

 

「厳原本川」を下った所にある「対馬醤油マルエ(明治20年創業)」と「村瀬家」の蔵壁には、昔の左官をした方が家の壁に「こて絵」を描いたものが現在まで残っています。また、中世からの船溜まり跡である「中矢来」も残ります。

 

桟原今屋敷内を流れる厳原本川壁面に飾られた藩主の万松院参詣図

村瀬家の壁に「こて絵」が付く蔵

船溜まり跡である「中矢来」

 

そこから少し山の手に登ると「西山寺(以酊庵)」があり宿坊をされていますが、江戸時代には宗家の対朝鮮外交機関として使用されていたお寺だそうです。

 

「宗家」は、「朝鮮通信使」の招聘に尽力し、「朝鮮」の窓口としても対応した10万石の大名であったので、「対馬市」には朝鮮との関わりがある施設等の遺構や碑が多々見られます。

 

西山寺(以酊庵)

 

「国分寺」は、「徳川家斉」の将軍襲職を賀す朝鮮使の聘礼式が、対馬府中で挙行される時に当寺の中に客館が建立されました。そして「国分寺の山門」は、その時に同時に建立されたものが現在まで遺構として残っています。

 

また、「朝鮮通信使幕府接遇地の碑」が城下の各所に立っているのを見かけることができます。

 

国分寺山門

朝鮮通信使幕府接遇地の碑(各所にある)

朝鮮通信使幕府接遇地の碑(各所にある)

 

「朝鮮通信使」とは、室町時代から江戸時代にかけて「李氏朝鮮」から日本へ派遣された外交使節団です。

 

特に江戸時代には、「豊臣秀吉」による朝鮮出兵後の国交回復の為に、日本側(徳川幕府)から朝鮮に対して通信使の派遣を打診したことから紆余曲折を経て再会されました。江戸時代の間には、主に徳川将軍が替わった時に派遣され12回の通信使が、日本への第一歩として対馬を訪れました。

 

その他現在、「自衛隊対馬駐在員事務所」となっていますが、その敷地には「漂民屋」という施設が建てられていて、日本に漂着した朝鮮人を丁重に介抱し宿泊させる施設も用意されていたようです。

 

「漂民屋」跡の案内

 

城下のメイン道路を北上しますと、道沿いに立派な「対馬振興局の長屋門」(市文化財)がありますが、こちらは「元宗家中屋敷・御隠居屋敷」だった建物を「氏江家」が賜り屋敷とした所で、現在は「長屋門」だけが残っています。

 

対馬振興局の長屋門

対馬振興局の長屋門

 

さらに「旧日新館門」(県文化指定)も、「宗家中屋敷門」であったものを幕末に藩校「日新館」の校門に転用されたもので、江戸末期の大名家の格式を備えた武家屋敷門で非常に立派な大きさと造りになっていました。

 

旧日新館門

 

最後に、宗家菩提寺で廟所がある「万松院(ばんしょういん)」です。

 

1615年に宗家21代「義成」が父「義智」の菩提を弔う為に建立し、「義智」の法号「万松院」に由来した名前となっています。山門は、朱色で桃山形式の立派な門です。

 

万松院山門

 

「万松院」の本堂内には、徳川歴代将軍の「御位牌安置所」が置かれてあり、これは「朝鮮通信使」の為に設置されていたとのことです。

 

また、朝鮮国王から贈呈された「三具足」が飾られています。

 

ここから廟所門を潜り抜けますと、132段の階段が墓所に向かって真っすぐに伸びます。途中右側には、「万松院宗家歴代藩主墓所 の下御霊屋」が並ぶ敷地があり、更に真っすぐ上がったところで二手に分かれて「万松院宗家歴代藩主墓所の上御霊屋」が所狭しと並んでいます。

 

閑寂の中で、凄い数の墓標が並ぶ様が、「宗家」の由緒ある家系を物語っています。

 

万松院 徳川歴代将軍御位牌安置所

万松院 三具足(朝鮮国王から贈呈された物)

万松院宗家歴代藩主墓所の百雁木(132段)

万松院宗家歴代藩主墓所 (下御霊屋) 

万松院宗家歴代藩主墓所 (上御霊屋) 

万松院宗家歴代藩主墓所 (上御霊屋) 

 

宗家関係、朝鮮通信使関係の名所旧跡にふんだんに触れることができたので、遠いところまで足を延ばして遠征してきた甲斐があったとつくづく思いました。

 

今度はレンタカーで、まだまだ北に向かって足を延ばしましたので、もう少し次回のブログでお伝えしたいと思います。

 

 

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