今宵の月は一段と美しく輝いているね。

友人といるこの田舎道の遠くにある山の輪郭があまりに綺麗過ぎて見とれてしまう。

悲しいのは夜の女王様が綺麗で星達が見えない事。

こんなに心地よい夜は久しい。

友人と2人で話しているのだけれど、人の世界をこれほどまでに表現する時間はないのだろうと。

闇にある世界にも女王がいてくれるなら明るい。
女王に付き従う闇の中の山や木々や空に浮かぶ雲に建物、そして人の影。
そんな存在は闇の中には美しさがある。

暗く悲しい世界を垣間見て来たから心底感じずにはいられない、闇の美しさと必要悪。

友人が寂しく呟いた。


――わかりますか?
この闇の美しさを

わかりますか?
優しく暖かい世界を

わかりますか?
人に認められず、理解されない光を

昼の明るい世界も
夜の暗い世界も
何も変わらない事に

昼の明るい醜悪さと
夜の明るい清楚さを――


夜の空は蒼く美しい。
この2人はそんな美しい夜が好きなのだよ。