2023.8.26 福島第一原発 ALPS水・海洋排水に関する12のディスインフォメーションを指摘する Hiro Ugaya 烏賀陽弘道
ロバート・リッチモンド×神保哲生:汚染水の海洋放出は世界の流れに逆行する
2 海洋放出以外の方法はなかったというウソ
燃料棒に水をかけて冷却した水=放射能汚染水は、海に捨てなくても陸上で処理する方法は少なくとも二つあった。
ひとつは、スリーマイル島原発事故(1979)では、「汚染水を自然乾燥・蒸発」させた。
汚染水を自然乾燥させ水を蒸発させ、底に溜まった放射性物質のヘドロを別のタンクに移し替えて高レベル廃棄物としてアイダホ州の砂漠に永久保存する(最終処分する)。
流量の多いサスケハナ川から冷却水をとっていたスリーマイル原発でも、汚染水の河川投棄する案があったが、ペンシルバニア政府はそれを許さなかった。下流が汚染され経済的打撃を与えるからである。
「汚染水を川に捨てる」ということは、「封じ込めた放射性物質を再びばら撒く」ことになるからである。
放射線防護の鉄則「(核分裂連鎖反応を)止める、(原子炉を)冷やす、(放射性物質を)閉じ込める」である。
もうひとつは、セメントを汚染水に流し込んで「コンクリート固化させる(モルタル化処理)」方法がある。
これらの陸上処理の方法をとれば、福一原発の汚染は国際問題には発展しなかった。
人類の歴史で3回(スリーマイル、チェルノブイリ、福島)しか起きていない原発事故で、汚染水を海に流し国際問題化させたのは福島第一が初めてである。人類初。
同じ福一原発事故の高レベル放射性廃棄物の処理にセメント化するプラント(富岡町「リプルンふくしま」最終処分場)はすでに可動しているのになぜ、この方法をとらなかったのか?
経産省「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会報告書」2020年1月31日付
https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/osensuitaisaku/committtee/takakusyu/pdf/018_00_01.pdf
委員名簿
https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/osensuitaisaku/committtee/takakusyu/pdf/001_00_01.pdf
「自然乾燥」案は前例がないとし、「コンクリート固化」案は初めから選択肢から外し、海洋放出しか方法がないと誘導していたのは、経産省であった。
米国では、冷戦時代に核兵器を作っていた工場・ノースカロライナ州「サバンナリバーサイト」の大量に残った汚染水は、コンクリートで固化し、そのままその場所で保管している。
6 日本政府の基準を守っているから海に捨てても安全というウソ
日本政府のALPS水排水基準は、「人間が飲んでも害がない」というもの。
これは完全な誤り。
「人間が体内に摂取しても害がない」からと言って「環境中に放出しても害がない」はイコールではない。
CO2は人間の体内を通過しても問題はないが、二酸化炭素(COx)は大気中に蓄積されて気候変動を起こす。
日本政府は、汚染水海洋放出を行った前日に、「CO2削減のために1兆2000億円の予算を組む」と言っている。
脱炭素社会へ 1兆2000億円余要求へ GX実行会議で報告 2023年8月23日
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230823/k10014171831000.html
”経済産業省や環境省など関係省庁は、新たな国債を活用し、水素の製造に向けた設備投資や、次世代型の原子炉の研究開発などを支援する費用として、来年度予算案の概算要求に総額1兆2000億円余りを盛り込むことになりました。
8 ALPS水の海洋放出であのタンクがなくなるというウソ
日本政府の基準を満たして海洋放出されるALPS水は、たまっているタンク全量の33%にすぎない。
タンクの3分の2は、政府の基準を満たせないほど汚染度がヒドい。
「タンク問題」が、海洋放出で解決するというのは、ウソ。
10 ALPS水の海洋投棄は福島の復興のために欠かせないプロセスだというウソ
3.5平方kmの東電原発敷地内からタンクが一つ二つ減ったからと言って、強制避難になった半径20キロの被害地だけで面積628平方kmの復興には、何も関係ない。
ALPS処理水の海洋投棄と、福島の復興は全く関係ない。
12 「ALPS処理水の海洋放出は風評被害を止めるために必要だ」
「ALPS処理水の海洋放出に反対する奴は風評被害を広めている」というウソ
外務省が盛んに流しているウソ。
外務省のTwitterに「#STOP風評被害」をつけて拡散しているデマ。
むしろ、「風評被害」を作り出して位いるのが、ALPS処理水の海洋投棄である。
海洋法あるいは国際海洋法(英語: International Law of the Sea; Droit international de la mer)とは、領海の幅、大陸棚の資源利用、公海の利用に関するものなど海洋にかかわる国際法規の総称をいう。その歴史は古く、植民地主義時代の「閉鎖された海」(mare claustrum)からグローティウス(グロティウス; Hugo Grotius)の「海洋自由論」へと発展した背景がある。
1958年の一連の条約、いわゆる「ジュネーブ海洋法条約」を経て、第三次国連海洋法会議の成果である、1982年の「海洋法に関する国際連合条約」(英語: United Nations Convention on the Law of the Sea; UNCLOS、フランス語: Convention de Montego Bay; CMB)が、現在の主要な海洋法の条約となっている。同条約は、深海底の地位について、先進国と途上国との対立から発効が遅れていたが、1994年の「国連海洋法条約第11部実施協定」の成立によって、発効し動き出した。「国連海洋法条約」が、「海の憲法」として他の特別条約に対して優越性を有するか否かという問題は、近年、議論がさかんである(同条約282条を参照)。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
生物濃縮 環境省 海産生物の濃縮係数
濃縮係数とは、海産生物が一定の濃度の海水に長期間置かれた場合の、海産生物中の濃度と海水中の濃度の比率を表したもので、放射性物質の海産生物への蓄積の度合いを示しています。 セシウムの濃縮係数を比べると、プランクトンより魚、魚よりは魚を捕食する大型哺乳類のほうが高いことが分かります。 セシウムについても生物濃縮はありますが、水銀やカドミウムのように生物体への蓄積が続くことはほぼなく、海水中のセシウム濃度が下がれば低下していくと考えられています。 なお、表中の濃縮係数は国際原子力機関(IAEA)による推奨値です。現在、海水中のセシウム濃度は、東京電力福島第一原子力発電所港湾内を除き、事故前とほぼ変わらない濃度(0.001~0.01ベクレル/L)まで下がっています。解説
欧米を中心に取り入れらてきている概念で、化学物質や遺伝子組換えなどの新技術などに対して、人の健康や環境に重大かつ不可逆的な影響を及ぼす恐れがある場合、科学的に因果関係が十分証明されない状況でも、規制措置を可能にする制度や考え方のこと。
この概念は、因果関係が科学的に証明されるリスクに関して、被害を避けるために未然に規制を行なうという「未然防止(Prevention Principle)」とは意味的に異なると解釈される。
1992年の国連環境開発会議(UNCED)リオ宣言は、原則15で予防原則について以下のように記している。「環境を保護するため、予防的方策(Precautionary Approach)は、各国により、その能力に応じて広く適用されなければならない。深刻な、あるいは不可逆的な被害のおそれがある場合には、完全な科学的確実性の欠如が、環境悪化を防止するための費用対効果の大きい対策を延期する理由として使われてはならない」。
これは、地球温暖化対策などで、科学的な不確実性を口実に対策を拒否または遅らせる動きの牽制とする意味合いもある。(2015年2月確認)

