前回…→共鳴する宙5




シルフィーⅡ
「宇宙の果てまで!とんでけー!!(>д<*)」

探索中、舞班が遭遇した新型ヴァイス。
シルエットはネルモス種に酷似しているが、かなり巨大で、しかもワスプとは異なる小型のネルモスを随伴させている。

シルフィーⅡ
「ごめんね、舞ちゃん(T-T)」

「ううん、大丈夫」

戦闘中にシルフィーを庇うシーンが何度かあり、ふたりともだいぶ疲弊していた。

プロフェッサーT
「なるほどねぇ。どうやら今の…ポイゾネルモスの特異型が毒鱗粉みたいに感覚に障害をもたらすナノ粒子を放出、散布してるな、こりゃ」

プロフェッサーTが言うには、今の新型がこの上下逆さま空間の原因らしい。

アクトレスの防護フィールドでは防げないのか確認してみたが、大気のある地表では気密を保つ必要が無くなるので、フィールドの密度を下げて出力負荷を下げる仕組みがあるらしく、その機能が仇になっているそうだ。


「明日翔さんたちも敵に遭遇したみたいで…中には見たことのないネルモス種がいると。これってもしかして…」

明日翔班から舞が通信を受け、それをシルフィーを介して伝えてきたのだが、このタイミングなら十中八九間違い無いだろう。

舞もシルフィーもすぐに連戦出来る状態ではないので、明日翔達との合流し戦闘のログを収集するよう伝える。



舞が合流した時にはファルコンと交戦中だったが…明日翔と楓、長距離射撃のサポーターと近接格闘のアタッカー。

初めてチームを組んだはずだが、もうお互いの役割を理解してコンビネーションに淀みが無い。

ファルコンが大きく飛ぶタイミングは明日翔が射撃で応戦し、足が止まると楓が斬り込む。

明日翔
「楓さんとだと戦いやすいです~」

「私もです。文島さんとなら安心して戦えます」


こんな戦い方をするのは今まで見たことが無い。

明日翔の射撃でダメージが蓄積し、システムが瞬間的にダウンするタイミングが分かっていたかのように楓が飛び出し、その隙を逃さず斬り落とした…!


それはまるで長年連れ添った相方のように。
それはまるで何度も死線を共にした戦友のように。

楓は…明日翔と同格の実力を持っているのか。

フェアリーハート隊でも頭抜けた力を持つティタニア、明日翔の親衛隊として結成したスナイパーズ!。

明日翔の助けになれば…と思っていたが、どちらも明日翔にとっては「護らなければならない対象」として、足枷になっている雰囲気は感じていた。

本当の意味で肩を並べられるパートナーが見付かったのかもしれない。

ファルコンを下した先にはウィッチア。
本体を外殻で守り、強力な砲門を備えている。

「これは私に任せて下さい」

そう言うと明日翔の前に出る。


その戦いは圧巻だった。

外殻の内側へ一気に斬り込むと、そのまま剣撃で瞬く間にウィッチアを押し込める。

コンビネーションもこなすが、個人技でもやはり強い。

「次はお任せします」

明日翔
「は~い、任せてください~」


ネルモス種は比較的長距離を巡航する傾向にあり、この特異型も例に漏れないようだ。

本体は攻撃してこないようだが、有線で連結された子機が空域を広く制圧するように弾幕を形成する。

恐らく本体を狙うと四方八方から撃たれる事になりそうだ。

明日翔も長い戦闘経験からそれを見越して、子機の破壊を優先している。

楓もその展開を見越して明日翔に場を委ねたのだろう。

何故有線接続にしたのか分からないが、子機を破壊した衝撃は本体にも伝達されるらしい。

ならば尚更、無理な本丸攻めは必要無いだろう。


攻撃を一巡させると子機は回収され、本体と一騎討ちになる。

攻め時はここになるだろう。


ネルモス種はだいぶ研究されてきた種でもあり、今回は特異型として進化した形で現れたが、明日翔を惑わすには至らなかったようだ。

プロフェッサーT
「ふーむ、こりゃ良くないな。輪島ちゃん、ちと急いだ方がいい」

戦闘の経過を横目に小惑星を観測していたプロフェッサーTは何かに気付いたようだ。

次回…→共鳴する宙7