前回…→共鳴する宙4


明日翔

「交戦開始します~」


上下逆さまの世界での戦闘。


そして舞は兎も角、楓は明日翔と初顔合わせ。

上手く連携を取れるよう、こちらも気を払わなければならない。


小型のヴァイスとは言え、危険度レベルは90。


集中砲火を浴びれば明日翔でも即時離脱の恐れが常に付いて回る。


そして先の戦闘で舞と楓、二人のステータスはある程度把握出来てはいるが、果たしてこの先の深度にどこまで着いてこれるか。


明日翔

「VWヘヴィを確認しました~」



VWヘヴィは攻撃性が高く、真っ向勝負はリスキーだ。

三人の息の合ったコンビネーションで、的を絞らせないように撹乱するのが有効になる。

組んだばかりの急造チームにそれが出来るのか、冷や汗が背を伝うが、舞が上手く明日翔と楓の間を取り持つように立ち回り、無事に撃破。


そして間髪を入れずにグリフォンの襲撃。

輪島
「舞さん、赤い方がレオユニットです。そちらに攻撃を集中させて下さい」

グリフォンは分離状態の時にどちらを攻撃したかで、合体後のパターンが変わってしまう。

明日翔はレオ撃破パターンの方が楽だと言うので、フェアリーハート隊ではレオから倒すよう指導していた。

舞も実際にグリフォンを見るのは初めてだろうが、概要は理解しているはずだ。


「きゃ!?」

だが実際に相手にするのは初めての舞は、2体同時の波状攻撃に翻弄されてしまい、反撃の糸口を掴めない。

強引に切り込むも手痛い反撃を受けてしまう。


「二子玉さん、下がってください」

楓が合間にフォローを入れて何とか合体状態まで持ち込む事が出来た。

合体後は更に弾幕が厚くなる。
ここからは明日翔に任せるのが良いだろう。


明日翔の強さは回復によるしぶとさだけではない。

受けた攻撃を分析…しているのかは分からないが、弾幕の隙間を見出だして掻い潜る感覚に優れている。

グリフォンとの交戦も何度目になるだろうか。
明日翔はおおよその回避マニューバを既に構築している。

そして功名心と言うものが薄く、譲るべきところは譲る。
自分の戦功よりも確実な勝利を。

明日翔
「楓さん、お願いします~」


グリフォンが無防備になるわずかな瞬間。

自分よりも高い打点を出す楓に躊躇いなく場を委ねる。

そして楓も明日翔と似た気性のようだ。
役目が終わるや明日翔にバトンを返す。


マッハ7の弾丸がグリフォンを沈黙させる。

シルフィーⅡ
「…ヴァイス反応無くなったよ(^-^)」


これで当座の脅威は退けたわけだが…。
小惑星の探索をどうしたものか。

こんな環境なので、散開するのも危険だが、あまり時間もかけたくない。

明日翔と舞、楓の2組に分けるべきか。

そう指示を出し始めた時

プロフェッサーT
「何でそんな分け方すんのさ。2-2に分けりゃ良くないかい?」

輪島
「どこに4人目がいると?」

プロフェッサーT
「ありゃ、言ってなかったっけ?シルフィーⅡ、疑似エミッションダウンロード」


シルフィーⅡが小柄ではあるが、人間サイズに巨大化した!?

プロフェッサーT
「流石にそこの3人には敵わないだろうが、それでも並のアクトレスよりは遥かに強いはずさ」

疑似…エミッション?
ヴァイスに対して攻撃力を持つと言うのか?

シルフィーⅡ
「ボクも戦えるよ!(^-^)」

プロフェッサーT
「まだ研究中の技術だがね。だが完成すれば誰でも…そう男でもエミッションを使えるようになるし、経年でエミッションを失ったアクトレスをカムバックさせる事も可能になるはずさ。ここでなら有意義なデータが取れそうだ」

そんな夢物語の様な研究が進んでいたとは…。
だが、ここで戦力の増加は有難い。

輪島
「ではシルフィーさんは舞さんと、楓さんは明日翔さんと組んで探索をお願いします」

次回…→共鳴する宙6