前回…→共鳴する宙3
プロフェッサーT
「ちょい待ち輪島ちゃん、どこ行くの」
アクトレスキャリアーの手配を始めた私を引き留めるプロフェッサー。
輪島
「あの小惑星の探査に行くのでしょう?」
プロフェッサーT
「うちらも出張るのはオススメ出来ないね。何があるか分からんし」
だがシャードからでは通信タイムラグが発生してしまうので、事前におおまかな指示は出せるが、細やかな対応は難しくなる。
特にヴァイスが強化されていると言うなら、尚更リアルタイムの指揮が必要になるだろう。
プロフェッサーT
「そこでそんなこともあろうかと、ってヤツさ」
プロフェッサーは小さなフィギュアを取り出し、明日翔に手渡す。
明日翔
「わぁ、可愛いお人形さんですね~」
するとフィギュアが明日翔の掌で動き出す。
シルフィーII
「はじめまして!ボク、シルフィーII。よろしくね(^-^)」
明日翔
「お人形さんがしゃべりました~」
明日翔が目を丸くして驚く。
プロフェッサーT
「このシルフィーIIはただのフィギュアじゃぁ、ナイ」
そう言うともう一体、色違いのシルフィーIIを取り出す。
プロフェッサーT
「こっちは対になるモードB。そしてこの2体は独自規格の通信帯域を持っている…つまり」
プロフェッサーTがモードBに話かけると
シルフィーII(プロフェッサーT)
「電話のように通信できるってワケだ」
…。
シルフィーIIからプロフェッサーTの言葉が発せられる…。
シルフィーIIの可愛い容姿からプロフェッサーTの声と節回しで話されても違和感しかない。
シルフィーII(プロフェッサーT)
「そしてシルフィー達の通信速度はうちらが普段使う通信設備より遥かに速い。ここからでもあの小惑星にラグ無しで通話可能さ」
これもトラベルオーダーの技術力か。
ただ、シルフィー同士でしか通信出来ないそうだ。
プロフェッサーTはそれを「テレパシーを再現したようなもの」と表現していた。
つまりシルフィーIIを誰かに持たせておけば、ここからでも指示が出せると言う事になる。
取り敢えず明日翔に持ってもらおうと思ったのだが…。
ピッピ
「ピー!ピーッ!ピー!」
明日翔
「ピッピちゃん落ち着いてください~この子は猫ちゃんじゃないですよ~」
どうやら猫っぽいシルフィーIIをピッピが警戒してしまって、共存は難しそうだ。
作戦行動にピッピも随伴することがあるので、避けた方が良いだろう。
明日翔
「シルフィーちゃん、ごめんなさい~」
シルフィーII
「そんなぁ(T-T)」
明日翔が無理なら…楓に預けられないか、頼んでみる。
楓
「…」
シルフィーII
「…(@_@)」
二人、無言で見詰め合うことしばし。
楓
「…プロフェッサー」
楓はシルフィーIIから視線を外すことなく、プロフェッサーTに問いかける。
楓
「…何故。何故、猫なのですか?狐の方が可愛かったのではないですか?」
シルフィーII
「楓ちゃん!?ネコも可愛いよ!?(T-T)」
シルフィーIIがすがるような眼差しで舞を見る。
舞
「………」