前回…→共鳴する宙1 



プロフェッサーT

「さてここからが本題さ。文島ちゃん…キミは一体何者だい?」


プロフェッサーからの唐突な問い。

その真意はどこにあるのか、何を探ろうとしているのか。


明日翔

「わたしは~桃蔭学園3年で、成子坂製作所のフェアリーハート隊に…」 


明日翔はそんな思惑等どこ吹く風。

普通に自己紹介を始める。


プロフェッサーTも始めは虚を突かれたようで、困惑顔だったが


プロフェッサーT

「HAHAHA!…あぁ…済まない。そうじゃない、そう言うことじゃぁないんだ」


そう言うと、プロジェクターに映された楓と舞のデータに詳細なパラメータが追加される。


プロフェッサーT

「この二人には最新のファクタースーツと、より細やかに調整されたアナザーギア、そしてエニグマまで解放してある。だが文島ちゃん。キミはエーススーツ一張でこの二人を超える程のスコアを叩き出している。正直信じられない」


人選としても高い武力を身に付けた楓、そして人並み外れた身体能力を持つ舞。


極上の素材に自慢の技術力を合わせて尚、ただのアクトレスに追い付けないのが納得いかないと言う。


プロフェッサーT

「輪島ちゃんなら分かるだろ」


そう言うとプロジェクターに新たなアクトレスが映し出される。



春日丘もえ。


プロフェッサーT

「春日丘ちゃんのギアはチャン僕達が造った特別製さ。ズブの素人でさえあれだけ戦えるようなギアを、この二人にも持たせてる。文島ちゃんがその上を行くってのは、何かあるはずなんだ」


…コイツか。

初陣のもえをいきなり深層の最奥に放り込んだのは。


だが初陣のもえでも属性インバスを無傷で倒してしまえる程に高性能なギアだったのも確かだ。


プロフェッサーT

「端的に言ってしまうと、チャン僕は文島ちゃん、キミに興味がある。アクトレスの限界を知る為にキミを研究したい」


明日翔を実験台に…?

何をするつもりか知らないが、軽々しく承服出来るものではない。


だがそれと同時に気にかかるのは舞と楓だ。

二人も何らかの実験に付き合わされているのだろうか。


少なくとも最新鋭のスーツについてはデータを取られているはずだ。


プロフェッサーT

「力を貸してくれないかい?輪島ちゃんも知っての通り、ヴァイスの進化がここ最近、早まってる。このままだと人類は…負けちまう」


ヴェルサスの様なエミッションを持つヴァイスも出始めていて、対策が必要なのは確かだ。


明日翔

「隊長さん、わたしなら大丈夫です~。この力で皆を守れなくなるのは~悲しいですから~」


その時、室内に警報が響く。


プロフェッサーT

「もう来たか?予想よりちと早いな。輪島ちゃんも見てくれ」



プロジェクターの画像が切り替わり、近隣の宙域が映し出され、大量のヴァイス反応が点在している。


プロジェクターT

「深層の存在はもう誰もが知るところになっちまった。ならもう隠す必要もない。文島ちゃん、この二人と翔べるかい?」


明日翔

「わたしなら何時でも~」


舞は元からフェアリーハート隊の仲間なので連携に問題は無いだろうが、楓とは上手くやれるかどうか不安はある。

だがそうも言ってられない。


プロフェッサーT

「じゃぁ輪島ちゃん、現場の指揮はシクヨロ」


そう言って指揮端末を手渡される。


まずは薫子に連絡を取り、フェアリーハート隊をシャード周辺に展開、浅層から中層に対して備える。


そして舞と楓は明日翔と同等の戦力とするなら…。

まず正面を一気に切り崩す。



2点同時侵攻で早期決着を目指す。

明日翔は心配することは無い。
舞と楓の実力、見させてもらおう。

最悪二人が崩れても、明日翔がすぐ隣にいる。
フォローは間に合うだろう。


シャードから飛び立ち、現地に到着する。

「二子玉さん、私からで宜しいでしょうか?」

舞は無言で頷き、一歩下がる。
まさかひとりでやるつもりか?


楓は鋭い踏み込みと離脱を繰り返し、敵陣を崩していくが、やはり刀に頼るところが大きいらしい。

数で押される場面も度々見られるが、怯むことなく戦い続ける。

そして観測された通りレントラーと遭遇。


正に水を得た魚と言わんばかりに躍動する。
このレベルの大型を30秒で斬り伏せてしまった。

成る程…強い。

明日翔なら2分程度かかる相手だ。


強敵相手にも肉を切らせて骨を断つような戦いぶり。

…だが危うい。
長期戦や掃討には向かないだろうか。

だが明日翔がフォローすれば、もっと輝くだろう。


そして少し遅れて明日翔も戦闘空域を突破する。

楓は肩で息をするような状態で、弾薬もかなり消耗しているが、こちらまだまだ余力を残している。

プロフェッサーT
「ヒュー♪文島ちゃん、やるね~」

楓の事を考えると、一度退きたいところだが…。

「次はわたしの番ですね。隊長さん…見てて下さい。生まれ変わったわたしを…」

舞も単騎駆けで行くつもりらしい。



輪島
「明日翔は左舷側へ進攻…舞と楓は右舷側へ。楓は消耗が激しいので、後方から舞の支援を」

一応の指示は出したが、恐らく楓は手出しはしないだろう。

次回…→共鳴する宙3