前回…→追想の宙は燃えて 4
先日の不幸な遭遇戦から1ヶ月が過ぎた。
これまで政治機関とAegisで隠匿してきた諸々が露見したことで、だいぶ混乱と紛糾が続いている。
情報統制をする余裕も無かった為、フェアリーハート隊の作戦行動も報道各社に大々的に取り上げられてしまったが、こちらについては、陰で人知れず戦いシャードを護っていた、と言う見方が多数を占めたようで、むしろ好意的に受け止められたようだ。
お陰で最近はアクトレスに届くファンレター等もかなり増えている。
だが今回の件で、アクトレス業界には厳しい目が向けられることにもなった。
と言うのも、どのシャードでも資格を持つアクトレスがほぼ全員出動する規模の戦闘だった為、特に民間の事業所で隊長不足に陥ってしまった点。
アクトレスの総数に対して隊長が足りない…その為、指揮が行き渡らず、本来の実力を出しきれなかったアクトレスもいたと耳にする。
逆に風の噂では、指揮用の端末を両手持ち…どころか床にも置いて足でも操作した剛の者もいたとか何とか。
アキ作戦の時はAegisの発令所が使え、そこのオペレーター等のスタッフにも協力を得られたので、あれだけの大規模作戦も何とかこなせたが、確かに普段の特殊宙域作戦ではフェアリーハート隊を全員同時に出撃させるのは無理がある。
それが可能ならもっと楽出来るのだが。
それは兎も角、どうもそうした体制にも新たに法改正…と言うよりは規制が入るようだ。
まだ正式ではないが、隊長1名につきアクトレスは10名まで…の様な制限が付く方向に動いているらしい。
仮にそれが本決まりになると、フェアリーハート隊とその支援部隊まで合わせると30名を超えてしまうので、4名以上の隊長職を確保しなければならないことになるが、法改正の意味を考えると、既存の隊長をヘッドハンティングしても意味は無いので、新たな隊長を育成する事になる。
それが上手くいかないなら、隊の規模縮小するしかない。
何か別の方法は無いものだろうか。
そんな事を考えていると…
光里
「何か通達みたいよ?」
メールではなく、封書で?
どうやらかなり重要なものらしい。
…この封書が私の命運を大きく狂わせてしまうことになると知りもせず。
追想の宙は燃えて 了