前回…→追想の宙は燃えて 序  より


フェアリー オブ フェアリーとティタニア3名は深層に向けて飛行中。


交戦区域に到達するまでの時間、通信でブリーフィングを済ませる。


まず当面の目標は東京シャードに迫り来る包囲網を崩すこと。



横に広く布陣したヴァイスの軍勢は、最早レーダー解析をせずとも、肉眼で観測出来るところまで迫ってきている。


ここまで接近を許してしまっては、こちらも防衛網を厚く敷かざるを得ず、打って出られる戦力は僅かだ。


薫子

「守衛隊の配置完了しました」


防衛側を薫子に指揮を一任したのは、私がその分、攻撃隊の指揮に専念させてもらう為でもある。


オーダーと配置に目を通す。

シャード右舷前方


朱音、地衛理、天音。



シャード右舷後方


唯、安里、乙莉。


シャード左舷前方。


アオイ、美里江、奈々。


シャード左舷後方。


利佳、もえ、文嘉。


成る程、チーム内の連携を重視した組み合わせのようだ。

エミッション波形…世間では「属性」等と言われているようだが、その相性も考慮されているので、これなら問題は無いだろう。

それにしても少し前に実施した演習の成果が試される時が来てしまうとは皮肉なものだ。

あの連携訓練には攻めるよりも、むしろ守備の為のものだった。

そもそもにしてそうした状況に陥らない事にこしたことは無かったのだが、今回は不運中の不運と巡り合ってしまった。


スナイパーズ!による接敵前の早期撃墜と、撃ち漏らしを広域カバーする為のマエストロ隊、チーム内のサポートにフェアリーハート隊。

これで四方を固め、細かい「穴」は残るフェアリーハート隊の隊員と、アライアンスからのアクトレスで補えば、幾分はしのげるだろう。


ではこちらも始めよう。
待ち構えているだけでは終わらない。

敵陣の詳細な解析結果を見るに、右舷側が少し薄いようだ。


末端の方には大型の反応が無い。

輪島
「右舷側、明日翔さんが単騎で。左舷側は絵美さん、ミアさん、美幸さんがチームで当たって下さい」



輪島
「正面を撃破したら、そのまま敵陣に沿って掃討、第一波の殲滅を確認後、帰投願います」

まずはこの一波を押し返す。
寡兵だがやらねばならない。

東京シャードの命運を賭けた戦いが始まる。