前回…→これは演習である 3 より



「ここから逆転するとなると、四の五の言ってらんないわ」




「ここを一気に攻め落とすよ」

一気に。

戦闘空域は敵戦力の規模に応じてエリア分けされることがある。

それは過剰な敵勢力との接触を避け、作戦の成功率を上げる…引いてはアクトレスの安全を確保するためでもある。

今回、唯が発案したのは、そのセーフティをかなぐり捨てる方策だ。


「こっちは唯と美幸さん、もえ」


「そっちはミアさん、アオイさん、安里さんに頼みます」


唯の作戦は、それぞれの戦闘空域で区分されているエリアを、一人ずつ担当して同時に攻略していく事で時短を図ることにある。


「こっちは唯が言い出しっぺだから、キュクロプスは唯がやるわ」

美幸
「ではわたし達は唯さんに火の粉がふりかからないよう、敵を分断しますね」

もえ
「今度こそ利佳さんにもえの格好良いところを!」

利佳
「そう言うのもういいから、しっかりやりな」


安里
「こっちは大型いないけど、細かいのが…かなり多いわね」

アオイ
「この数じゃただ闇雲に撃ってもキリがなさそうね。陣の中心にいるのを落とせば落ち着くかしら?」

ミア
「そうですね。試してみる価値はあるかと」


「それじゃ行こっか」

手早く出撃準備を整えて2チーム6名が出撃する。
通常は空域の端から取り付くが、今回は迂回して敵陣の中心に飛び込むようにエンゲージする。

今回は連携訓練が目的だったが、お互いを信じて背中を預ける…これもまた連携の形だろうか。

そして各所から交戦開始の通知が入る。


もえ
「えい!えい!!逃げるなー!」

ピジョンを放ち、もえ自らも敵を追い回す。
もえの脚回りは高機動に調整されているので、次々に敵を捉えて斬り落とす。



アオイ
「そこ!」

目の良いアオイは敵の群れに潜んでいるフォアトロを目ざとく見付けてはピンポイントで撃ち落としていく。



ミア
「…手強いですね」

ミアは弾雨の陰から近付き奇襲を仕掛けてくるVWに苦戦していたが、スキルを総動員して猛攻をしのぎ反撃する。



美幸は薙刀を構えて仁王立ちする。

美幸
「唯さんの背中はわたしが守ります!いざ!」

美幸の獅子奮迅な戦ぶりに敵陣は瞬く間に崩されていく。



安里
「こう言うのは…得意なのよね!」

マエストロ隊の真価は大軍を前にしてこそ発揮される。
数多放たれるピジョンが次々に敵を撃ち抜いていく。


「ほら!行くよ!」

自立砲撃支援ユニットを起動してそのまま深く踏み込むと、キュクロプスをなます切りに刻む。


「これで!おしまい!!」


全砲門からの一斉射でキュクロプスが無惨にも爆散する。


………

「ただいま。どう?これで少しは差、縮まった?」


美里江
「お帰りナサイ。あちらは中層を丁度半分制圧しまシタ。」

地衛理
「半分、とは言え中層の配置を見るに、まだ交戦空域は広く残っていますね」

絵美
「出撃回数から見たら、こっちが少し有利かも?」

朱音
「唯の作戦、上手くいったわね。この勢いで一気に決めちゃいましょ!」

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