→…これは演習である 2  より




今回は3チームによる同時侵攻作戦を採択したようだ。


中央は利佳がリードしてもえ、絵美。
VWが多数観測されているので、もえのピジョンと上手く連携して包囲されないように立ち回る必要があるだろう。


左舷側は攻撃の激しさに定評のあるフロストファルコンが居るが、大宙の覇者たる明日翔が起用されている。

安里もそうだが、朱音も天音と同時にエーススーツの着用許可が認められており、更に攻撃的な装備に換装されているが、何分これが初使用なので、上手く乗りこなせるか。


右舷側には唯を中心にミアと美里江。
美里江も今回からエーススーツ着用。
グラビウィッチアはまだ観測数が少なく、パターン解析が不完全な相手だが、ミアが居れば崩される事もないだろう。

3チームともスナイパーズ!がリーダーとしてチームを編成した今回の三所攻め。

チーム内は勿論の事だが、チーム同士の侵攻速度も合わせないといけないリスクもある。

特に中央突破の利佳チームは突出すると両舷から囲い込まれてしまうだろう。

さて、ではお手並み拝見。


まずは中央、脚の速いもえが戦端を開く。
多数のVW相手に縦横無尽に走り回り、敵陣を撹乱しつつピジョンによる立体的な攻撃で数の不利を帳消しにする。

もえ
「よーし!このまま!」


VWの奥に待ち構えていたタートルにその勢いのまま挑みかかるが、これは勇み足だったようだ。

絵美
「もえちゃん!危ない!」

間一髪のところを絵美に庇ってもらい、事なきを得た。

もえ
「うー…ごめんなさいー」

利佳
「馬鹿。突っ込みすぎだ」

もえ
「利佳さんに先輩っぽいとこ、見せたかったのにー」



その頃、左舷側。

やはり朱音に焦りがあったのか。
はたまた新調したエーススーツがまだ馴染んでなかったのか。


こちらも無茶な特攻が仇になり、手痛い反撃を受けていた。

安里
「朱音ちゃん、下がって!」

特攻で囲まれてしまった朱音のフォローにピジョンを多数展開して包囲網を崩し、退路を確保する。


一方右舷側は落ち着いた戦況が構築出来ている。

周囲への配慮が細やかなミア、現状把握の正確な美里江、視野の広く判断力に優れる唯。

連携の上手い顔触れが揃っているだけあって磐石だ。



そして決着。

全員無事に生還はしたものの、やはり戦果に不満があるようで、特に朱音の表情からは重いものが見て取れる。


一方、薫子達の進捗は相変わらず順調で、もう浅層も終わろうと言う辺りだ。

安里
「相変わらず速いわね、次はどうする?」

まだこちらは半分も進捗していない。

人数もそうだが、戦闘空域の危険度も桁が違うので、正攻法では差は広がる一方だろう。

さて、どう出るか。


「…しゃーない、ここは賭けにでるしかないっしょ」

唯が宙域図の前に立ち、提示した案は…。