前回→…金蓮花の花束を13
Op.ナスタチウム。
作戦目標:パルミラ宙域に陣取るヴァイスの大規模集団の殲滅。
作戦開始から8日目。
この遠征も決着の時を迎えようとしている。
万全を期して臨むはずの最終決戦は想定外の諸々により、計画は頓挫したものの戦況はこちらに傾きつつある。
このVWへヴィの亜種、ジェズルを破壊すれば当方の勝利だ。
明日翔
「アオイさん、もえさんをお願いします~」
リコサアラゴギはアオイに任せた分、明日翔にはまだ余力がある。
選手交替だ。
ドレスギアに仕込まれた兵装を起動する際に、瞬間的ではあるが強い斥力場が発生する。
それは敵弾の軌道を逸らすに充分な出力を有しており、明日翔もそれを巧みに制御して回避に利用する。
それだけジェズルの攻撃は絶え間無く激しい。
この宙域で最もジェズルを見てきた明日翔ですら、その猛攻に圧されてしまう。
もえ
「だめー!!」
アオイの制止を振り切り、もえが明日翔を身を呈して庇い、更に反撃の一撃を叩き込む。
ほんの一瞬の援護だか、明日翔が体勢を整える隙は充分に生まれた。
明日翔
「ありがとうございます~」
明日翔が消耗した仲間を癒しながらジェズルと正面切って撃ち合うが、それでも決め手になる一撃には至らない。
アオイ
「次は私の番かしら?」
絶妙なタイミングでアオイの合いの手が入る。
不意に撃ち込まれた高出力の閃光にジェズルの体勢が傾く。
だがそれでも撒き散らされる破壊の嵐は止むことなく吹き荒れる。
しかしそれはジェズル自体が制御を失いつつあり、半ば暴走しているようにも見える。
明日翔
「これで終わって~」
明日翔のレールガンから放たれた弾丸は、爆炎の隙間を縫い、ジェズルの眉間を貫き。
ようやく破壊の嵐は静まり、各部から火を吹いて崩れ落ちる。
ジェズルが最後に、己を倒した明日翔を光学カメラで捉えるが…その映像が記録媒体に納まる事は無かった。
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