前回→…金蓮花の花束を8 



朱音

「さぁ!いくわよ!」



交戦開始と同時に朱音の猛攻が口火を切り、敵の出鼻を挫く。

スナイパーズ!は明日翔を始めとするフェアリーハート隊が苦手とする強襲戦法に長けた集団でもある。

特にリーダーの朱音はその傾向が顕著で、その爆発力、突破力には目を見張るものがある。


またペアを組んだ電撃のティタニア、美幸もフェアリーとしては特殊なタイプで、爆発力こそ無いものの、継続火力が非常に高く、フェアリーハートの矛として攻めの要として、無くてはならない存在だ。


朱音
「こっちは急いでるんだから!」
美幸
「終わって下さい!」

決死の一撃でケルベロスを下し、その先にある超空間ゲートへ、朱音と並んで残弾を全て撃ち込み力場を崩壊させる。

美幸
「これで後続は絶てましたね」
朱音
「隊長、こっちは終わったわよ」



「それじゃ始めますか」


唯は持ち前の機動力と絶え間ない連射による撹乱戦法を得意とする。

前に後ろにと間合いを切り替えて場を蹂躙していく。


冷撃のティタニア、ミアは一見、前衛の速攻スタイルに見えるが、フェアリーの中でも随一の回復力を誇り、また携えた盾で仲間を守る騎士でもある。

特にこうした激しい戦いにおいては守りの要として隊内で絶大な信頼を得ている。


「あぁ!もう!しつこいっての!」

ガーデンの本体を守護する蕾ことシールドスプラウトは、破壊の際に近辺に電磁障害を引き起こす。
巻き込まれてしまうと、ギアが短時間ながら機能障害を起こしてしまうので非常に危険だ。

幸い二人とも盾を持っているので、そちらの影響は弾き返せるが、無数に張り巡らされたそれを処理するだけでもかなりの時間がかかる。

当然交戦時間が長引けばそれだけ消耗も進む。

ミアがそれをリカバリーしつつ、唯が撃ち込みまた草刈り…を何度繰り返しただろうか。

ミア
「唯さん、お見事な戦ぶりでした」
「ミアさんもお疲れ様でした。フォロー助かりました」



シタラ
「見ろよ、強そうだぜ」


明日翔
「本当ですね~気を付けていきましょう」

シタラはお気に入りの漫画の一節を引用したようだが、明日翔はそう言うものには疎く、儚くも通じていないようだ。



明日翔とシタラはコンビネーション巧みに戦局を進める。

そもそもラプターウィング隊…スナイパーズ!は明日翔と戦闘距離を合わせ、連携しやすくなる様に、と考案した部隊だ。


そして明日翔の低い攻撃性を補う事が最大の目的でもある。

シタラの大口径レーザーによる支援砲撃を受けて、明日翔がヘケトを押し切る。

明日翔
「帰ったらアイスですね~」
シタラ
「ゴメン、疲れすぎて食べる気力ないかも…」

フェアリーハート隊のエース、焼夷のティタニアはまだまだ余裕のようだ。



アオイ
「それじゃ先、行かせてもらうわ」


この空域には大型の反応は無いが、その代わりなのか中型及びその特異型が多数配置されている。

耐久性こそ大型には及ばないが、攻撃性は高く危険な存在だ。


絵美
「急がないと…次が来ちゃう」

その上、すぐ側には今にもヴァイスを吐き出さんばかりの超空間ゲートが。

ヴァイスは行動に一定のパターンがあり、その隙間を突いて攻めるのが定石だが、事この場においてはそうも言っていられない。

シールドと回復力を頼みに強引な突破を敢行し、ゲートへの攻撃を試みる。

アオイ
「超空間ゲートの崩壊を確認したわ」
絵美
「良かった…間に合いました」


四極の戦いを制した妖精達が帰艦する。

これで敵勢力増加の恐れは無くなった。
後はこの深層の残敵を掃討すればOp.ナスタチウムは完了する。


いよいよ大詰めだが、ここから苦難が始まる。

ナスタチウム…金蓮花。
花言葉は「勝利」だったか。

その加護が妖精達にあらんことを。