前回→…金蓮花の花束を7 






輪島
「では…始めましょう」

今までの激戦すら児戯となる過酷な宙に妖精達が挑む。

パルミラ宙域深層、その入り口からして既にこの脅威度。

禁踏領域として扱われる封鎖宙域の最奥付近と同程度だ。

輪島
「明日翔さん、景気付けにお願いします」

もう特殊宙域作戦ではこれも恒例になっているだろうか。

隊の士気高揚となるよう、先陣は毎回明日翔に任せている。


明日翔
「は~い、行ってきます~」

明日翔は何時もと変わらぬ素振りで一人翔び立つ。
実際彼女の心に揺らぎは無い。

泰然自若、と言えば良いのだろうか。


明日翔が目指すは宙の頂き。
より高く。
どこまでも遠くへ。

戦う事が目的ではない。
翔ぶ事こそに悦びを見出だす。

…それ故に眼前の敵が何者であろうと、その心は揺るがない。


…それ故に道を阻むものに容赦も無い。

その様は危険な敵ではあったとしても、決して勝てない相手ではない事を示す。


明日翔の切り開いた道の先に、敵陣は横に広く展開している。

中層までも同様の陣立ては見られたが、この深層においては、また陣の意味が違うようだ。

光里
「敵陣両端に小規模ながら励起状態の超空間ゲートを確認、ドライブアウトの兆候あり!」

どうやらワープドライブを断続的に繰り返した結果がこの陣立に至る経緯らしい。

そしてこれ以上、脅威を増やすわけにはいかない。

想定される交戦ポイントは4箇所。

そしてこのレベルで太刀打ち出来るフェアリーはティタニアの4名と、明日翔の親衛隊たるスナイパーズ!の4名。

特に両端のポイントは高い攻撃力が求められる。
もたつけば敵増援の格好の的だ。

輪島
「美幸朱音組、及び絵美アオイ組は、敵殲滅後に超空間ゲートへ攻撃をお願いします」

ここで後続を絶たなければ戦は終わらない。


朱音
「やっと出番ね!腕が鳴るわ」

美幸
「朱音さん気炎万丈ですね。私も負けてられません」

天音
「美幸さん、お姉ちゃんをよろしくお願いします」




ミア
「美幸さん、お気をつけて」

「ミアさん、人の心配してる場合ですか?ま、唯がいるから大丈夫か」

乙莉
「うん、唯ちゃんならあっと言う間に勝っちゃうよね」

「アンタは敵を甘く見すぎ」

乙莉
「えぇー!?そんなぁ…」




シタラ
「オレ、無事に帰れたら冷蔵庫のアイス食べるんだ…」

明日翔
「アイス楽しみですね~わたしもご一緒していいですか~?」

「明日翔さん、それ…死亡フラグ…。だから真に受けない方が…」




アオイ
「私のデビュー戦はいきなり深層なのね」

奈々(ペラリとカードを捲る)
「カードは≪力≫の正位置…」

アオイ
「そのカードは?」

奈々
「強い意思。危難を恐れず前に進む勇気が、道を拓いてくれるはずです」

絵美
「強い意思…勇気…。苦手だなぁ」

明日翔
「絵美さんなら大丈夫ですよ~何時もの練習通りにやれば~高く翔べるはずです~」



賑やかに出撃準備を済ませ、カタパルトデッキから翔び発つフェアリー達を見送る。

光里
「各組、交戦開始位置に到着」

輪島
「では皆様、準備は宜しいですね。交戦開始!」