酒場を出た一向は、まず街の中を見て回ることにした。

花音
「アルルの幻覚を解く鍵が見つかると良いんだけど」

街の中は穏やかで住人も友好的、聞かれたことは大体答えてくれる。

分かったことは…。
①この世界は魔王の侵略を受けている
②魔王に対抗出来るのは「勇者とその一行」
③国外へは転移装置を使って出国する
④街の向かいの塔に盗賊の鍵がある

花音
「ここまでの話を繋げると、私たちがこの魔王ってヤツを倒さないといけない、ってことになるのかしら?」

心美
「そんなぁ…今はそれどころじゃ…」

確かに今は奏乃宮に突入し、イリスとの決着を控えている。
こんなところでまごついてはいられない状況だ。

うらら
「でもやらなきゃどうにもならないんでしょ?じゃぁやるしかないじゃん。行くわよ、ここみ!」
心美
「え!?待って、うららちゃん」

即決即断のうららを追って街の外へ。

アリアハンを出て、目の前に塔が見える。

花音
「あそこに便利な鍵があるのね」

だが塔は小島の上に建っており、直接陸路では行けない。
何でも洞窟が地下通路代わりになっていて、そこを通ることになるらしい。

花音
「橋くらい造りなさいよね、まったく…仕方ないわね、行きましょ」

その洞窟を目指して歩き始めたところで、不意の遭遇があった。


うらら
「イロウス!?」
花音
「ゲルとクィンね、お手並み拝見といこうじゃない!」

だが、抜けるような青空の下、瞬く間に決着は着いた。

花音
「拍子抜けね、肩慣らしにもならないわ」
詩穂
「瘴気も感じられないし、まだこの辺りは敵の勢力が弱いのかしら?」

この後も何度か遭遇戦があったが、花音たちの相手ではなかった。

花音
「アルルのやつ、私たちをナメてるのかしら?」
詩穂
「そうね…この世界で私たちを倒すつもりならもっと強いイロウスを使うわよね…何か策があるのかも」

うらら
「いーじゃん、楽に勝てるんならその方が良いよ」
心美
「でもうららちゃん、やっぱり何かへんだよ」

さっきまで奏乃宮で相手していたイロウスはもっと、遥かに強かった。
こんな程度では足止めにもならないのはアルルも分かっているはずだ。

うらら
「もう!ここみまで!みんな考えすぎ!そうやって迷わすの、アイツが好きそうな手じゃん」

花音
「…そうね、考えすぎかもね」

急ぐ道のりであるのは確かだ。
敵に手間取っている場合ではないし、うららの言う通り好都合と考えるべきだろう。

花音
「じゃ、気を取り直して行きましょ」

地下通路を抜けて、塔を見上げる。
やはり空は青い。


3話に続く


と言うことで、2話はここまでです。
もう少し先まで書けるかと思いましたが、テキスト量が多くなりすぎてしまうので、この辺りで一区切りですね。

この調子だとラストまで100話以上かかってしまいそうです。

もう少し話を端折ることも考えるべきかもしれませんね。

以前書いていた「薬売りの魔女」シリーズは光里さんの一人称で綴られていたので、会話を少な目にして、その分を状況説明に割り振れたので、密度の濃い文章に出来ましたが、やはり四人の、しかも会話部分が多い文体だと文章量の割に話が進まないですね。

先程までドラクエをやっていて、ロマリアまで着きましたが、今のペースだとその分だけでもあと2話分くらいになりそうです。

構成に少し工夫したいですね。

それではまた。