これは星守達の語られることの無かった戦いの記録。
アルル
「しゅしゅしゅ…ここで会ったが100年目でしゅ!」
花音
「今日こそ逃がさないわよ!」
アルル
「それはこっちの台詞でしゅ!」
花音は両手の銃を目前の犬みたいな何かに狙いを付け、発砲!
アルル
「遅いでしゅ!」
アルルの呼掛けが僅かに速く、そこかしこからイロウスが湧き出る。
花音の撃った銃弾はアルルとの間に湧き出たイロウスに当たり、遮られた。
花音
「くっ…」
詩穂
「花音ちゃん、凄い数よ。もう完全に囲まれてる」
アルル
「しゅしゅしゅ…今日はこれだけじゃないでしゅよ!」
アルルは何時もの様ににやにや笑いながら辺りを飛び回っている。
心美
「何でしょう…?何か変な、嫌な感じがします…」
槍で応戦しながらアルルの動向を追う心美。
アルルが何を仕掛けてくるのか…この違和感、嫌悪感の正体は…?
心美
「これは…いけない!うららちゃん!」
心美がハッと気付いて呼掛ける。
うらら
「もう!何なの!?」
うららはロッドから魔力塊を撃ち出し、アルルを狙うが…クィン種のイロウスがアルルを庇うように割り込んでくる。
アルル
「しゅしゅ!完成でしゅ!」
その瞬間…!
風景がぐにゃりと歪んで…。
4人の星守は意識を失った。
………。
……。
…。
「…きて!花音ちゃん、起きて!」
遠くから呼掛けられたような気がして、花音は目を覚ました。
花音
「!!」
ハッとして勢い良く起き上がり、辺りを見回す。
花音
「敵は!?」
詩穂
「良かった…花音ちゃん、痛いところとか無い?」
花音
「え?…うん、大丈夫…それより敵は!?」
花音は辺りを見回すが、先程まで雲霞の如く居たイロウスが綺麗サッパリ居なくなっている。
花音
「どうなったの?」
詩穂
「わからないわ。今、蓮見さんと朝比奈さんに周りを見てもらってるけど…そろそろ戻ってくる頃かしら」
風景を見回しても全く覚えの無い草原。
少し離れた所は森になっているようだ。
うらら
「しほっち先輩!あ、かのかの先輩も目が覚めたんだね、良かった」
心美
「少し遠いですけど、向こうに街?がありましたよ」
ここがどこかも分からないのではどうにもならない。
4人はその街らしきものに行ってみることにした。
心美
「ここです…」
明らかに現代の建築様式ではない建物が並ぶ街並み。
花音
「なにこれ?一体ここは?」
心美
「わかりません…ありあはん、と言う街らしいんですが…」
詩穂
「聞いたことのない地名ね」
使用されている言語は日本語らしく、住人との意志疎通には全く問題がないが、明らかに日本ではない。
うらら
「ねぇどうする?」
全く勝手がわからない為か、何時も前のめりなうららも不安そうにしている。
花音
「どう、と言われても、ねぇ?」
詩穂
「そうね。とりあえずどこかで一休みにしましょうか?少し状況を整理した方が良いかも」
飲食店、と言うか酒場の一角でテーブルを囲む4人。
心美
「あの…良いんでしょうか?このお店…」
うらら
「もう!仕方ないじゃない。ファミレスも何も無いんだから」
詩穂
「そう言えばお金はどうなるのかしら?」
花音、心美、うらら
「!?」
幸いまだオーダー前だったので、切り盛りしている女将さんに聞いてみると、案の定「円」は流通していないようだったが、何故か「コイン」が使える事が判った。
花音
「これ、神樹ヶ峰専用のお金じゃなかったの?」
詩穂
「どうなのかしら?ともあれいきなり無一文は避けられたみたいね」
当面の路銀はどうにかなりそうと言うことで、不安は一つ消えたが、疑問は逆に一つ増えた。
花音
「やっぱりアルルの仕業よね」
心美
「あの時の感じから、これもあの幻覚みたいなものだと思います…」
料理をつつきながら議論した結果、この世界を内側から突破するしかないだろうと言う結論に達した。
花音
「よし!やることも決まったし、行きましょ」
こうして誰の目にも止まることの無かった戦いの旅路がはじまる。
2話へ続く
と言うわけで本当に始まってしまいました

バトガ×ドラクエ3のコラボストーリー。
第1話は導入と言うことで、状況説明に終止した形になりました。
本格的な旅は次回からとなります。
果たしてどんな道中記が出来上がるやら、ですね。
話の時期的には詩穂さんが闇堕ちから復帰して、奏乃宮に突入した際の決戦の最中を想定しています。
更新頻度は不定期になると思いますが、やはり時間のとりやすい週末にドラクエを3をプレイして、シナリオに纏めるようになっていくことになりそうです。
それではまた。