わたしは早速案内人を探し始めるんだけど、何か様子がおかしい。
どう言うわけか案内人を探すわたしを村の人達が胡散臭そうな目で見る。
それでも何とか居場所を教えてもらい、案内人を訪ねてみたんだけど…

「俺の事を嗅ぎ回ってるのは…アンタかい?」
嗅ぎ回る?何だか随分と人聞きの悪い言い方ね。
「教えて欲しい事があるんだけど…」
あまり気にしていても話が進まないので、わたしは単刀直入に調査隊の事を聞こうとしたんだけど、男は突然手にしたナイフで斬りかかってくる!

一体何なの!?
わたしは咄嗟にBFGを構えると案内人を撃ち抜いてしまう。
しまったわね…これじゃ話を聞くどころではない。
最早物言わぬ欠片と成り果てた案内人をしばらく見下ろし…わたしは案内人が住処にしている地下室を家探しすることにした。
何か調査隊に関するメモなりなんなりがあるかもしれない。

だがわたしはここでとんでもないモノを見付けてしまった。
「助けて下さい!」
囚われの少女 
涙ながらに訴えかけてくるのは鎖に繋がれた少女達…。
少女達を鎖から解き放ち話を聞くに、あの案内人…とんでもないことに裏で奴隷商人の片棒を担いでいたのだと言う。
そしてここで奴隷の管理をしていたあの男がいなくなったと知れたら奴隷商人がこの村に何を仕掛けてくるか分かったモノじゃない、と言う。

「お願いします…奴隷商人を何とかして頂けませんか?でないと私たち…どうなることか」
少女の必死の懇願を無碍にするのは何と言うか寝覚めが悪い。
ただ問題なのはその奴隷商人がどこにいるのか知っている人物…今わたしが話を聞いている少女の姉が意識不明の重体であること。
何でもかなり珍しい難病らしく、以前からこの村の医者に相談していて八方手を尽くして治療法を探していると言う。

ふむ…となるとその少女の姉の病気を何とか治して話が聞けるくらいにまで回復させるか、いつ来るか分からない奴隷商人を待ち受けて迎撃するか…。
まずはその医者を当たってみるか。
奴隷商人が来るとしても少なくとも今日明日と言うことは無いだろうし、それまでに出来ることはやっておくべきよね。

わたしはその少女と一緒に医者を訪ねてみると…。
「治療法が見つかったよ…この巻物に封じられた魔法をお姉さんに向けて解き放つと良い」
何とタイミングの良い事か。
丁度先日、例の難病を回復させられる魔法の巻物が手に入ったと言うのだ。
「先生、有難う!」
少女は喜色満面で巻物を受け取ると急ぎ足で家に戻り、床に伏せている姉に早速術を解き放った。

結局わたしには何の病気か分からないうちに解決してしまったみたいだけど、回復するならそれに越したことは無い。
医者から貰った巻物は効果覿面だったようで、姉はほどなく意識を取り戻した。
「貴女が妹を助けてくれたんですね。有難うございます」
「でもまだ終わりじゃないみたいなのよね…奴隷商人の居場所、分かる?」
わたしの問いかけに姉はこくりと頷くとこの村から更に西にある街を教えてくれる。
オーキッシュバイウェイと呼ばれる街に奴隷商人の拠点があると言うのだ。

居場所が分かるなら話は早い。この村にいた手下が行方不明になったことを知られる前にこちらから仕掛ければ有利に事を運べる。
結局この村では調査隊の事は何も分からなかったし、調査隊の目的地はここより西のオークの国。
西に向かうのはそれ程悪い選択肢ではないだろう。
そのオーキッシュバイウェイで調査隊の足取りも掴めるかもしれないし。
わたしは姉妹に別れを告げると早々に村を発った。