何のかんので良い時間だったのでその宿で一泊して改めて西へとトラを進める。
目指すは案内人とやらが住んでいると言う村なんだけど…。
その途中、小島にある要塞みたいな場所を通りかかった。

別に軍事拠点ってわけでも無いみたいで、普通の村とかと同じように検問も何もなく素通りできる。
…むしろ何でこんなに物々しいのか不思議になるような村(?)だ。
けど、わたしはその村(?)を素通りすることは出来なかった。

「アンタ、助けてくれ!子供が殴り殺されちまう!」
トラに乗ったわたしに助けを求める男が一人。
しかもかなり物騒な事を言っている。
一体何事かと聞いてみると、小さな子供達が強引に連れていかれて虐待されていると言う。
話を聞いても何でそんなことが突然起こったのかさっぱり分からないけど、只事では無いのは確かだ。

わたしは子供達が連れ込まれたと言う地下倉庫に飛び込むと、確かにそこでは大の大人が子供を追い掛け回しては力の限りに殴りつけている。
「ちょっと!何してるの!?」
「あいつらは悪魔だ!やらないとこっちがやられちまう!!」

わたしの制止に対して何か禁止薬物でも使っているのか、気が触れたような返事が返ってくる。
…もはや問答は埒無し、か。
申し訳ないけどわたしはBFGを構える。
ほんと何かもうちょっと手加減の効く予備の武器とか見繕った方が良いかしら?

鬼のような形相で追いかけていた大人達が木端微塵になると子供達はへたり込んで泣き出した。
悪魔の罠 
まぁ無理も無いわよね。

わたしは近寄って子供を宥めようとした…その時だった。
「ぐぎゃらばぁぁぁ!」
子供達が一斉に爆ぜ割れて真っ黒な巨躯に姿を変える!
その姿は正に悪魔のよう…。
本当に悪魔だったの!?

悪魔達はわたしに狙いを定めると一斉に襲い掛かってくる!
あぁぁ!もう!
何で何時もこうなるの!?
わたしはBFGからマジカの波動を撃ち出す。

(ふむ、災難じゃったの)
地下倉庫の惨状を見て龍姫が一言。
「もう!災難なんてもんじゃないわよ」
結局これが一体何事だったのか。
わたしには全く分からない。
子供に化けていた悪魔は何の目的があったのか。
あの大人達はどうやって悪魔を看破したのか。
真相はわたしがこの手で全て木端微塵にしてしまった。

…って言うか、これって状況的にマズイんじゃ…?
少なくともあの大人達の言っていることは正しかったことになるわけだし、このままここに居たら殺人罪とかに問われることは間違いない。
わたしは無言で頷くと地下倉庫から涼しい顔をして出てきて…この要塞の様な村をトラで脱兎のごとく走り去った。