はっと目を覚ます。
記憶にあるのは真っ白な閃光と轟音。
「大丈夫ですか!?」
端末からは海斗が切羽詰った様子でこちらに呼びかける声。
「…大丈夫みたい」
そうか。黒騎士が何かボタンを押したら爆発が起こって…。
海斗から話を聞くに、どうも黒騎士があの異形化爆弾でわたし達を道連れにしようと爆発させたようだ。
「異形化の兆候はありません」
オペレータの規子が安堵の吐息と共にそう伝えてくる。
どうもあの爆発で気を失っていたらしい。
目の前には倒れ伏す黒騎士…いや、コードライズが解除された天羽ヴェルン。
そして何時の間に来たのか隊長がその天羽の亡骸を見下ろしていた。
「あの爆弾からブラッドコードは抜き取られていた」
隊長は先行してこの周囲を見回り、見付けた爆弾を解除しようとしていたところで爆発したらしいのだけど、爆弾の肝である異形化コードはすっぽりと抜き取られていたらしい。
「それが天羽の最後の抵抗だったのかもな」
そう言うと司令部と連絡を取り始め、天羽の遺体の回収やら何やらと指示を出す。
わたし達は任務完了、と言うことで一旦司令部に戻ることになった。
「無事だったようですね。ですが念の為、検査しておきましょう」
医務室でカプセルベッドに横たわると睡眠誘導ガスが吹き込まれる。
眠っている内に検査は完了、って寸法だ。
黒騎士との激戦の疲れもあってわたしはあっさりと眠りに落ちる。
………
……
…
気付くとわたし達は湖の中心にある小島に来ていた。
キマイラを倒したことを報告ついでにエルフの神殿について聞いてみると、そこに精霊神から授かった石が祀られていると言う。
敵がその存在を知っていて、なおかつわたし達を”待っている”と言う。
その石が何なのかは知らないけど行かないってわけにもいかないだろう。
しっかしさっきも気絶してる間にこの夢を見てたんだけど…何時まで続くのかしら?
エルフの神殿と言う場所柄、エルフの巫女であるエルサを先頭に探索を進める。
「あら…?そんな…」
かなり奥の方まで来てエルサの表情が曇る。
何でも本来は魔法の合言葉が刻まれているはずの場所が削り取られてしまっていると言う。
削られてしまったせいで魔法も破損してしまい、本来なら通れるはずの場所が通れなくなってしまっている。
これはつまり敵が先回りしてあれこれ仕掛けていると見て良いのよね?
ともあれこのまま引き返すってわけにもいかない。
どこか別の通路を探さないと。
そんなわけであちこち壁をぺしぺし叩いたりして何か無いか探していると…。
「ぬ?こいつぁ…発破じゃないか」
バーゴが爆薬を見付けてきた。
何で神殿に爆薬?あまりに不似合いな物が置いてあったものね…。
まぁいざとなったらどこかの壁を吹っ飛ばして道を強引に切り開く時もあるかもしれないし、有って損する物でもないか。
どうやらバーゴは火薬の取り扱いには慣れてるみたいだし、いざとなったら頼むとしよう。
そしてそのいざ、と言う時は思いの外早く訪れた。
神殿をぐるっと一周してみたが、深部に続く通路はやはりあの魔法の合言葉しかないらしい。
となれば…やるしかないか。
一応エルサにも壁を吹っ飛ばして大丈夫か聞いてみたが、「この際は仕方が無いと思います」と言うのでバーゴと相談して壊れやすそうな場所を見繕い爆薬を仕掛ける。
ずどん、とお腹に響く衝撃音と共に壁が崩れ落ちる。
「いやー助かったよ」
壁が崩れるとどこからともなくまたあいつがのこのこと出てくる。
「何せ場所が場所だろ?罰当たりなことして祟られたりしたら困るから爆薬を置いといたんだけど…ちゃんと使ってくれて良かったよ」
何でもポポログもこの神殿で探し物をしたかったのだが、道が全然ないので壁を壊したかったとのこと。
だったら自分でやればいいのにと思ったのだが、場所が場所なのでヘンな呪いがあると困るってことでわたし達を身代わりにしようと画策したらしい。
「ポポログ!あんたねぇ…いつか本当に罰が当たるわよ!」
ロロンちゃんが怒りで顔を真っ赤にする。
「まぁまぁ、良いじゃないの。今回は無事何もなかったんだしさ。それじゃお先!」
ポポログは崩れた壁の先にひょいと身を躍らせる。
その直後だった。
「うわぁぁぁぁ~~~~!なんだこれ!?」
ポポログの悲鳴が響き渡る。
何事かとわたし達も急ぎ壁の穴を潜ると…ポポログは大きなタコに捕まっていた。
そしてあろうことか…そのまま大タコに丸飲みされてしまった。
そしてタコはこっちに視線を向ける。
やるしかない、か。
キマイラと戦った時の様にうまく連携をとりタコを打ち倒す。
「あーびっくりした」
大タコが息絶えると同時にぐぼっと音を立ててポポログを吐き出す。
「どぉ?罰、当たった気分は?」
ロロンちゃんが呆れたようにポポログを嗜める。
「そうだなぁ…ここらが限界か」
「何よ、急に神妙なことを…」
何時もの様に軽口が返ってくると思っていたロロンちゃんが心配そうな眼差しを向ける。
「うし!決めた。おいらも生徒にしてくれよ先生さん」
ポポログはわたしに向き直ると生徒にしてくれと言いだす。
とは言え生徒ってわたしが勝手に決めて良いのかしら?何時もマァリンが何かの基準に則って決めてるみたいなんだけど…?
「え?あぁ…あのねぇちゃんか。分かった。じゃぁ聞いてくる」
そう言うとポポログはぴゅーっと走り出すとあっと言う間に見えなくなってしまった。
足、速いわねぇ…。
記憶にあるのは真っ白な閃光と轟音。
「大丈夫ですか!?」
端末からは海斗が切羽詰った様子でこちらに呼びかける声。
「…大丈夫みたい」
そうか。黒騎士が何かボタンを押したら爆発が起こって…。
海斗から話を聞くに、どうも黒騎士があの異形化爆弾でわたし達を道連れにしようと爆発させたようだ。
「異形化の兆候はありません」
オペレータの規子が安堵の吐息と共にそう伝えてくる。
どうもあの爆発で気を失っていたらしい。
目の前には倒れ伏す黒騎士…いや、コードライズが解除された天羽ヴェルン。
そして何時の間に来たのか隊長がその天羽の亡骸を見下ろしていた。
「あの爆弾からブラッドコードは抜き取られていた」
隊長は先行してこの周囲を見回り、見付けた爆弾を解除しようとしていたところで爆発したらしいのだけど、爆弾の肝である異形化コードはすっぽりと抜き取られていたらしい。
「それが天羽の最後の抵抗だったのかもな」
そう言うと司令部と連絡を取り始め、天羽の遺体の回収やら何やらと指示を出す。
わたし達は任務完了、と言うことで一旦司令部に戻ることになった。
「無事だったようですね。ですが念の為、検査しておきましょう」
医務室でカプセルベッドに横たわると睡眠誘導ガスが吹き込まれる。
眠っている内に検査は完了、って寸法だ。
黒騎士との激戦の疲れもあってわたしはあっさりと眠りに落ちる。
………
……
…
気付くとわたし達は湖の中心にある小島に来ていた。
キマイラを倒したことを報告ついでにエルフの神殿について聞いてみると、そこに精霊神から授かった石が祀られていると言う。
敵がその存在を知っていて、なおかつわたし達を”待っている”と言う。
その石が何なのかは知らないけど行かないってわけにもいかないだろう。
しっかしさっきも気絶してる間にこの夢を見てたんだけど…何時まで続くのかしら?
エルフの神殿と言う場所柄、エルフの巫女であるエルサを先頭に探索を進める。
「あら…?そんな…」
かなり奥の方まで来てエルサの表情が曇る。
何でも本来は魔法の合言葉が刻まれているはずの場所が削り取られてしまっていると言う。
削られてしまったせいで魔法も破損してしまい、本来なら通れるはずの場所が通れなくなってしまっている。
これはつまり敵が先回りしてあれこれ仕掛けていると見て良いのよね?
ともあれこのまま引き返すってわけにもいかない。
どこか別の通路を探さないと。
そんなわけであちこち壁をぺしぺし叩いたりして何か無いか探していると…。
「ぬ?こいつぁ…発破じゃないか」
バーゴが爆薬を見付けてきた。
何で神殿に爆薬?あまりに不似合いな物が置いてあったものね…。
まぁいざとなったらどこかの壁を吹っ飛ばして道を強引に切り開く時もあるかもしれないし、有って損する物でもないか。
どうやらバーゴは火薬の取り扱いには慣れてるみたいだし、いざとなったら頼むとしよう。
そしてそのいざ、と言う時は思いの外早く訪れた。
神殿をぐるっと一周してみたが、深部に続く通路はやはりあの魔法の合言葉しかないらしい。
となれば…やるしかないか。
一応エルサにも壁を吹っ飛ばして大丈夫か聞いてみたが、「この際は仕方が無いと思います」と言うのでバーゴと相談して壊れやすそうな場所を見繕い爆薬を仕掛ける。
ずどん、とお腹に響く衝撃音と共に壁が崩れ落ちる。
「いやー助かったよ」
壁が崩れるとどこからともなくまたあいつがのこのこと出てくる。
「何せ場所が場所だろ?罰当たりなことして祟られたりしたら困るから爆薬を置いといたんだけど…ちゃんと使ってくれて良かったよ」
何でもポポログもこの神殿で探し物をしたかったのだが、道が全然ないので壁を壊したかったとのこと。
だったら自分でやればいいのにと思ったのだが、場所が場所なのでヘンな呪いがあると困るってことでわたし達を身代わりにしようと画策したらしい。
「ポポログ!あんたねぇ…いつか本当に罰が当たるわよ!」
ロロンちゃんが怒りで顔を真っ赤にする。
「まぁまぁ、良いじゃないの。今回は無事何もなかったんだしさ。それじゃお先!」
ポポログは崩れた壁の先にひょいと身を躍らせる。
その直後だった。
「うわぁぁぁぁ~~~~!なんだこれ!?」
ポポログの悲鳴が響き渡る。
何事かとわたし達も急ぎ壁の穴を潜ると…ポポログは大きなタコに捕まっていた。
そしてあろうことか…そのまま大タコに丸飲みされてしまった。

そしてタコはこっちに視線を向ける。
やるしかない、か。
キマイラと戦った時の様にうまく連携をとりタコを打ち倒す。
「あーびっくりした」
大タコが息絶えると同時にぐぼっと音を立ててポポログを吐き出す。
「どぉ?罰、当たった気分は?」
ロロンちゃんが呆れたようにポポログを嗜める。
「そうだなぁ…ここらが限界か」
「何よ、急に神妙なことを…」
何時もの様に軽口が返ってくると思っていたロロンちゃんが心配そうな眼差しを向ける。
「うし!決めた。おいらも生徒にしてくれよ先生さん」
ポポログはわたしに向き直ると生徒にしてくれと言いだす。
とは言え生徒ってわたしが勝手に決めて良いのかしら?何時もマァリンが何かの基準に則って決めてるみたいなんだけど…?
「え?あぁ…あのねぇちゃんか。分かった。じゃぁ聞いてくる」
そう言うとポポログはぴゅーっと走り出すとあっと言う間に見えなくなってしまった。
足、速いわねぇ…。