新たな仲間、ルーミを伴いアーレンティールの深い森に踏み込んだわたし達…ってまたこの夢か。
一体何なのかしらね?こんなに長いお話を連続的に夢で見るなんて…わたし、どうかしてるのかしら?
まずは手紙をくれたオークの集落を探さないといけないんだけど、地元民のエルサでも具体的な位置は分からないと言う。
仕方なしに森の中を彷徨っていると…。
「でた!?」
突然出くわした幽霊に驚愕するロロンちゃん。
でもこの幽霊…敵意は無いらしく、わたし達に何かを訴えかけてくるばかり。
「…………」
ぼそぼそとほとんど聞き取れないような声でわたし達に何か助けを求めてるんだけど…何が何なのか良く分からない。
断片的に聞き取れる言葉を並べるに、何かを探してほしいみたいなんだけど…。
「わかったわ、見つかるかどうか分からないけど探してみる」
わたしがそう言うと幽霊は満足したのか、取り敢えず姿を消してしまう。
しかし一体何を見付ければ良いのかさっぱり、なのよねぇ。
まぁ良いわ。
こっちはこっちの目的を果たさないと。それにちゃんと「見付かるかどうか分からない」って言っておいたし。
仮に見付からなくても言い訳はできる…はず。
気を取り直して森の木々を掻き分けて進む。
すると何か看板みたいな立札があって…何か書いてあるんだけど、いまいちよく読めない。
でも看板があって、何か書いてあるってことはそこに文字を使うことが出来る何者かがいるってことだ。
ひょっとしたらこの近くにオークの集落があるのかもしれない。
わたし達は今まで以上に注意深く辺りを見て回ると…あった!
明らかに柵やら小屋やらが集まっている場所を見付けると、その集落に入るべく門番をしているらしきオークに話しかける。
…が、その門番はわたし達を見るや物凄い勢いで殴りかかってくる!
一体何事!?
急な事だったので、咄嗟に槍を振りかざすわたし。
…って何で槍なんて持ってるの!?この前まで弓持ってたはずなのに!
「うわ、っとと…」
普段槍なんて使わないものだから、戸惑いながら必死に槍で応戦する。
いくら夢だからって急に持ち物が変わってるのは勘弁してほしい。
何とかオークの門番を退けたんだけど…何だか様子がおかしい。
エルサが言うに、門番を任されるようなオークなら会話くらいは出来るはずだと言うんだけど、とてもそうは見えなかった。
「へへ、遅かったね」
そんな時だった。
横手の茂みから聞き覚えのある声が聞こえる。
がさっと茂みを掻き分けて出てきたのはポポログだった。
「遅かった、ってどういうこと?」
「皆魔王の術にかかちまった、ってことさ」
どうも時既に遅しってやつらしい。
魔王の手下が集落を襲って軒並み例の魅了術を掛けてしまったと言う。
しかし困ったわね。
そうなるとこの手紙をくれた族長も無事かどうか分からない。
でも一応安否を確認しておかないと帰るに帰れない、か。
「そう言えばアンタ達、この集落に用でもあんの?」
「まぁ、ね」
「ふぅん。でもこんな状態だからなぁ、正面から行くのはやめといた方がいいと思うよ?」
何だかひっかかる言い方ね。
「それはつまり正面じゃないところからも入れるって受け取っていいのかしら?」
「まぁ、ね。この森のどっかに腐りかかった看板があると思うんだけど、その近くに何かあるかもね」
そう言うとポポログはにやりと笑ってまた茂みの中に飛び込んでしまった。
しかし一体ポポログは何用があってこんなところにいるのかしらね?
恐らくロンドエールに密航してここまで来てるんだと思うんだけど…ポポログの目的がさっぱり見えない。
まぁそれはどうでも良いか。
確かに正面突破はしんどいだろうし、折角の助言だ。有効に活用させてもらうとしよう。