空飛ぶ城ロンドエールは滑らかに雲間を飛ぶ。
とは言っても城の中にいると全く飛んでいるような感覚は受けない。
素晴らしく安定性が良いらしく、全く揺れないし、加速や減速の衝撃も感じられない。
まるで夢でも見ているかのような気分だ…って実際夢だったわね。
わたし達は今エルサの出身地であるアーレンティールへと向けて航空中だ。
でもマァリンは飛んでる時も油断するなと言っている。
まさかこんな飛んでる所まで追いかけてこれるような化け物が居るとも思えないんだけど…。
飛んでる実感が欲しくてさっきバルコニーに出て外の様子を見てきたけど、速度はかなりのもので幾ら空を飛べるような魔物がいてもそうおいそれとは追い付けないと思う。
先回りして待ち構えていたとしてもこの速度でそしてこの規模の飛翔体にちょっかい出すのは難しいだろう。
迂闊な事をしたらこの城に轢き逃げされるのが関の山なはずだ。
普通に。物理的に考えたらそうなるはずなんだけど。
やはり夢の世界だけあってやる奴はやってくれるものらしい。
見張り番に立っていたサウルから「何か近付いてきてる!」と報せが入り、わたし達はバルコニーに出る。
すると…そこには一人の女が立っていた。
しかも耳を見るにエルフ族の女だ。
「円卓の騎士が蘇ったと聞いて見に来てみたが…」
女はわたしを見据える。
不自然な程赤く爛々とした目で。
「少し試させてもらおうか…」
わたしがその円卓の騎士として蘇ったことは既に敵にも知れているってことか。
そして…多分この女、敵軍の中でもかなり高位の立場にいるやつだ。
まずいわね…この前マァリンにも言われた通りわたし達にはまだ戦力が足りない。
備えも出来ていない。
…夢の中とは言え実にシビアな話ね。
ゲームとかなら三下みたいなのが偵察に来て返り討ち、なんて展開から始まるところなんだけど。
やはり危険の芽は早いうちに摘み取るべきと言うことは向こうも心得ているらしい。
そして女から気持ち悪い魔力の波が噴き出し、わたし達を包む。
「?」
が何か変化が起きたようには感じられない。
と思ったその時だった。
後ろからいきなりサウルが斬りつけてくる!
「うわ!?」
予想だにしない正に不意打ち。
それを紙一重で躱すも…ロロンちゃんやエルサも手にした武器でわたしに攻めかかってくる。
「なんだこれ!?何が起こってるんだ!?」
サウルが躊躇いの無い太刀筋でわたしに斬りかかる。
「…何と他愛のない。これ程容易に術中に堕ちてくれるか」
この事態を引き起こした当の本人が悲しそうに吐き捨てる。
「先生!どうすりゃいいんだ!?このままじゃ先生を斬っちまう!」
とは言われてもこんな短時間じゃあの女が使った術の組成すら解析できない。
その時だった。
ほんの一瞬。この場に光が満ち溢れて視界を真っ白に埋める。
そして…
「うわっと!?」
急に体の動きが止まったサウルがバランスを崩して派手に転ぶ。
「いてて…何だったんだ…?」
その様子を見ていたエルフ女はふぅ、と溜息を吐くとそのままバルコニーから飛び去って行く。
そして何事も無かったかのように落ち着き払ったマァリンが奥から出てくる。
「今のが魔王の力、オーマの波動と呼ばれるものです」
さっき話に聞いた魔王オル・オーマが得意とする幻術か。
それは魔王本人だけでなく、高位の重臣も同様に使うことが出来ると言う。
これに対抗できないうちは魔王討伐どころじゃないわね。
このオーマの波動、精霊神に守られているわたしには影響しないって言うんだけど…そんなことできるんなら皆一緒に守ってくれればいいのにね。
やはりこの辺りは夢のだけあっていい加減らしい。
取り敢えず辛くもこの場は凌げたけど…次にあの女に出くわしたらどうなるか…。
わたしは不安を抱えたままアーレンティールに到着した。
とは言っても城の中にいると全く飛んでいるような感覚は受けない。
素晴らしく安定性が良いらしく、全く揺れないし、加速や減速の衝撃も感じられない。
まるで夢でも見ているかのような気分だ…って実際夢だったわね。
わたし達は今エルサの出身地であるアーレンティールへと向けて航空中だ。
でもマァリンは飛んでる時も油断するなと言っている。
まさかこんな飛んでる所まで追いかけてこれるような化け物が居るとも思えないんだけど…。
飛んでる実感が欲しくてさっきバルコニーに出て外の様子を見てきたけど、速度はかなりのもので幾ら空を飛べるような魔物がいてもそうおいそれとは追い付けないと思う。
先回りして待ち構えていたとしてもこの速度でそしてこの規模の飛翔体にちょっかい出すのは難しいだろう。
迂闊な事をしたらこの城に轢き逃げされるのが関の山なはずだ。
普通に。物理的に考えたらそうなるはずなんだけど。
やはり夢の世界だけあってやる奴はやってくれるものらしい。
見張り番に立っていたサウルから「何か近付いてきてる!」と報せが入り、わたし達はバルコニーに出る。
すると…そこには一人の女が立っていた。
しかも耳を見るにエルフ族の女だ。
「円卓の騎士が蘇ったと聞いて見に来てみたが…」
女はわたしを見据える。
不自然な程赤く爛々とした目で。
「少し試させてもらおうか…」

わたしがその円卓の騎士として蘇ったことは既に敵にも知れているってことか。
そして…多分この女、敵軍の中でもかなり高位の立場にいるやつだ。
まずいわね…この前マァリンにも言われた通りわたし達にはまだ戦力が足りない。
備えも出来ていない。
…夢の中とは言え実にシビアな話ね。
ゲームとかなら三下みたいなのが偵察に来て返り討ち、なんて展開から始まるところなんだけど。
やはり危険の芽は早いうちに摘み取るべきと言うことは向こうも心得ているらしい。
そして女から気持ち悪い魔力の波が噴き出し、わたし達を包む。
「?」
が何か変化が起きたようには感じられない。
と思ったその時だった。
後ろからいきなりサウルが斬りつけてくる!
「うわ!?」
予想だにしない正に不意打ち。
それを紙一重で躱すも…ロロンちゃんやエルサも手にした武器でわたしに攻めかかってくる。
「なんだこれ!?何が起こってるんだ!?」
サウルが躊躇いの無い太刀筋でわたしに斬りかかる。
「…何と他愛のない。これ程容易に術中に堕ちてくれるか」
この事態を引き起こした当の本人が悲しそうに吐き捨てる。
「先生!どうすりゃいいんだ!?このままじゃ先生を斬っちまう!」
とは言われてもこんな短時間じゃあの女が使った術の組成すら解析できない。
その時だった。
ほんの一瞬。この場に光が満ち溢れて視界を真っ白に埋める。
そして…
「うわっと!?」
急に体の動きが止まったサウルがバランスを崩して派手に転ぶ。
「いてて…何だったんだ…?」
その様子を見ていたエルフ女はふぅ、と溜息を吐くとそのままバルコニーから飛び去って行く。
そして何事も無かったかのように落ち着き払ったマァリンが奥から出てくる。
「今のが魔王の力、オーマの波動と呼ばれるものです」
さっき話に聞いた魔王オル・オーマが得意とする幻術か。
それは魔王本人だけでなく、高位の重臣も同様に使うことが出来ると言う。
これに対抗できないうちは魔王討伐どころじゃないわね。
このオーマの波動、精霊神に守られているわたしには影響しないって言うんだけど…そんなことできるんなら皆一緒に守ってくれればいいのにね。
やはりこの辺りは夢のだけあっていい加減らしい。
取り敢えず辛くもこの場は凌げたけど…次にあの女に出くわしたらどうなるか…。
わたしは不安を抱えたままアーレンティールに到着した。