今日も疲れたわね…。
「ふわ…」
わたしは家に帰るなり大あくび。
疲労感が強すぎるせいかお腹も空かないので、そのままお風呂に入って早々に床に就く。

………
……


わたし達はマァリンが地図に印をしてくれた場所にリンゴを何個か置いてしばらく様子を見てみる。
本当に来るのかしら?

…ってまたあの夢か。
まったく疲れてるって言うのに何で夢の中でまでこんな探索をしないといけないのかしら?
それとも現実世界でも探索してるからこんな夢を見るのかしら?

「あ、ほんとに来たよ」
ロロンちゃんの言うようにリンゴを目敏く見付けたゴブリン達が寄ってきて…何の警戒もせずにリンゴを食べ始める。
お食事中済みませんねぇ、と言うことでリンゴに夢中になっているゴブリン達に奇襲をかける。

「グゲ!?」
「ギギィ!」
不意を打たれたゴブリン達はさしたる抵抗も出来ず、地に倒れ伏す。
…何だかちょっと可愛そうね。
特にこの世界のゴブリンは割と見た目が小動物っぽいからそう感じるのかもしれない。
シロディールのゴブリンだったらこんな感傷に浸る気も起きないんだけど…。

とにかく、その繰り返しで餌場に果物を置いては待ち伏せを繰り返す。
時々あの一つ目巨人が混ざって出てくるので油断ならない戦いではあったけど、指定された餌場をあらかた潰したので、ゴブリン達もその数をかなり減らした事だろう。

「ヨクモヤッテクレタナ…」
最後の餌場を潰したところでわたし達はゴブリンのリーダー、ムカブと再開する。
当然ムカブは怒り心頭。
その怒りの矛先を村に向けてしまう。
「ウスノロ…マダタクサンイル!ムラオソワセル!」
しまったわね…ゴブリンを掃討するはずがかえって敵対心を煽ってしまったようだ。

しかしウスノロ…つまり一つ目巨人のことなんだけど、アレってそんなに一杯いるものなのかしら?
マァリンが言うにはかなり頭の悪い種族らしく、簡単に餌付けできるらしいんだけど…あの巨体を餌付けするっていうんだから餌も相当量必要じゃないかしら?
それが一杯いるって言うんだから恐れ入る。
まぁゴブリンの懐事情(?)なんてどうでも良いか。
今はムカブを止めないとマズイ。
このままじゃ正に藪蛇だ。

ムカブはウスノロを呼ぶためか、谷の奥の方に走っていったので、わたし達もそれを追う。
ムカブはロロンちゃんを谷底に投げ入れようとしていた場所で一つ目巨人を引き連れて待ち構えていた。
「ヤレ!」
そしてムカブの号令で一つ目巨人達がわたし達に向けて迫りくる!
決戦ムカブ&ウスノロ 
沢山居る、って言ってたけど…実際には三匹か。
まぁ体格が体格だし戦力としてはかなりのモノなんだろうけど、わたしの予想していたよりはかなり少ないわね。

そしてこの一つ目巨人、ウスノロと言われるだけあって鈍臭い。
立ち位置を上手く調整すれば三匹同時に相手する必要は無い。
一匹ずつ集中してその数を減らしていく。

どぉん、と低く大きな音を立てて最後の一匹が倒れる。
ムカブの顔に焦燥が浮かぶ。
頼みのウスノロはもう居ない。
後は取り巻きのゴブリン諸共に倒してしまえば全ての禍根が絶たれるはずだ。
この勝負…もう結果は見えたわね。

結局ゴブリン達は総崩れ…ただムカブは何時の間にか逃げていたらしく、取り逃がしてしまった。
まったく、何時の間に逃げたのかしら?全然気付かなかったわ。
もうどこに行ったのかも分からないムカブを追うのは難しいだろう。
それにこれだけ戦力も削ったんだ。もうおいそれと村を襲ったりは出来ないだろう。
そう自分を言い聞かせるとマァリンの待つ城へと戻ることにした。