星条ビルでの一件から数日後。
わたし達にヘンな指令が下された。
「未知異形接触任務」
この日輪学園に潜む得体の知れない異形とコンタクトを取れと言うのだけど…。

わたし達は指定された空き教室に忍び込む。
「そのまま少し待機していて下さい。現れるはずです」
端末を通して海斗が待つように指示してくる。

そして待つこと数秒…教室の空間が歪んだかと思ったら大型の異形が唐突にその姿を現した。
ソウルリバース 
手に持っていた携帯端末が警報を発する…が、その警報は危機を報せるものではなく、通訳ソフトの起動を告げるものだった。

そして端末からはたどたどしく言葉が紡がれる。
「はじめ」
「まして」
「ここは」
「なにする」
「ばしょ?」

切れ切れに端末から発せられる言葉。これが目の前の大型異形からのものなのだろうか?
「ここは教室。勉強する所よ」
わたしがそう返すと
「それは」
「いいね」
と応答される。
ふむ、言葉はちゃんと通じてるのか。

すると唐突に異形は話し始める。
「りばすー」
「ほしい」
「とくんー」
「くれたら」
「なにか」
「やる」

理解するのに少しかかったが、恐らく目の前の異形は”りばすー”と言う名なのだろう。
そして”とくんー”と言う物が欲しいらしい。それでその”とくんー”と交換で何かくれると言いたいのだろう。
それだけ言うとりばすーは前触れも無く姿を消した。
…一体何だったのかしら?

わたしが不思議顔をしていると端末から海斗の声が聞こえる。
「お疲れ様でした。司令部に戻ってください。今の存在について補足説明します」
と言うことなので司令部に戻ってくる。
「お疲れ様でした。無事コンタクトできましたね」
そして海斗からあの異形について説明がなされる。

「あれは”ソウルリバース”と呼ばれる存在で、情報の再生を担っていると言われています」
「情報の、再生?」
わたしの理解できて無さそうな声に頷くと更に説明が続く。
どうもあの”りばすー”と名乗った異形こと”ソウルリバース”は欠損した情報を修復することが出来るらしい。
それはデータコードの様なモノだけでは無いらしい。
過去に異形を生み出しているところも目撃されていると言う。
ただ情報の再生を担うと言う以上は「生み出している」のではなく、過去に死んだ、と言うか破壊された異形を修復しているのだろう。

何だかとんでもないヤツみたいね。
でもエクスの上層部では危険は無いと判断されているらしい。結構厄介な奴だと思うんだけど。
まぁわたしの感想はともかく、そのソウルリバース殿は”とくんー”…これは「ソウルトークン」とエクスでは呼称されている謎の物質を欲しがっているそうだ。
そのソウルトークン自体には何の利用価値も無く、手元にあるようならあげてしまっても一向に差し支えない物だそうだ。
そのソウルトークンと引き換えにわたし達にとって価値ある物が貰えると言う。

「まぁ上手く付き合ってみて下さい」
海斗はそう説明を結んで今回の任務は終了となった。
ソウルトークン、ねぇ。見付けたら持って行ってみるか。一体何が貰えるのかは分からないけど。