あちこちのアビスに潜りブラッドコードに慣れるべく訓練を兼ねた探索を続けていたある日。
わたし達に一つの任務が与えられた。

超常現象に関する聞き込み。
ここ最近巷を騒がせている急老症に関して一般人がどの程度まで認識しているのかを調査すると言うのだけど…。
まぁ勿論目的はそれだけでは無い。
その過程で何か急老症に関して有用そうな情報が出てくれば今後のアビス探索の方針ともなってくる。

そんなわけでわたし達はこのエクス本部がある学園…そうそう、何だかんだでわたしもこの日輪学園(ひのわがくえん)に強制転入させられたのよねぇ。
まぁ学生としていてもおかしくない年頃だから別に良いんだけど…。

このエクスと言う組織の構成員はこの学園に所属することになってるらしい。それで平時は生徒や教員として過ごすことになる。
わたしは高等部に所属ってことになってるらしい。ちなみに春花と穂波は元々この学校に通っている。
本来わたしもシロディールに行かなかったらここに通っていたはずなんだけどね。

え?何でシロディールに行ったのか、って?
うん、まぁちょっとね。
個人的にと言うか家柄的に色々あるのよ、わたしにも。
多分長い話になるだろうから、何時かゆっくりと時間が取れる時にでも聞いてもらおうかな。

さて、と。それじゃ聞き込み、行きますか。
とは言ったもののもう夕方。
授業も終わってしまい殆どの学生は帰ってしまっている。
校舎内ではあまり効果的じゃないわね。
わたし達はそう思い学園を出ると学生の行きそうな所…通学路やちょっとした盛り場に出向くことにした。

まずは帰り道になる公園…。
うん、寄り道しておしゃべりに興じてる学生がちらほらと見える。
ここなら少しは話が聞けそうね。
そう思って公園に入ったんだけど…ヘンな女学生に目を付けられた。
「ねぇ君達…機関の人でしょ?」
機関?エクスの事を知ってる関係者かしら?
さっきも言ったようにエクス関係者は日輪学園に所属するようになっているから、この女学生もその一人だとしてもおかしくない。
「えぇ、そうよ」
この返答が迂闊だったことを知るのに二秒とかからなかった。
こんなところにも中二病が 
わたしの答えを聞いた女学生は「目黒 興子」と名乗り唐突に連合の軌道エレベータがどうのとか訳の分からない話が始まってしまった。
立て板に水とばかりに何だか漫画やアニメみたいな話をつらつらと続ける興子。

穂波は目が点になって思考停止してるし、春花は何時もの通りにこにこ笑顔で聞いている…正確には聞き流している。
しまった…この子、中二病患者だったか。しかもかなり重度の。
”機関の関係者”と答えてしまったわたし達を自分の仲間だと思ってある事無い事まぁ喋る喋る。
結局わけの分からない話を延々聞かされ日もとっぷりと暮れてしまった。
これじゃ今日の聞き込みはもう無理ね。