わたしたちは既に廃校となり朽ちた校舎に踏み込む。
ここで副隊長が行方不明になってしまったと言う。
副隊長ってことはかなりの実力者なんだと思うけど、そんな人が行方不明になるような何かがわたし達にどうにかできるのだろうか?
校舎に入ると春花は携帯端末を掲げ高らかに声を上げる。
「Code-Realize!(コードライズ!)」
すると春花の服装が一気に変化する。
その隣では穂波がやはり携帯端末をぽちぽち操作して…やはりこちらも服が鎧に変貌し、小振りの剣がその手に現れる。
「?」
わたしはそれを傍目に見ている。
「ほら、ひかりん。早くコードライズしないと」
穂波がわたしを急かす。
「二人ともやり方が違うみたいなんだけど?」
わたしの疑問に二人は顔を見合わせる。
「光里さんは初めてでしたわね」
そう言うと春花がコードライズのやり方を教えてくれる。
何でもこの携帯端末には通常のボタン操作の他に、音声認識機能もあるそうで、そのどちらかで操作すれば良いと言う。
音声認識なら一声「コードライズ」と言えば済むし、ボタン操作なら穂波の様にぽちぽちやらないといけない。
「ふぅん…そうなんだ」
わたしはそれですべてを理解した。
春花は見た目とてもそうは見えないんだけど、実はアレで中二病感染者だ。こう言う機会があれば見逃したりはしないだろう。
逆に穂波なんかは「面白そう!」とか言ってノリでやりそうな雰囲気はあるものの、実は中二病には罹っていない…と言うかまだ中二にすらなっていない。
だからあんな違いが出たのか。
ふむ。
ならばわたしの採るべき道は一つ!
「コードライズ!」
わたしの声に反応して携帯端末に収められたデータが展開される。
今まで着ていた服がどうなってるのかは知らないけど、その展開されたデータに基づきわたしの身体が軽装鎧に包まれる。
うん、やっぱりこうじゃないとね。
後で決めポーズとか決め台詞を考えよう。
その様子を見て春花は喜色満面、対する穂波は溜息を一つ。
「ねぇ、お姉ちゃん達は恥ずかしくないの?」
泣きそうな顔でわたし達に問いかける穂波。
「別に?」
「楽しいですわよ?」
その答えを聞いて絶望したのか…「信じらんない」と呟くのが精一杯だったようだ。
実は穂波って案外照れ屋なのよね。性格自体は明るくて天真爛漫なんだけど。
そんなわけで初めてのアビス探索。
このアビスと言うオブリビオン次元では武器や防具だけでなく、魔法ですらさっきのコードライズに依存することになる。
スペルコードに分類されるコードを起動することで魔法の様な現象を起こすんだそうな。
つまりマジカに対する素質なんて関係ないって事か。
とは言え、やはりそこは普段の本人のクセが出るもので、魔法が得意な春花は魔法使い系のブラッドコードを、考えるより先に体が動く穂波は前衛タイプのブラッドコードを好んで使ってるようだ。
かく言うわたしも弓を得意とするブラッドコードに、降霊術みたいな術を再現できるブラッドコードをクロスブラッドしている。
しかし何とも言い難い体験をしてるわね。
今見えているのは確かに学校の校舎みたいなんだけど、空間がねじれてるのか目に見えない扉があったり、見たことも無いような怪物と出くわしたり。
司令部と連絡を取りながら探索を進め、わたし達は校舎の二階に到達する。
それにしてもこの学校、一体何をしてたのかしら?
そこかしこにヘンな張り紙や資料が落ちている。
給食に精神安定剤を投与、とか血液検査が…とか何かの汚染がどうとか。
およそ学校らしくない。
黒板には小さな文字で延々と「助けて助けて助けて…」とか書いてあるし、酷い所になると掲示物の裏側に血糊みたいなので「ころサレる」とか書いてあったり。
お蔭で穂波が怖がって中々先に進めない。
わたしが来るまで二人はこんなことをしてたのかしら?
ふと疑問を感じたけど、どうやら流石に二人編成は無謀ってことで訓練としてのアビス探索はあっても実戦はこれが初陣になると言う。
そもそも本来は六人編成が普通らしいんだけど、今は隊員があちこちに出張っていて人手不足なんだそうな。
それでこんな無茶をさせられてるのか。
二階の探索も何とか進んで…とある教室。
床に書類が散らばっている。
見てみると臨海学校の通知みたいね…って思ったその時だった。
わたし達の後ろに大きな二足歩行の狼みたいなのが天井を突き破って降りてきた!
そしてそのままわたし達に担いでいた大きな剣を打ち付けようと振りかぶる。
「させない!」
完全な不意打ちに動けなかったわたし達の前を、一陣の風が吹き抜ける。
「大丈夫だった?」
吹き抜けた風は…行方不明になったと言われ、わたし達が探しに来た水無瀬しずな副隊長その人だった。
ここで副隊長が行方不明になってしまったと言う。
副隊長ってことはかなりの実力者なんだと思うけど、そんな人が行方不明になるような何かがわたし達にどうにかできるのだろうか?
校舎に入ると春花は携帯端末を掲げ高らかに声を上げる。
「Code-Realize!(コードライズ!)」
すると春花の服装が一気に変化する。
その隣では穂波がやはり携帯端末をぽちぽち操作して…やはりこちらも服が鎧に変貌し、小振りの剣がその手に現れる。
「?」
わたしはそれを傍目に見ている。
「ほら、ひかりん。早くコードライズしないと」
穂波がわたしを急かす。
「二人ともやり方が違うみたいなんだけど?」
わたしの疑問に二人は顔を見合わせる。
「光里さんは初めてでしたわね」
そう言うと春花がコードライズのやり方を教えてくれる。
何でもこの携帯端末には通常のボタン操作の他に、音声認識機能もあるそうで、そのどちらかで操作すれば良いと言う。
音声認識なら一声「コードライズ」と言えば済むし、ボタン操作なら穂波の様にぽちぽちやらないといけない。
「ふぅん…そうなんだ」
わたしはそれですべてを理解した。
春花は見た目とてもそうは見えないんだけど、実はアレで中二病感染者だ。こう言う機会があれば見逃したりはしないだろう。
逆に穂波なんかは「面白そう!」とか言ってノリでやりそうな雰囲気はあるものの、実は中二病には罹っていない…と言うかまだ中二にすらなっていない。
だからあんな違いが出たのか。
ふむ。
ならばわたしの採るべき道は一つ!
「コードライズ!」
わたしの声に反応して携帯端末に収められたデータが展開される。
今まで着ていた服がどうなってるのかは知らないけど、その展開されたデータに基づきわたしの身体が軽装鎧に包まれる。
うん、やっぱりこうじゃないとね。
後で決めポーズとか決め台詞を考えよう。
その様子を見て春花は喜色満面、対する穂波は溜息を一つ。
「ねぇ、お姉ちゃん達は恥ずかしくないの?」
泣きそうな顔でわたし達に問いかける穂波。
「別に?」
「楽しいですわよ?」
その答えを聞いて絶望したのか…「信じらんない」と呟くのが精一杯だったようだ。
実は穂波って案外照れ屋なのよね。性格自体は明るくて天真爛漫なんだけど。
そんなわけで初めてのアビス探索。
このアビスと言うオブリビオン次元では武器や防具だけでなく、魔法ですらさっきのコードライズに依存することになる。
スペルコードに分類されるコードを起動することで魔法の様な現象を起こすんだそうな。
つまりマジカに対する素質なんて関係ないって事か。
とは言え、やはりそこは普段の本人のクセが出るもので、魔法が得意な春花は魔法使い系のブラッドコードを、考えるより先に体が動く穂波は前衛タイプのブラッドコードを好んで使ってるようだ。
かく言うわたしも弓を得意とするブラッドコードに、降霊術みたいな術を再現できるブラッドコードをクロスブラッドしている。
しかし何とも言い難い体験をしてるわね。
今見えているのは確かに学校の校舎みたいなんだけど、空間がねじれてるのか目に見えない扉があったり、見たことも無いような怪物と出くわしたり。
司令部と連絡を取りながら探索を進め、わたし達は校舎の二階に到達する。
それにしてもこの学校、一体何をしてたのかしら?
そこかしこにヘンな張り紙や資料が落ちている。
給食に精神安定剤を投与、とか血液検査が…とか何かの汚染がどうとか。
およそ学校らしくない。
黒板には小さな文字で延々と「助けて助けて助けて…」とか書いてあるし、酷い所になると掲示物の裏側に血糊みたいなので「ころサレる」とか書いてあったり。
お蔭で穂波が怖がって中々先に進めない。
わたしが来るまで二人はこんなことをしてたのかしら?
ふと疑問を感じたけど、どうやら流石に二人編成は無謀ってことで訓練としてのアビス探索はあっても実戦はこれが初陣になると言う。
そもそも本来は六人編成が普通らしいんだけど、今は隊員があちこちに出張っていて人手不足なんだそうな。
それでこんな無茶をさせられてるのか。
二階の探索も何とか進んで…とある教室。
床に書類が散らばっている。
見てみると臨海学校の通知みたいね…って思ったその時だった。
わたし達の後ろに大きな二足歩行の狼みたいなのが天井を突き破って降りてきた!
そしてそのままわたし達に担いでいた大きな剣を打ち付けようと振りかぶる。
「させない!」
完全な不意打ちに動けなかったわたし達の前を、一陣の風が吹き抜ける。

「大丈夫だった?」
吹き抜けた風は…行方不明になったと言われ、わたし達が探しに来た水無瀬しずな副隊長その人だった。