ハーシーンから救世主の皮鎧をもらってほくほく顔でブラヴィルに入る。
「推薦状ですか?そうですねぇ…今はこれと言った課題も用意してなかったけど、ちょっと困り事があるんですよね。それを通して貴女の資質を見させてもらいましょうか」
魔術師ギルドのブラヴィル支部。支部長はアルゴニアン女性のクッド=エイ。
実はこのアルゴニアンと言う種族、何気に魔法が得意な種族なんだよね。
魔法なんて言うとわたし達エルフ族やブレトンのイメージがあるかもしれないけど、このアルゴニアンと言う種族は割と呪術的な系統の魔法に強い。
それはまぁ置いておくとして、今回課題代わりに言い渡されたのは…メイジスタッフの奪還。
何でもここの錬金術師を担当している女性がストーカー男に杖を盗まれてしまったそうで、それを取り返してきてほしいと言う。
そしてその交渉の際に使えと魅了術の巻物を寄越す。
なるほど…ブラヴィルのお家芸、幻惑術をどれだけ使いこなせるかをついでに見定めようってことか。
と言うわけで件のストーカー男、ダンマーのヴァロン。
「ん?アンタ誰だい?」
「アルダリンって知ってるでしょ?魔術師ギルドの錬金術師」
「あぁ、知ってるけど?別にそんなに親しいわけでもないよ?」
空々しくもしらばっくれてくれる。
ふむ。つまりこういう時にアレの出番と言うことか。
わたしは貰った魔法の巻物からマジカを引き出し、目の前のヴァロンに注ぎ込む。
「ちょっとした出来心だったんだ…彼女の気を引きたい、ただそれだけだったんだ」
魅了の術がかかると態度は一変。
立て板に水とばかりに答えてくれる。
成程、これは便利ねぇ。
商取引なんかにも悪用できそうだけど…それはわたしの商売人としての矜持が許さない。
まぁそれはともかく、ヴァロンが言うにアルダリンの気を引きたくて意地悪したまでは良かった。いや、良くは無いんだけど。
問題はその後だ。
あろうことか、その杖を帝都の知人に売ってしまったと言う。
…どうするのよ、これ。
わたしは一旦ギルド支部に戻るとクッド=エイにここまでの経過を伝える。
「それはまずいことになりましたね。杖の所在は分かってるんですよね…」
クッド=エイは更に巻物を取り出すと続ける。
「これでその売った相手とやらを説得してみて下さい」
翌朝早く、わたしはブラヴィルを発ち帝都に向かう。
ヴァロンが杖を売ってしまったと言うのは帝都でも裕福な家が並ぶタロス地区に家を構えているソリス。
「魔術師の杖?あぁ確かに買ったが?」
何とか譲ってもらえないか頼み込むがやはり首を縦に振ることは無い。
それは魅了の術をかけても変わらない。が、態度は若干軟化した。
「参りましたな。一応こちらも相応の額を払って買い取ったモノですからな」
ソリスはせめて杖の購入代金と同額で買い戻すなら応じると言う。
その額は200ゴールド。
…安っ!
普通魔法のかかった品と言うのは非常に高価なものになる。
ましてはメイジスタッフとなると魔術師ギルドの箔がついて更に価値が吊り上るモノだとばかり思っていたけど…。
まぁヴァロンはそこまで考えてなかったってことか。
何だかわたしが造り売ってる霊薬の最高級品とそんな変わらないような額だし、思い切って買い取ることにした。
他にも幾つか手はあるけど…まっとうな手段ではないので出来れば避けたいし。
帝都で一泊してブラヴィルにまた戻る。
「良くやってくれましたね。これであの娘に杖を返してあげられます。…あぁ、事の成り行きについては詳細は結構ですよ」
…なんだろう?ひょっとしてわたしが後ろ暗いことをして取り戻したみたいに思ってるのかしら?
まぁ魅了の術で丸め込んでるあたり、正当とは言えないかもしれないけど。
深く考えるのはやめとこう。推薦状が得られたんだからそれで良しとしますか。
わたしは最後の推薦状を、と思い支部を出ようと思ったんだけど、クッド=エイに呼び止められた。
一体何かしら?
「推薦状ですか?そうですねぇ…今はこれと言った課題も用意してなかったけど、ちょっと困り事があるんですよね。それを通して貴女の資質を見させてもらいましょうか」
魔術師ギルドのブラヴィル支部。支部長はアルゴニアン女性のクッド=エイ。
実はこのアルゴニアンと言う種族、何気に魔法が得意な種族なんだよね。
魔法なんて言うとわたし達エルフ族やブレトンのイメージがあるかもしれないけど、このアルゴニアンと言う種族は割と呪術的な系統の魔法に強い。
それはまぁ置いておくとして、今回課題代わりに言い渡されたのは…メイジスタッフの奪還。
何でもここの錬金術師を担当している女性がストーカー男に杖を盗まれてしまったそうで、それを取り返してきてほしいと言う。
そしてその交渉の際に使えと魅了術の巻物を寄越す。
なるほど…ブラヴィルのお家芸、幻惑術をどれだけ使いこなせるかをついでに見定めようってことか。
と言うわけで件のストーカー男、ダンマーのヴァロン。
「ん?アンタ誰だい?」
「アルダリンって知ってるでしょ?魔術師ギルドの錬金術師」
「あぁ、知ってるけど?別にそんなに親しいわけでもないよ?」
空々しくもしらばっくれてくれる。
ふむ。つまりこういう時にアレの出番と言うことか。
わたしは貰った魔法の巻物からマジカを引き出し、目の前のヴァロンに注ぎ込む。
「ちょっとした出来心だったんだ…彼女の気を引きたい、ただそれだけだったんだ」
魅了の術がかかると態度は一変。
立て板に水とばかりに答えてくれる。
成程、これは便利ねぇ。
商取引なんかにも悪用できそうだけど…それはわたしの商売人としての矜持が許さない。
まぁそれはともかく、ヴァロンが言うにアルダリンの気を引きたくて意地悪したまでは良かった。いや、良くは無いんだけど。
問題はその後だ。
あろうことか、その杖を帝都の知人に売ってしまったと言う。
…どうするのよ、これ。
わたしは一旦ギルド支部に戻るとクッド=エイにここまでの経過を伝える。
「それはまずいことになりましたね。杖の所在は分かってるんですよね…」
クッド=エイは更に巻物を取り出すと続ける。
「これでその売った相手とやらを説得してみて下さい」
翌朝早く、わたしはブラヴィルを発ち帝都に向かう。
ヴァロンが杖を売ってしまったと言うのは帝都でも裕福な家が並ぶタロス地区に家を構えているソリス。
「魔術師の杖?あぁ確かに買ったが?」
何とか譲ってもらえないか頼み込むがやはり首を縦に振ることは無い。
それは魅了の術をかけても変わらない。が、態度は若干軟化した。
「参りましたな。一応こちらも相応の額を払って買い取ったモノですからな」

ソリスはせめて杖の購入代金と同額で買い戻すなら応じると言う。
その額は200ゴールド。
…安っ!
普通魔法のかかった品と言うのは非常に高価なものになる。
ましてはメイジスタッフとなると魔術師ギルドの箔がついて更に価値が吊り上るモノだとばかり思っていたけど…。
まぁヴァロンはそこまで考えてなかったってことか。
何だかわたしが造り売ってる霊薬の最高級品とそんな変わらないような額だし、思い切って買い取ることにした。
他にも幾つか手はあるけど…まっとうな手段ではないので出来れば避けたいし。
帝都で一泊してブラヴィルにまた戻る。
「良くやってくれましたね。これであの娘に杖を返してあげられます。…あぁ、事の成り行きについては詳細は結構ですよ」
…なんだろう?ひょっとしてわたしが後ろ暗いことをして取り戻したみたいに思ってるのかしら?
まぁ魅了の術で丸め込んでるあたり、正当とは言えないかもしれないけど。
深く考えるのはやめとこう。推薦状が得られたんだからそれで良しとしますか。
わたしは最後の推薦状を、と思い支部を出ようと思ったんだけど、クッド=エイに呼び止められた。
一体何かしら?