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今日も前回に引き続き、Pearl Jamに関する記事です。
ファーストアルバム「ten」に収録されている「Alive」という曲があり、ボーカリストEddie Vedderがこの曲に関して感動的なコメントをしている映像を見つけましたので、2回に分けて書きたいと思います。

1回目の今日はこの曲の歌詞と、日本語に訳したものをお届けします。

 

歌の内容は、Eddie自身の複雑な実体験が基になっています。

Eddieは1歳の時に両親が離婚しており、その後間もなく母親が再婚した相手を本当のお父さんだと思い育ちました。10代後半で母親が再度離婚した時に、本当の父親は別にいて、既に亡くなっていたと知らされたそうです。幼い頃に実の父親とは何度か会ったことはあるものの、家族の友達として紹介され、本当のことは誰も教えてくれなかったそうです。

この事実はEddieの心に深い闇を落とし、父親と思っていた人との関係が元々うまくいっていなかったこともあり、消えない怨念を何度も歌に綴っています。

 

この「Alive」という曲は、そんな彼の体験を赤裸々に綴った曲の一つです。

まずは、Pearl JamがBBCの番組でこの曲を演奏した時の映像からご覧下さい。



次に歌詞と日本語訳をどうぞ。

 

Alive

 

Son, she said,

Have I got a little story for you

本来ならI have gotを、Have I gotと疑問形にすることで強調の意味になる

What you thought was your daddy was nothing but a...

While you were sitting home alone at age thirteen

Your real daddy was dying

Sorry you didn't see him, but I'm glad we talked...

母親が言った

あなたに話したいことがある

あなたがお父さんと思っていた人は、本当は違ったの

あなたが一人で留守番をしていた13歳の時

あなたの本当のお父さんは亡くなってしまった

会わせられなくて申し訳なく思ってる

でも話せてよかったわ

 

Oh, I'm still alive

それに、私はまだ生きているのよ(※訳注1)

 

She walks slowly across a young man's room

She said I'm ready for you

I can't remember anything to this very day

'Cept the look, the look ’cept = except~を除いて この場合のlookは様子、見えているもの

You know where, now I can't see, I just stare

seeは単純に見る・見える、stareはじっと見つめる

※解説彼女はゆっくりと 若い男の部屋に歩いていく

私はあなたのものよと言いながら

俺はよく思い出せない 今日のこの日まで

ぼんやりとした様子だけ

どこだったか分かってるだろ

今の俺には何も見えない ただ見つめようとしているだけ

 

I'm still alive

俺はまだ生きている

 

Is something wrong, she said

Well of course there is

You're still alive, she said

And do I deserve to be deserve to~する価値がある この場合のbeはlive、生きていること・存在していること

Is that the question

And if so, if so, who answers, who answers?

彼女は言った、何か問題があるかしら 

あるに決まってるだろう

彼女は言った、あなたはまだ生きているでしょう 

私は生きる価値があるかしら? (※訳注2)

それは質問かよ?

もしそうだとしたら 誰が答えるんだ 

誰がそれに答えるんだよ

 

Oh, I'm still alive

俺はまだ生きている

 

※訳注1

母親の言葉と自分の言葉が入り混じった歌詞で、日本語のように「私」「俺」もしくは女性口調・男性口調がないので解釈が難しいですが、既存の日本語訳では、I'm still alive という下りは全て「俺はまだ生きている」と訳されていますが、1番目の部分はお母さんの話しの続きなので、お母さんが主語であり、「あなたのお父さんは亡くなってしまったけど、母親の私は生きているでしょう」

と言って、息子を慰めたかったのかもしれないと私は解釈しています。

2番以降では

「(本当の父親は死んでしまったのに)、俺はまだ生きている」

と、“俺”を主語にしています。

 

※訳注2

既存の日本語訳では、Do I deserve to beの部分を“俺”を主語にして、

「俺は生きる価値があるのか? それは質問か? もしそうだとしたら誰が答えてくれるんだ?」

となっていますが、私はここもお母さんの言葉として、

「(こんなにひどい母親で)私には生きる価値があるのかしら?」

と言ったのだと思っています。

それに対してEddieが、

「今のは(俺に対する)質問かよ?(それともただの一人言か?) もし質問だったとしたら誰が答えるんだよ(本当の父親がいたことを隠しておいて、お前は母親として生きる価値なんかないって、息子の俺に答えろっていうのかよ)」

と感じたのだと私は解釈しています。

歌詞に関する解釈は様々で、リスナーに本当の意味を理解して欲しい作詞家もいれば、リスナーに解釈を委ねるタイプの作詞家もいて、Eddieは後者であると自認しているので、本当のところは分かりません。

いずれにしても、この部分がこの曲の中で一番強烈な部分であると私は感じています。


※解説

私は最初この部分を読んだ時、Eddieが赤ん坊の頃に母親が再婚したので、母と新しい恋人(後にEddieの継父)の情事を見たことをぼんやりと覚えている、と説明しているのだと思っていましたが、Eddie自身がインタビューで、この部分だけ作り話で本当の父親とEddieがそっくりだったことからEddieが母親に近親相姦されるという設定になっている、と語っていたそうです。


衝撃的な内容ですが、Eddieはどんな想いでこの曲を書き、どんな想いでこの曲を何度も何度も歌ってきたのでしょうか。壮絶な人生をさらけ出し、歌で昇華することができる、本当に素晴らしいアーティストです。

 

次回は、この曲を書いて何年も経ってから、オーディエンスに打ち明けたEddieの感動的なコメントを紹介します。お楽しみに!

 

Maki Mannami