こんにちは!
英語発音矯正とボイストレーニングのオンライン・ボーカルスクー
「HigherVoice」を主宰しているMaki Mannamiです。
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今日のレッスン日記は、東京都にお住まいのYさん。
ロサンゼルスでプロの女優として活躍しており、現地の映画やテレビにも出演されていた実力派です。帰国後ミュージカルなどにも挑戦したいとのことで私のレッスンを受講されることになりました。
Yさんはロサンゼルスでボイストレーニングの経験もあり、英語の発音もとてもきれいなので、彼女とのレッスンではボイストレーニングや発音矯正だけでなく、上級者向けの演技指導を主に行っています。また、帰国後も英語力を落としたくないとのことで、レッスンは英語で行っています。
現在の彼女の課題曲は、ミュージカルWickedからのヒット曲、「Defying Gravity」。
タイトルには”重力に抵抗して”という意味があり、このミュージカルの主人公である魔女がほうきに乗って旅立つ時に歌われる曲なのですが、誰もが共感できる力強い歌詞とポップなメロディーがすばらしい曲です。
この曲には、つらい過去を捨て、重力に逆らって飛び立つときが来た、未来のビジョンはまだ曇っているけど、空高く羽ばたくことができる、というメッセージがこめられています。
曲の始まりは、自分の中で何かが変わったような興奮に襲われ、きっと飛び立てると予感し、曲が経過するにしたがってそれが大きな確信となり、クライマックスを迎える頃には空を舞い上がり、もう誰も私を地上に引き降ろすことはできない、とゆるぎない自信と共に歌い上げる展開になっています。
様々な感情表現が必要とされ、曲の展開も激しいため難曲ではありますが、この曲を終える頃にはかなりのレベルアップが期待できるでしょう。
さて、Yさんに歌ってもらうと、声自体はすばらしいのですが、何か伝わってくるものがありません。表現が一本調子で、まだまだ感情移入ができていないようです。
感情表現を豊かにするためには、歌詞の意味を理解することはもちろんですが、自分自身の経験を歌詞の中に投影することが必要です。自分の経験を元に、自分の言葉として歌わなければ、他人の心に響く歌を歌うことはできないでしょう。役者さんが演技をする時と同じですね。
そして、この歌を誰に向けて歌うのか、自分の身近な人物を一人選び出します。万人に向けてのメッセージとしても構わないでしょうが、特定の人を選んだほうがよりメッセージ性は強くなるでしょう。
Yさんに、この歌のように自分が何かを乗り越え、自信に満ち溢れ恍惚とするような気持ちを味わったことがないか、そしてそんな経験をした時誰にそれを伝えたいと思ったのかを聞き出します。
Yさんはフォーカスする経験と人物を思い描けたようで、その後に歌ってもらうとがらりと表情も変わったのですが、まだその気持ちが声に現れていないようです。
そこで、今度はテクニックの部分に移ります。
興奮する感情を表現するときの息使いや、過去を振り返る時の迷いが混じった声、光が見えてきた時の伸びやかな声や、自信に満ち溢れている時に明るく張り上げる声など、様々な声色を使い分けて歌ってもらうように指導します。
1時間という短いレッスンですが、さすがはプロの女優さん、最初に歌ってもらった時と比べ物にならないほどの変化が感じられました。
とはいっても、まだまだ荒削りな部分があるので、歌詞をもう一度きちんと読み直し、一行一行に共感できるよう、自分の経験から感情を洗い出すことを宿題として、レッスンを終了しました。
日本の音楽のレッスンでは残念ながらあまり感情表現が指導されず、技術的な面ばかりが重視されるのですが、アメリカなどでは感情表現にレッスンの主な時間を設けます。
私がニューヨークに留学していた時は、日本とアメリカの指導の仕方の差に愕然としたものです。
民族性の違いもあるでしょうが、音楽はやはり感情やメッセージがあって成り立つもの。情感豊かなシンガーが育っていくように指導を心がけたいと思っています。
次回の更新もお楽しみに!
Maki Mannami
