第165回 探偵は「知らないことを知ったふりしない人」ほど信頼できる理由を知っている
~本当に信頼できる人は「分かりません」で終わらず、必要なら調べ、確認し、正確な答えへ近づこうとする~

【はじめに】
前回は、
「探偵は『知っていることより、今も学び続けていることを大切にできる人』ほど信頼できる理由を知っている」
というテーマについてお話ししました。
どれだけ経験があっても、
社会は変わります。
人も変わります。
技術も変わります。
だからこそ、
「もう十分知っている。」
と思った瞬間から、
知識と現実のズレが生まれることがあります。
経験を持ちながら、
今も学ぶ。
分からないことがあれば、
確認する。
昔の知識が違っていると分かったら、
更新する。
そんな人こそ、
年月がたつほど信頼されるという内容でした。
そして今回のテーマは、
その学び続ける姿勢の中でも、
非常に重要な一つです。
「知らないことを知ったふりしない人」
です。
人は、
「知りません。」
と言うことを、
怖いと感じることがあります。
仕事を長くしている。
責任ある立場にいる。
専門家として見られている。
後輩から質問された。
お客様から聞かれた。
そんな時、
分からないことでも、
何か答えなければいけないような気持ちになることがあります。
しかし、
重要な判断ほど、
曖昧な知識で答えることの方が危険です。
探偵として23年間、
多くの相談や判断に向き合ってきたからこそ、
私はこう感じています。
本当に信頼できる人とは、
何でも知っているように見せる人ではありません。
「そこは分かりません。」
「確認が必要です。」
「今の情報だけでは断定できません。」
そう言える人です。
【「分からない」と言えることは弱さではない】
分からない。
知らない。
確認が必要。
この言葉を、
自信がない人の言葉だと思う人もいます。
しかし、
私は逆だと思っています。
自分がどこまで分かっていて、
どこから先は分からないのか。
その境界を理解している人ほど、
本当の意味で自分の知識を把握しています。
【1.分からないことをその場で作らない】
質問された。
答えを知らない。
その時、
もっとも危険なのは、
それらしい答えを作ることです。
曖昧な記憶。
推測。
昔聞いた話。
それを、
確かな事実のように話す。
聞いた側は、
その言葉を信じて行動するかもしれません。
だからこそ、
分からない時は、
分からないと言うことが重要です。
【2.「分からない」で終わらず、確認できる】
ただ、
「知りません。」
だけで終わることが、
いつも正しいわけでもありません。
必要なことであれば、
調べる。
確認する。
専門家へ聞く。
資料を見る。
「今すぐは分かりませんが、確認します。」
この一言には、
大きな違いがあります。
知らないことを認めながら、
正確な情報へ近づこうとする。
それが信頼につながります。
【3.事実と自分の推測を分けられる】
「確認できているのはここまでです。」
「ここから先は私の推測です。」
この線引きができる人は、
非常に信頼できます。
人は、
話をしているうちに、
事実と自分の考えを混ぜてしまうことがあります。
しかし、
重要な判断では、
何が事実なのか。
何が予想なのか。
分ける必要があります。
【4.自分の専門外を認められる】
経験がある人ほど、
周囲からさまざまな質問を受けます。
しかし、
一人の人間が、
すべての分野を完全に理解することはできません。
法律。
税務。
医療。
IT。
不動産。
それぞれに専門家がいます。
本当に信頼できる人は、
「そこは私の専門ではありません。」
と言えます。
そして、
必要なら適切な専門家へつなぐ。
これは、
責任から逃げることではありません。
むしろ、
責任ある対応です。
【5.間違いに気づいた時に訂正できる】
以前、
間違った説明をしてしまった。
後で気づいた。
そこで、
黙っているのか。
それとも、
「先ほどの説明に誤りがありました。」
と訂正できるのか。
信頼は、
間違えなかったことだけで作られるものではありません。
間違った後、
どう対応したのか。
そこにも、
人柄が表れます。
【6.相手に合わせて都合のいい答えを作らない】
相談者が、
「絶対こうですよね?」
と聞く。
その答えを、
相手が求めている。
だから、
「そうですね。」
と言ってしまう。
これは、
一見すると親切です。
しかし、
確かな根拠がないのなら、
本当の親切ではありません。
相手が聞きたい答えではなく、
今分かっている範囲を伝える。
これが、
専門家には必要です。
【7.分からない状態に耐えられる】
人は、
答えが出ていない状態を嫌います。
だから、
早く白か黒かを決めたい。
しかし、
情報が足りない時には、
「まだ判断できない。」
という答えが最も正確な場合があります。
無理に答えを作らず、
必要な情報がそろうまで待つ。
それも、
判断力です。
【「何でも知っている人」に見せる必要はない】
仕事をしていると、
自分が頼られることがあります。
「この人なら何でも分かる。」
そう思われたい気持ちが出ることもあります。
しかし、
何でも知っている人間など、
ほとんどいません。
本当に信頼できる人は、
知っていることを正確に話し、
知らないことは確認します。
その方が、
長く見れば信頼されます。
【専門家ほど断定に慎重になる】
経験が浅い時は、
一つの情報を見て、
「絶対こうだ。」
と思ってしまうことがあります。
しかし、
経験が増えると、
例外を知ります。
似た状況でも、
結果が違う。
同じ行動でも、
理由が違う。
だから、
本当に経験を積んだ人ほど、
必要以上に断定しなくなることがあります。
【「可能性が高い」と「確定している」は違う】
例えば、
浮気を疑わせる行動がある。
帰宅が遅い。
スマートフォンを隠す。
休日の外出が増えた。
浮気の可能性は考えられます。
しかし、
「浮気している。」
と確定したわけではありません。
可能性。
推測。
事実。
この三つを分ける。
それが、
重要です。
【探偵の仕事では「分からない」を正確に扱う】
探偵への相談では、
よく、
「これは浮気していると思いますか?」
と聞かれます。
相談内容から、
可能性についてお話しすることはできます。
しかし、
調査していない段階で、
「間違いなく浮気しています。」
と断定することはできません。
探偵の仕事は、
依頼者の不安を、
断定へ変えることではありません。
分からないことを、
必要な調査によって確認していくことです。
【調査しても分からないことはある】
調査をすれば、
すべてが分かる。
そうとも限りません。
対象者が行動しない。
調査時間外に動いた。
確認できない場所がある。
条件が合わない。
さまざまな理由によって、
確認できないことがあります。
その場合には、
「確認できなかった。」
と報告する。
「何もなかった。」
と勝手に意味を変えない。
これが重要です。
【「確認できなかった」と「存在しない」は違う】
例えば、
ある日に調査をした。
その日に、
浮気相手との接触は確認できなかった。
それは、
「その調査中には確認されなかった。」
という事実です。
「浮気相手は存在しない。」
ということまで証明したわけではありません。
反対に、
確認できなかったからといって、
「必ず隠れて会っている。」
とも言えません。
分からない部分は、
分からないまま正確に残すことです。
【依頼者へ良いことだけを言わない】
探偵社へ相談する方は、
大きな不安を抱えていることがあります。
そんな時、
安心させるために、
「絶対大丈夫です。」
と言いたくなる場合もあるでしょう。
しかし、
分からないことを、
大丈夫と言い切る。
それは、
本当の支えではありません。
今分かっていること。
まだ分からないこと。
確認する方法。
そこを整理する。
私は、
それが大切だと思っています。
【仕事では「分からないと言えない人」が事故を大きくすることがある】
仕事で、
分からない。
しかし、
聞くのが恥ずかしい。
そのまま進める。
間違える。
さらに、
間違いを隠す。
こうして、
小さな疑問が、
大きな問題につながることがあります。
「分からないので確認していいですか?」
と早く言えれば、
防げることがあります。
【新人だけでなくベテランにも確認は必要】
新人なら、
「分からない。」
と言いやすい。
しかし、
経験が長いと、
逆に言いにくくなることがあります。
「こんなことも知らないのかと思われる。」
そう感じるからです。
しかし、
時代が変われば、
ベテランでも知らないことがあります。
知らないことより、
知ったふりをすることの方が危険です。
【良い上司は「分からない」と言える部下を育てる】
部下が、
「分かりません。」
と言った。
そこで、
「そんなことも分からないのか。」
と責める。
すると、
次から部下は聞かなくなります。
分からなくても、
分かったふりをするようになる。
それは、
組織にとって危険です。
「分からないなら聞いていい。」
という環境を作る。
その方が、
ミスを減らせます。
【リーダー自身が「分からない」を見せる】
上司が、
「そこは私も分からない。調べよう。」
と言う。
すると、
部下も質問しやすくなります。
リーダーが完璧な人を演じるより、
正確さを大切にする姿勢を見せる。
それが、
組織の文化になります。
【夫婦関係では「分からない気持ち」を勝手に決めつけない】
相手が黙っている。
「怒っている。」
と思う。
しかし、
本当にそうでしょうか。
疲れている。
考えている。
傷ついている。
話したくない。
さまざまな可能性があります。
相手の気持ちを、
自分の想像だけで決めない。
「どうしたの?」
と聞く。
それも、
人を知る姿勢です。
【「あなたは絶対こう思っている」は危険】
「あなたは私のことなんてどうでもいいんでしょう。」
「どうせ離婚したいんでしょう。」
相手が実際に言っていないことまで、
こちらが決めてしまう。
これでは、
話し合いが難しくなります。
自分が感じていることと、
相手が実際に考えていることは、
分ける必要があります。
【浮気された側にも「分からない時期」がある】
浮気が発覚した。
なぜ。
いつから。
どこまで。
今も続いているのか。
分からないことが多くあります。
早く全部知りたい。
当然です。
しかし、
その段階で、
分からない部分を想像だけで埋めると、
さらに苦しくなることがあります。
今確認できていること。
まだ不明なこと。
一度整理することが大切です。
【浮気した側も「自分でも分からない」で終わらせない】
「なぜ浮気したの?」
「自分でも分からない。」
本当に、
すぐ答えが出ないこともあります。
しかし、
関係修復を望むのであれば、
少しずつ、
自分の行動を振り返ることは必要です。
何がきっかけだったのか。
なぜ隠したのか。
どんな状況だったのか。
分からないから考えない。
ではなく、
分からないから考える。
この姿勢が重要です。
【婚前では「分からないことを聞ける関係」かを見る】
結婚前。
相手について、
分からないことがある。
お金。
仕事。
家族。
将来。
生活。
質問した時、
きちんと話し合えるか。
「そんなこと聞くな。」
と怒るのか。
重要な疑問ほど、
聞ける関係なのかを見ることは大切です。
【本人も知らないことはある】
家族の詳細。
過去の出来事。
将来の予定。
相手自身も、
正確に知らないことがあります。
その時、
無理に答えを求めるのではなく、
「確認してみよう。」
と二人で考えられる。
それも、
信頼関係です。
【企業では「分かりません」が早いほど損失を防げることがある】
会社で問題が起きた。
原因が分からない。
そこで、
無理に原因を決めつける。
すると、
違う対策をしてしまう場合があります。
まず、
「現時点では原因不明。」
と認める。
調べる。
事実が分かったら対応する。
この順番が重要です。
【経営判断でも未来は完全には分からない】
この事業は成功する。
この投資は必ず利益が出る。
未来は、
誰にも完全には分かりません。
だから、
経営では、
確実性ではなく、
可能性とリスクを考えます。
分からない未来を、
分かるように話す人には注意が必要です。
【「必ず」「絶対」を簡単に使う人ほど根拠を見る】
絶対成功します。
必ず儲かります。
100%大丈夫です。
強い言葉は、
安心感があります。
しかし、
現実には、
不確実なことがあります。
大切なのは、
言葉の強さではありません。
その根拠です。
【ネット情報でも「分からない」を残す】
インターネットには、
大量の情報があります。
検索すれば、
すぐ答えが出ます。
しかし、
表示された情報が、
必ず正しいとは限りません。
誰が書いたのか。
いつの情報なのか。
根拠があるのか。
現在も有効なのか。
確認する必要があります。
【AI時代ほど「確認する力」が重要になる】
今は、
AIを含め、
短時間で大量の情報を得られる時代です。
便利です。
しかし、
情報が簡単に手に入るほど、
「それが正しいのか。」
を確認する力も重要になります。
AIが言った。
ネットに書いてあった。
それだけで、
人生の重要なことを決めない。
最終的には、
事実。
専門家。
一次情報。
必要な確認をすることが大切です。
【知らないことを知ったふりしない人を見極める7つのポイント】
長く信頼できる相手なのかを見る時は、次の7つを意識してみてください。
1.分からない時に無理な答えを作らないか
知らないことを、それらしい説明で埋めない。
2.必要なら「確認します」と言えるか
分からないことを放置せず、正しい情報を調べようとする。
3.事実と推測を分けて話せるか
何が確認済みで、何が自分の予想なのかを明確にできる。
4.自分の専門外を認められるか
何でも自分で答えようとせず、必要なら専門家へつなげられる。
5.間違いに気づいた時に訂正できるか
過去の自分を守るより、正確さを優先できる。
6.相手が望む答えへ話を合わせないか
聞きたい答えより、現在分かっている事実を伝えられる。
7.「まだ判断できない」という状態を受け入れられるか
情報が不足している時に、無理に白黒を決めない。
【探偵歴23年で感じる「知らないと言える強さ」】
探偵として23年間。
さまざまな相談を受けてきました。
しかし、
23年間経験していても、
その場ですべて答えられるわけではありません。
案件ごとに、
事情が違います。
時代も変わります。
新しい制度。
新しい技術。
知らないことも出てきます。
だから、
分からない時には確認する。
必要なら、
他の専門家の力を借りる。
私は、
それを恥ずかしいことだとは思っていません。
むしろ、
知ったふりをして、
依頼者の大切な判断を誤らせる方が、
専門家として大きな問題だと思っています。
【最後に】
知らない。
分からない。
確認が必要。
人は、
この言葉を避けたくなることがあります。
自分が小さく見える。
能力がないと思われる。
経験不足に見える。
そんな不安があるからです。
しかし、
探偵として23年間、
多くの人の判断や説明を見てきたからこそ、
私はこう考えています。
本当に信頼できる人とは、
何でも即答する人ではありません。
知っていることは、
正確に話す。
知らないことは、
知らないと言う。
分からないことは、
確認する。
推測なら、
推測だと伝える。
そして、
間違っていたら、
訂正する。
この当たり前のことを、
立場が上がっても、
経験が増えても、
続けられる人です。
「分からない。」
と言うことは、
思考の終わりではありません。
本当は、
そこから始まります。
分からない。
だから、
調べる。
知らない。
だから、
学ぶ。
判断できない。
だから、
もう少し事実を見る。
そうして、
少しずつ、
正確な答えへ近づいていく。
知ったふりをする人より、
分からないことを正確に扱える人。
私は、
そんな人の方が、
仕事でも、
人間関係でも、
人生の重要な場面でも、
長く信頼されるのだと思います。
【次回予告】
第166回
「探偵は『すぐ答えを出すことより、正しい確認先を知っている人』ほど信頼できる理由を知っている」
分からないことがある。
その時、
ただ検索するだけでいいとは限りません。
法律なら、
誰に確認するのか。
専門的な問題なら、
どこを見るのか。
事実確認なら、
何を根拠にするのか。
本当に判断力のある人は、
すべてを自分で知っているのではなく、
「どこへ確認すれば正確な情報へ近づけるか」
を知っています。
次回は、
即答する能力より、
正しい情報源・専門家・確認方法を選べる人が、
なぜ本当に信頼されるのかについて、
探偵歴23年の視点からお話しします。
【Infinity顧問】
探偵歴23年。
現在、ハイクラス総合探偵社Infinity顧問。
23年間の探偵経験をもとに、人間心理や判断力、人を見る力、人生に役立つ考え方を発信しています。
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【ご相談について】
ハイクラス総合探偵社Infinityでは、浮気・不倫調査、人探し、婚前調査、企業調査など、さまざまな調査に対応しています。
「浮気を疑っているが、今の情報だけで決めつけていいのか分からない」
「ネット上の情報と本人の説明が違い、何を信じればいいのか迷っている」
「婚前・夫婦問題・企業調査などについて、確認済みの事実と不明な点を整理したい」
そのような段階でも構いません。
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