治療の選択は、基本的には、帯津先生がいう戦略、すなわちデータを多く集め、それを眺めて、自分の判断・直感で決めるしかないと思います。
後悔しないように、自分で決めることが一番大事です。
自分以外のだれも、命や人生の責任をとれないのですから。
 
データでいうと、進行癌(早期以外の癌)の治療は、確実に治る方法はありません。
手術・放射線・抗癌剤(分子標的薬を含む)が3大治療ですが、どれも副作用・後遺症は確実にありますが、治る保障はありません。
ただ、治る可能性は確実に高くなります。
4つめの治療として、免疫療法がありますが、これも画期的な成果はあがっていないのが実情です。
 何かをして治ったという話はいろいろあり、勇気づけられるという点で役に立ちますが、その人と同じことをしても治るとはいえないことは念頭に置く必要があります。 
末期で腹水がたまった状態の癌を、水道水をたくさん飲んで直したという人も実際にいます。でも、ほとんどの人はそれで治りません。たまたま治った人がいるではなく、どのくらい多くの人が治ったかのデータを参考にしたほうが、自分が治る可能性は高くなります。
 
自家がんワクチンは比較的きちんとデータを公開しており、それが私が選択した理由です。ただ、効果(改善率)は4割程度で、これには1年以上無再発の場合も含まれます。胃癌の場合、ts-1を飲むと1年以上無再発の人は9割なので、胃癌に関していうと、おそらくts-1を飲むほうがずっと効果は高いでしょう。ts-1は特に未分化癌の場合、5割の人に効きます(がんサポートセンターに情報があります)。
自家がんワクチンは、放射線や低用量抗癌剤との併用でも、よい結果のデータがあります。
 
私は、抗癌剤に否定的な情報を集めすぎて、必要な量を飲まなかったことをとても後悔しています。抗癌剤があまり効かないというのは、再発・転移したときで、胃癌のts-1による再発予防では、適量を飲めば治る可能性が20%あがります。医者がいう量を100%飲む必要はありません。70%に減らして飲んでも、100%と同じく20%高い生存率を手に入れられます。
 
転移していても、なかには抗癌剤で治る人もいます。私は、抗癌剤で遠隔転移した癌を治した(5年以上再発せず生きている)人を直接3人知っています。 
ただ、抗癌剤の一番の問題は、長期にわたって癌を抑えることはできないことです。長く使っていると、癌に耐性が生まれ、その抗癌剤が効かない癌に変異します。したがって、一時的に効いてよくなっても、長く使っているうちに効かなくなることが多いです。なので、私は長期(2年以上)に抗癌剤を使うことには疑問をもっています。
 
極論すれば、何もしなくても治った人もいるし、何をやっても治らなかった人もいるので、最後は運、と思うしかありません。抗癌剤も、食事療法も、免疫療法もしないで、胃癌期(末期)が治った人もいます。
 
ただ、勘違いしている人が多いのですが、
人生の目的は、より長く生きることではありません。
 
生きたいという欲求で必死になるのは仕方がないのですが、
癌になったら、本当は、いかに治るかということ以上に、
いかによい人生を生きるかが、重要なのだと思います。
人はみな、いずれ死ぬのですから。