著者:石持浅海
やはり唸るのは、設定の巧さだろう。石持浅海という作家の好きな所は、まさにそこにある。
子供失踪事件の被害者家族が、容疑者とされる男の屋敷に乗り込む。そこで出会った美少女により惨劇が…
この設定を聞いただけで、単なる事件解決物語ではない事がプンプンする。
殺人でも誘拐でもなく失踪というのが大きなポイントで、まだ自分達の子供が生きているかもしれない…という期待感と、もしかすると殺されているかもしれない絶望感が、嘲笑う男に対して狂気に変わる。
その狂気の中で展開する論理的推理。被害者が加害者に逆転しながら、自分の立場を守る為の保守的な推理と、隙あらば他者を犯人にする攻撃的な推理が入り乱れる。
人面屋敷という屋敷が舞台ながら、屋敷の構造そのものが事件解決の糸口に繋がる要素は少ないながら、もしヴィジュアル化した時のインパクトは強いと思う。
物語の舞台設定だけは面白い山田クンのような小説に足りないのは論理的な技量なんだと思う。
もし屋敷シリーズがあるなら是非読んでみたい。どんな設定で人々が屋敷に集まるのか…楽しみである。
★★★☆☆(5点満点中)