メイキングのDVDの中で語られているエピソードの中でギター弾く人なら、きっと面白いなあと思ってくれる部分がある。あの名曲「BORN TO RUN」のあのギターリフが、もしかしたらマイナー調になってたかも??ってことが語られている部分。


いろんな方が語っているが、アルバム『BORN TO RUN』は完成までに紆余曲折、困難を極めたこの作品。試行錯誤しながら行なっていたレコーディングは、「BORN TO RUN」一曲だけ作るだけでも1年もかかってしまう。ギター一音づつのフレーズを何回も重ね合わせたとか、フィル・スペクターを意識したブルース版ウォール・オブ・サウンドを試みたということだろう。


メイキングの中でブルースが「スティーヴの最大の功績だ」と語っているエピソード。それは「Born To RUN」の頭のドラムロールのすぐあとのイントロのギターリフ、その後も繰り返し奏でられる、この曲のイメージを決めてるとも思える、あの印象的なリフ。


このギター・リフはコードでいくとE-Esus4-E-A-Bという大メジャー・コードでグイグイって感じなのだが、このフレーズを元々ブルースはAに行く部分をGの音をグイーンをチョークアップ(ダウン?)して、Aのメジャーコードの音に持っていってたらしい。ところが、あまりに何度もオーバーダヴしていくうちに、肝心のチョークアップしてAの音に持っていった部分が他の音にまぎれて聞こえなくなってしまった模様。


それを指摘したのがスティーヴ・ヴァン・ザント。ブルースは最初「はあ?スティーヴ何いってんの?マイナーじゃない、メジャーだぜ」って感じだったらしいが、「違う違うマイナーにしか聞こえない」ってスティーヴが説いて、冷静になって聴いたら、もはや聞こえなかったという・・・。


しかし、誰も言ってなかったら、もしかしたらこの名曲はまったく違うイメージになって、全く違う評価になっていたのかも??下手したらマイナーコードを使った感のリフでE-Esus4-E-Am!?-Bって感じのちょっと憂いとヒネリのある曲になったかも??


是非ギター持ってる方は一度Amにして弾いてみてください。全然違う感じになりますよ~。


テストプレスを聞いたブルースが、いきなり聴いてたテストプレス盤をプールへ放り投げてしまったほど、最初は出すことすらためらっていたこのアルバムがロック史上最高のアルバムの一枚と言われるようになったのも、こういった、いろいろなことの積み重ねで、なるべくしてそうなったんだろうなあと思います。生まれるべくして、生まれた名作ということでしょうか!?