※以下は、僕自身の経験、当時受けた説明、後から確認した資料に基づく記録です。発言については、録音などで正確に確認できるものを除き、僕の記憶に基づく趣旨を記載しています。
相手の請求は約200万円、こちらの反訴は1500万円
相手が裁判で請求してきたのは、最後の4か月分の給与など、約200万円でした。
これに対し、僕たちは約1500万円の反訴を提起しました。
僕は弁護士に尋ねました。
「この1500万円というのは、何の金額ですか」
弁護士からは、会計を担当していた人や、その人に関係する会社との間で行われた入金と出金を比較し、その差額を積み上げたものだという趣旨の説明を受けました。
しかし、その説明だけでは、僕には内容がほとんど分かりませんでした。
そこで、僕は弁護士に伝えました。
「それだけでは、相手が何か反論してきても、僕はさっぱり分かりません。何も言い返せないですよ」
すると弁護士は、
「相手に立証責任があるから大丈夫です」
という趣旨のことを言いました。
けれど、僕が知りたかったのは、もっと具体的なことでした。
相手が、
「この入出金には、すべて正当な理由がある」
と主張してきた場合、こちらは何を根拠に、どのように反論するのか。
その点について尋ねても、弁護士から明確な答えはありませんでした。
相手は「正当な取引だ」と反論した
その後、相手側は、こちらが問題としていた入出金について、正当な理由のあるものだという趣旨の反論をしてきました。
しかし、少なくとも僕が確認した範囲では、こちらからは、再反論は出されていません。
帳簿には、「借受金」「仮払金」など、当時の僕には意味の分からない項目がいくつもありました。
すべての取引について領収書や明細がそろっていたわけでもありません。
だからこそ僕は、
「相手が正当な取引だと主張した場合、こちらは何をもって反論するのか」
しかし、当時の僕には、1500万円という大きな数字だけが示され、その具体的な根拠や反論方法を十分に理解できないまま、裁判が進んでいきました。
僕が提出した説明や資料の多くは使われなかった
さらに不可解だったのは、僕が弁護士に提出した資料の扱いでした。
僕は、事件全体の経緯を説明する文章、時系列をまとめた資料、お金の流れを示すグラフ、メール、録音、LINEの記録など、さまざまな資料や証拠の候補を弁護士に伝え、提出しました。
しかし、その多くは、裁判で使われませんでした。
文章についても、僕が重要だと思っていた部分が大幅に削除されることがありました。
証拠についても、実際に裁判所へ提出されたものは、僕が弁護士に渡したり、存在を伝えたりしたものの一部にすぎませんでした。
もちろん、僕がすべてのメールや録音を最初から整理して提出していたわけではありません。
それでも、
「こういう内容のメールがあります」
「この場面の録音があります」
「このようなLINEの記録が残っています」
と、証拠の存在は伝えていました。
ところが、その内容を詳しく確認されたり、
「そのメールを出してください」
「録音のこの部分を反訳しましょう」
「LINEの前後のやり取りも確認しましょう」
といった具体的な指示を受けたりすることは、僕の記憶では、ほとんどありませんでした。
僕の感覚では、9割以上が不採用だった
弁護士の立場からすれば、
「資料はたくさん受け取った」
「必要なものを選んで提出した」
と言うのかもしれません。
しかし、僕の感覚では、渡した資料や説明のうち、実際に裁判で使われたものは1割にも満たず、9割以上が採用されなかったように感じています。
もちろん、裁判では、依頼者が提出した資料をすべて証拠として出せばよいわけではないことは分かっています。
関係の薄い資料や、かえって不利になる資料を整理する必要もあるのでしょう。
ただ、僕が疑問に感じたのは、なぜ出さないのかという説明が十分になかったことです。
弁護士からは、
「これは出さなくても通るから大丈夫」
という趣旨の説明を受けていました。
僕は法律の素人です。
専門家である弁護士がそう言うのであれば、必要な主張と証拠はきちんと選ばれているのだろうと思っていました。
1500万円の根拠を自分では説明できなくても、大丈夫。
相手が反論してきても、大丈夫。
僕が集めた資料の大部分を出さなくても、大丈夫。
そう信じようとしていました。
しかし、この「出さなくても通る」という言葉が、後になって僕を再び、
「はっ?」
と思わせることになります。
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