プログラミングと政治経済

プログラミングと政治経済

プログラミングの話と政治経済についてのブログです。
プログラミングはWeb系とAI。
政治経済は積極財政派のお話です。

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MMTトンデモ理論



藤巻健史先生の御本を読み進める。
第二章はいきなりMMT(現代貨幣理論)への批判で始まる。
藤巻先生によると
「自国通貨建てで借金をしている限り、インフレが加速しなければ、借金を増やしても大丈夫」
というのがMMTだということです。
「借金で国の歳出を賄って何ら問題ない」のなら無税国家が成立してしまう、とも藤巻先生は書いています。


現代貨幣理論入門



MMTに対してよくある批判のひとつが無税国家です。
藤巻先生も例に漏れず無税国家を持ち出しました。
藤巻先生がMMTについてほとんど学ぶことなく批判していることの証拠でしょう。
ランダル・レイ著 現代貨幣理論入門に「租税が貨幣を動かす」という章があります。
MMTは租税貨幣論に立脚しています。
「貨幣が流通するのは税が存在するからだ」とする論です。
少なくともMMTは租税なくして貨幣が流通しないと考えているわけだから、無税国家など鼻から不可能だと言っているわけです。

これはあるあるですが、MMTを批判する書籍にMMTをしっかり調べたうえで書かれたものは存在しません。


政府債務対GDP比



政府債務対GDP比の話が出てきます。
アメリカは名目で106.7%に過ぎないが、主流派経済学者が「ハイパーインフレになるぞ」と警告していると言うのです。
そして、その警告は正しい、と。
その直後に日本の債務対GDP比は237%であると紹介されます。

ここで普通思いませんか?
日本は237%でもインフレしていないのに、アメリカは100%ちょっとでハイパーインフレだなんて杞憂すぎる、と。
237%でインフレしないのに、なぜ107%への警告が正しいと思えるのか不思議です。

債務対GDP比が増えてもハイパーインフレどころかインフレは起きていない。
というより日本はずっとデフレで苦しんできた。
もしかして関係ないんじゃないか?と考えるのが極々一般的な考え方ではないでしょうか?

なぜ「このまま行くとハイパーインフレになるぞ」とインフレにもなっていないのに言えるのでしょうか?


ハイパーインフレ



「ハイパーインフレは需要が供給より極めて大きくなった時に起きます」p49
と藤巻先生は語ります。

Twitter界隈の緊縮派の一部が「ハイパーインフレは需要と供給で起きるものではない」と主張しており
同一人物が藤巻先生を支持しているというのはなんとも皮肉です。

一般的には戦争などで供給が著しく棄損された場合にハイパーインフレが起きやすいと言われます。
本書中でも藤巻先生はそれを認めておられるようです。

藤巻先生の主張は「貨幣のバラまきすぎによる自国通貨安でもおきる」というものです。
藤巻先生はこうも言っています。
「日銀は経済規模に見合わないほど負債を膨らませ、お金を市場にばらまいています」p43
日銀が貨幣をバラまいているから自国通貨安になるということのようです。


日銀の買いオペ



日銀は本当にお金をバラまいているのでしょうか?



日銀の買いオペで2013年頃からマネタリーベースが急増しています。
確かにすごい勢いです。

ですが、マネーストックの増加量は1960年代からほとんど変わりません。
バブル期に少し増えているのと、コロナ対策で政府支出が増えたため少し増えています。
バラまきの影響はないようです。
逆に言うと我々の生活に影響を与えるのは民間銀行の貸し出しと政府の支出だということです。

おそらく藤巻先生はマネタリーベースもマネーストックも区別せずに考えているのでしょう。
しかし、いくら銀行の資産が増えても(実際は国債が置き換わっているだけで資産は増えていない)、我々の預金には全く影響がないので我々の生活にも影響がない。
つまり、ハイパーインフレなど起きようがない、ということです。



藤巻健史



藤巻健史先生の財政破綻本は読んだことがなかったので一度読んでみようと中古で割と新しめのものを購入した。
まだ第1章しか読んでいないが、なるほど認識が少しズレているなと思うと同時に、世間一般の人がたどり着き易いであろう話ばかりなのである種参考になるなと思った。
現実と明らかに乖離したトンデモないことを言ったかと思えば、「ただこれは正直、少し脅かしすぎです」と自分で自分を窘める。
その後再度現実に近い形で無垢な読者を脅し始める。
要は読者を脅しすかしてドルを買うように勧め、少しでも予言が成就するよう働きかけているということだ。
読者は自ら藤巻氏の予言の成就に貢献することになるという寸法。


財政再建



第一章では「財政再建しなければならない」ということが暗黙のうちに前提条件となっている。
そして、本書における(少なくとも第一章を読む限り)財政再建とは「政府債務をゼロにすること」を意味していると考えられる。
「〇〇年で借金を完済できる」といった説明がたびたび出てくるので「財政再建=政府債務ゼロ=当然目指すべきもの」と考えているのは間違いないだろう。
財政再建が必要だとか、そのためには政府の借金をゼロにしなければならないといった説明はでてこない。
おそらく彼にとってそれは至極当たり前のことであり、わざわざ説明し前提の共有を確認するまでもないことなのだろう。


政府債務ゼロ



では、本当に政府債務ゼロにすると何が起きるのだろうか?(第一章はこれ以外特筆すべきことはなく、借金をゼロにするのは大変だということが書いてありました)
このあたりどこかの時点を区切って日銀当座預金残高、国債発行残高、民間預金残高等を正確に出してシミュレーションしてみたい。
近いうちにやってみることとする。

ここではザックリとして考え方だけ書きなぐっておく。
基本的に税収で国債を償還すると民間の預金、つまり我々のお金が消滅する。


国債は誰が持っているか?



税収で国債を償還しても国債保有者に金が戻るだけだろ!
といった指摘はよく見かけますが、この指摘は「一般の消費者が国債を保有している」という勘違いを元にしています。





こちらは令和4年度3月末の国債保有者割合。
家計の国債保有割合は1.2%にすぎない。
半分近くを日銀が保有し、あとは民間の金融がほとんど持っており、海外は7.6%となっている。

だから、日銀の保有する国債と民間の金融が持っている国債が償還されるとどうなるかを考えれば良いということになる。


お金とは



償還の話をする前に「お金」について認識を合わせておきたい。

まず、普通「お金」と聞いたら財布の中の現金紙幣や硬貨を思い浮かべることだろう。
もしかしたら銀行の普通預金を思い浮かべるかもしれない。

それらを合計した金額をマネーストック(以降MSと略称する)と一般的には呼ぶ。(正確にはMSはM1,M2...と区分があるがそこまでは触れない)
そして、このMSこそが「お金」として扱うことにする。


日銀保有国債の税収による償還



それでは早速日銀保有分国債を税収で償還してみたい。

まず日銀保有国債を100兆円とする。
これを償還するために100兆円の納税が行われたとする。

すると我々民間の預金は当然100兆円消える。
つまりMSが100兆円減少する。
そして政府預金が100兆円増加する。
(正確にはここで民間銀行の日銀当座預金が税府預金に振り返られ、民間の預金は消滅している)

次に政府がこの100兆円を使って日銀保有国債100兆円を償還する。
すると、日銀保有国債は償還され消えることになる。
同時に日銀は政府預金から100兆円の残高を減らし、100兆円を受け取ることになる。

重要なのはここだ。
日銀が受け取った100兆円はどうなるのか?
正解は「消える」。

なぜなら日銀にとって貨幣は負債だからである。
語弊覚悟でわかりやすく言うと日銀にある政府預金は日銀からみる「マイナス100兆円」なのだ。
そこに100兆円の支払いを受けたのだからトータルプラマイゼロになる、というわけだ。


日銀保有国債の税収による償還のまとめ



日銀保有国債の税収による償還をまとめるとこうだ。

MS(我々のお金) マイナス100兆円
日銀の資産であり政府の負債である国債 マイナス100兆円

政府の負債、借金である国債は消しこむことができたが、日銀と我々の資産であるMSも同額消滅してしまったことがわかるだろう。


民間銀行保有国債の税収による償還



次に民間銀行が保有する国債を税収によって償還してみたい。

まず民間銀行保有国債を100兆円とする。
これを償還するために100兆円の納税が行われたとする。

すると我々民間の預金は当然100兆円消える。
つまりMSが100兆円減少する。
そして政府預金が100兆円増加する。
(正確にはここで民間銀行の日銀当座預金が税府預金に振り返られ、民間の預金は消滅している)

ここまでは日銀と同じだが、少し詳しく納税時のお金の動きを説明する。

民間銀行は日銀当座預金という資産を持っている。
そして、我々一般の消費者は銀行に口座を持ち預金を持っている。
この預金は銀行にとっては負債である。

預金が100万円ある状態を便宜的に説明するとこうなる。
民間銀行A 日銀当座預金100万円
民間銀行A 一般消費者の預金100万円

ここから納税処理が行われるとこうなる。
民間銀行A 日銀当座預金0万円
民間銀行A 一般消費者の預金0万円
日銀 政府預金100万円

大切なことは預金は消滅し、移動するのは日銀当座預金だけということだ。

それでは話を戻して政府がこの100兆円を使って民間銀行保有国債を償還する。
すると民間銀行保有国債100兆円は当然消える。
また、民間銀行保有日銀当座預金が100兆円増える。
一般消費者の預金は変化なし。


民間銀行保有国債の税収による償還のまとめ



民間銀行保有国債の税収による償還をまとめるとこうだ。

S(我々のお金) マイナス100兆円
民間銀行の資産であり政府の負債である国債 マイナス100兆円
民間銀行の資産である日銀当座預金 プラス100兆円

政府の負債、借金である国債は消しこむことができたが、我々の資産であるMSも同額消滅してしまったことがわかるだろう。


まとめ



長々と説明してきたが、国債を発行し政府支出するとMSは増え、納税して国債を償還するとMSは減るということが重要なポイントだ。

そして藤巻氏の財政再建では国債を全て償還しようとするので、かなりの金額がMSから消えてしまい経済が一気に冷え込むことが予想される。
おそらく藤巻氏は償還されると持ち主にお金が移動するだけだ、と思っているのだろう。
これは明らかに間違っている。


勤労者世帯



統計からデータを取得してグラフにしてなんだかんだコメントするのであれば割と基礎となる勤労者世帯の定義ははっきりさせておきたいところ。
そこで総務省統計局から定義をもってきた。


定義



世帯主が雇用主ではなく労働者としてどこかに勤めている世帯のことを言うらしい。
だから世帯主が社長、取締役、理事である場合は除かれる。

要は一番のマス層の世帯ということであり、一般的な認識に一番近い層と言えるんじゃなかろうか。

例えば収入が落ちているのか上がっているのかを考えるときにはこの「勤労者世帯」を使うのが良いように思う。


エンゲル係数






こちらのグラフは二人以上の勤労者世帯の高所得者層と低所得者層のエンゲル係数のグラフです。
高所得者層もあくまで勤労者世帯であり経営者などは含まれていないので、超富裕層などは含まれていないのでは?と考えられます。
そんな中でも、高所得者層と低所得者層とではエンゲル係数に大きな乖離があることがわかります。
そして、高所得者層はエンゲル係数の動きが低所得者層に比べると小さいことがわかります。
消費税3%や5%では影響が小さかったものと思われます。
しかし、8%以降のエンゲル係数の上昇は低所得者層も高所得者層も同程度上昇しており影響の大きさがわかります。


消費税



エンゲル係数を見るとすぐわかることだが、消費税は実生活に大きな悪影響を与える悪税であり
全体が緩やかに滅亡へと向かう要因になる悪税である。
できる限り速やかに廃止しなければならない。


e-statのAPI



e-statにはAPIが公開されている。
このAPIを活用することで、自動的に最新の統計情報を取得することができる。
「自動的に最新の」というところがポイントで、一発取得してグラフを作って終わりならAPIを使うのは逆にめんどくさそうだ。
ある程度自動化する見込みがあるならやってみる価値があるだろう。


利用方法




e-statを利用したことがある人は目にしたことがあるかもしれない「APIボタン」。
これを押すとURLが表示される。

http://api.e-stat.go.jp/rest/3.0/app/json/getStatsData?cdTab=01&cdCat01=263&cdCat02=02&cdArea=00000&appId=&lang=J&statsDataId=0002070005&metaGetFlg=Y&cntGetFlg=N&explanationGetFlg=Y&annotationGetFlg=Y&sectionHeaderFlg=1&replaceSpChars=0

上記URLにアクセスすると統計情報が返ってくる仕組み。
基本はWebページで欲しい情報を探して、そのページからAPIのURLを取得して調整していく流れになると思われる。
※appIdのところに個別にIDを取得して設定してからアクセスしないといけない。
※詳細はe-statのページを参照のこと。


取得できる形式



XML形式、JSON形式、JSONP形式、CSV形式で取得できる。
マニュアルに全て載っているので詳細はそちらで

このブログではJSONで取得する。
ちなみにPythonを使って自動化している。
GoogleのColaboratryを利用しているので環境構築も必要ない。
グラフの作成から出力まで可能。
ただし、グラフの見た目にこだわる場合は別途調整したほうがよい。
今回出力したグラフもエクセルでタイトルをつけたりしている。


今回試しに作成したのがエンゲル係数のグラフ



今回出力したのがエンゲル係数のグラフ。
エンゲル係数を取得してグラフ化しただけなので正直なところAPIを利用した旨味はあまりなかったかもしれない。
あるとすれば、来年新たにグラフを作成することがあればボタン一発で最新化できることくらい。
あとは、政府の統計でよくある「ある時点を境にデータが別れている」件への対処をプログラムでできたこと。
二つの配列をくっつけるだけなので、これはプログラムならすぐにできる。
※CSVを手で取得してもくっつけるくらいはすぐにできるが


エンゲル係数




今回グラフ化したのは年収五分位の1と5、つまり低所得者層と高所得者層をグラフ化した。
見てみると、エンゲル係数が下がっているときは既に数値が低い高所得者層では変化の幅が小さい。
逆に低所得者層では変化の幅が大きい。
そして、2014年の消費税8%以降のエンゲル係数お上がり幅が低所得者も高所得者も同様に大きい。
変化の幅も同じくらいだ。
意外と消費税のダメージは同じように受けているのかもしれない。


次に見るグラフ



消費税8%以降の変化幅が同じだったが、変化の内容は同じだったのかを見ていきたい。
つまり、エンゲル係数の分母と分子である、消費支出と食費を比較していきたい。


当ブログについて


プログラミングや政治経済についてだらだらと書き記しておくブログ。
政治経済についてが主かもしれない。


自己紹介


一応自己紹介。
2022年で38歳、既婚でこどもは男の子が二人。現在東大阪在住。
2023年に堺市美原区に引っ越し予定。
こどもは上の子が3歳で下の子が1歳。
職業フリーランスプログラマー。
主にWeb系で、メイン言語はPHP。次がC#。
お仕事では業務系を受けることが多いので割とC#での開発が多め。
コロナ禍を機に政治経済に興味を持ちマクロ経済学等々勉強中。
貨幣の仕組みに一番興味あり。


今後の予定


e-statからAPIでデータを引っ張ってくるツールを作成予定。
こちらの解説を粛々とあげていこうとかなと。
プログラムに明るくない人もデータを気軽に取得できるように作っていきたい。