今日で9月も最後だ。
日中暑さは残るものの乾燥していて風がそよぐと心地よくなってきた。
しかし、この時期の困ったこととしてよく知られるのが『睡魔』だ。
兎に角、眠いのだ。
迂闊にぼーっとしていると、眠りに落ちてしまう。
季節の変わり目というのは得てしてそういうものだ。
誰もが、口にする。「季節の変わり目で兎に角眠い。」
しかし、それで社会は回るのだろうか。
例えばラーメン屋だ。
ラーメンの注文が入って麵を茹でる。
その合間にアレは襲ってくるのだ。
睡魔。
大将は思わず一瞬眠りに落ちるのだ。そして、湯で上がりを知らせるアラームが鳴って慌てて起きる。
なんとか、ラーメンを提供できた。その安心感から大将は思わず口にする。
「ああ、季節の変わり目だな」
そんな、事を書いていたら眠くなってきた。
「ああ、季節の変わり目だな」
そんなときに、この一枚を聴いているのもどうかと思うが、この一枚がこの時期は心地いいのだ。
坂本龍一がプロデュースしたコンピレーションアルバム「にほんのうた 第一集」。
日本の原風景を想起させる童謡、唱歌を個性あふれるアーティストが演奏し歌う優れたシリーズだ。
プレイリストを挙げると、
1.三波春夫+コーネリアス:「赤とんぼ」
2.キリンジ:「埴生の宿」
3.坂本龍一+中谷美紀:「ちいさい秋みつけた」
4.くめさゆり(元久保田早紀):「旅愁」
5.あがた森魚:「森の小人」
6.大貫妙子:「この道」
7.キセル:「かなりや」
8.八代亜紀:「証城寺の狸」
9.高田漣:「赤とんぼ」
10.ヤン富田:「やぎさんゆうびん」
11.カヒミ・カリィ+大友良英「からたちの花」
といったラインナップだ。
わたしが、この中で一番衝撃的で好きなのが、1曲目の三波春夫+コーネリアスの「赤とんぼ」だ。
三波春夫の独唱(と思われる)にコーネリアスが叙情的なメロディーをつけたもので、一見するとアンマッチと思われるが、これがとても郷愁を誘う見事な出来なのだ。
元々、この曲を聴くと幼い頃の夕焼けに染まる田園風景を思い出して好きなのだが、これを聴いてからは、この時期に頭によぎるのはこのバージョンになってしまった。
他にも大貫妙子の「この道」も、郷愁を誘う。
叙情的なものだけでなく、八代亜紀の歌う「証城寺の狸」、あがた森魚の「森の小人」、ヤン富田の「やぎさんゆうびん」などユニークな楽しい曲も見事なアレンジで聴かせてくれる。
「にほんのうた」の素晴らしさを老若男女堪能できる一枚だ。
ぜひ、「季節の変わり目」のこの時期に瞼を重くしながら聴いてほしい一枚である。
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